――有料スタンプでの収益は、ある程度まとまった金額になっているのでしょうか?
西山さん:
そうですね、"まとまった金額"にはなっています(笑) 会社の収益としてはそれほどインパクトのある金額ではないです。しかし、こうした新しい試みで、ある程度の額を売り上げたということは、会社にとっても大きなことだと思っています。
――話は変わりますが、ざっくぅをデザインしたクリエイターについてお教えいただけないでしょうか?
曽山さん:
広告プロモーション用のキャラクターですので、広告代理店に制作をお願いしています。最初にキャラクターが作られたのは10年以上前になるのですが、スタンプの作成も同じ代理店のキャラクター担当の方にお願いしています。
――なるほど。広告展開として、テレビCMや山手線のラッピング広告なども展開されていますが、あのような形の展開とはまた違った効果や変化がありましたか?
曽山さん:
ざっくぅに関しては、広告プロモーションに使用する一方、東京スカイツリーのソラマチやWeb通販などでグッズ販売もしています。LINEスタンプの展開によって売り上げが急上昇した……というわけではありませんが、売り場などでお客様が「LINEスタンプで見た」とお話されることも増えているようで、ざっくぅの認知度向上にかなり貢献はしているようです。
――キャラクターは一般的に1体であることが多いかと思うのですが、スタンプの絵柄を拝見した限りでは、ざっくぅの場合は「同じ生物の群れ」といった感じのユニークさがありますね。
曽山さん:
はい、群れるのが特性なんです。ざっくぅは「もののけ」なので、増えたり減ったりします。
西山さん:
イメージとしては、アニメなんかに出てくる"ワサワサ"集まるキャラクターみたいな感じですね。
曽山さん:
基本的に「インターネットを使う環境を見守っている」というのがキャラクターの役割で、家の中にいるという設定です。また、「心がキレイでないと見えない」という設定になっていますので、子どもとおじいちゃん・おばあちゃんにしか見えないことになっています(笑) ですので、テレビCMでは子どもと一緒に出てくるような構成にしています。
――ざっくぅはポーズのバリエーションがほかのキャラクターより多い印象ですが、ラフは全部で何案ほど制作されたのでしょうか?
西山さん:
まずは私たちのほう「こんなポーズが欲しい」というアイデアを出して、それをもとに図案をおこしてもらいます。最終的に100案ぐらい出たと思います。
曽山さん:
無料スタンプの頃から合わせれば、案は200~300個程度はあるかと思います。表に出ている数だけでも80はありますので、ボツ案はさらに多くなりますね……(笑) キャラクターの特性や世界観を守るため、ざっくぅ"らしくない"絵柄はNGにするなど、やり取りしながら決めていきます。
西山さん:
それでもスタンプはかなり冒険しているほうで、ざっくぅが泣いたりしているのはスタンプだけなんです。
曽山さん: 基本的に感情は出さないキャラクターなんですが、スタンプでのコミュニケーションは喜怒哀楽が合った方が使いやすいため、表情をつけるようにしました。
――ざっくぅについてのレギュレーションは明文化されているのでしょうか?
曽山さん: スタンプに限らず、キャラクターをチラシや媒体に使う際のレギュレーションは作っています。例えば、基本的に「帽子をかぶせない」、「服を着せない」といったものがあります。
――スタンプに話を戻します。無料スタンプのリリース時とクリエイターズスタンプのリリース時には異なることはありましたか?
西山さん:
手法に変化はありませんが、クリエイターズスタンプとして出した時点では、無料スタンプでの実績があったため、よく使われているスタンプを見て参考にしていました。
また、LINEで実際にスタンプを使っている方に対して「今あるスタンプでずっと使いたいものはどれ?」、「どんなスタンプがあったらうれしい?」といったアンケートを実施して、ユーザーの声を反映するようにしています。ほかにも、Twitter上でツイートされる要望なども参考にしています。
――LINEスタンプのアンケートで回答が多かった年齢層は?
西山さん:
20~40代の女性が多かったです。20代が大半かと思っていたのですが、30代~40代の方も多くいらっしゃいました。
――アンケートの回答率はどの程度でしたか?
西山さん:
特に景品などをご用意しているアンケートではないのですが、回答率はとても高く、集計作業に相当の時間がかかるほどの数が集まります。しかも、ありがたいことに、8割ぐらいの方がフリーコメントを書いてくださるんです。みなさんのスタンプに対する熱い想いを分析するのがうれしくもあり、大変でもありました(笑)
――ユーザーの声を反映した絵柄はありますか?
西山さん:
クリエイターズスタンプ第1弾のリボンにくるまれている絵柄や、コップに詰め込まれているものは、以前テレビCMで使ったビジュアルなのですが、それらをスタンプにしてほしいという要望がとても多かったです。また、ざっくぅの「プニプニ感」、「つぶされた感」を求めるユーザーも多くいらっしゃいましたので、そういった声を反映したスタンプを作りました。
――おふた方のそれぞれのお気に入りのスタンプをお教えください。
西山さん: 私は魂が抜けちゃってるスタンプです(笑)
曽山さん: 私がよく使うのは、ウキウキした感じのスタンプです。
――絵柄をざっと一通り拝見していると、ざっくぅは割れ目のある「お尻」に特徴がありますね。
西山さん:
そうなんです。意外と桃尻でプリプリしているんです(笑)
曽山さん:
スタンプにする以前から、後ろ向きのお尻が出るシーンに人気が高かったようです。スタンプもお尻が見える絵柄は必ず含めるようにしています。
西山さん:
顔を見せたいのはやまやまなのですが、やはり「かわいい」ことが一番重要だと思っているので、そこにはこだわりすぎないようにしています。
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Webサイトや東京スカイツリータウン・ソラマチイーストヤード5階にある「J:COM Wonder Studio」内「ZAQ STORE」にて販売されている「ストレスリリーサー」(税別600円)のお尻にも、しっかり割れ目がある |
――クリエイターズスタンプの場合、国別の統計を参照できるとお伺いしましたが、ざっくぅの海外での反響はいかがでしたか?
西山さん: 国別での売上数は出ないのですが、使われた数は参照できます。比率的にはもちろん日本がダントツで1位なのですが、台湾やタイなどアジアを中心に使われているようです。アメリカやヨーロッパでも使われているようですが、変わったところですと、中東や南米などでも使われているようです。
――最後の質問ですが、今後さらに新しいスタンプをリリースされる予定はありますか?
西山さん:
ユーザーからLINEの公式アカウントやTwitterなどで「もっと欲しい」といったご要望がありますので、検討したいと思っています。「ざっくぅ」のスタンプをお使いいただいている方にもご満足いただける新鮮なデザインを出していきたいですね。ユーザーからの要望がとても多い動くスタンプも、無料スタンプで検討したいと思っています。
――ありがとうございました。