クリエイターがイラストをLINEスタンプとしてリリースできるプラットフォーム「LINE Creators Market」が開かれて、早くもおよそ8カ月が経過しようとしている。誰でもLINEスタンプを販売できるというコンセプトから"表現の場"としても注目を集める同プラットフォームだが、ここからリリースされている企業キャラクターのスタンプもある。

12月10日リリースのクリエイターズスタンプ第2弾の一部

その代表格とも言うべきなのが、12月10日にジュピターテレコム(J:COM)からクリエイターズスタンプ第2弾が発売された「ざっくぅ」スタンプ。「ざっくぅ」はケーブルインターネット「ZAQ」の癒やし系キャラクターで、LINE公式コンテスト「LINE Creators Stamp AWARD 2014」で「ベストクリエイターズスタンプ 50」に選出された。それ以前から期間限定配信の無料スタンプも展開しており、過去3回の累計で利用回数が12億回を超えるなど、高い人気を誇っている。

高いポテンシャルを持った企業キャラクターのスタンプが「LINE Creators Market」で販売されていることもあり、その存在を気にしているスタンプクリエイターも多いのではないだろうか。今回は、そんな「ざっくぅスタンプ」の人気の秘密を探るべく、J:COMの担当者にお話をうかがった。

同社プロモーション本部 プロモーション推進部 ZAQ推進グループアシスタントマネージャー・曽山奈々さん(左)、同社プロモーション本部Webコミュニケーション部・西山優理奈さん(右)

――まずは、御社のキャラクター「ざっくぅ」について、プロフィールと生まれたいきさつを教えてください。

曽山奈々さん(以下、曽山さん):

キャラクター自体は、2003年にケーブルインターネットのサービスプロバイダ「ZAQ」のプロモーションキャラクターとして生まれました。もともとは関西で親しまれていたキャラクターでしたが、2010年にJ:COMが全国展開するようになり、インターネットをはじめ、ケーブルテレビのサービスをもっと知ってもらおうとプロモーションなどでも使われるようになりました。

――では、さっそくスタンプについての質問です。当初は、期間限定の無料スタンプとしてかなり早い段階から展開されていましたが、ざっくぅのLINEスタンプを展開することになったきっかけは何だったのでしょうか?

西山優理奈さん(以下、西山さん):

2013年4月に、第1弾のスタンプを出しました。当時、弊社サービスのユーザーは年齢層の高い方が多かったため、若いユーザーに人気のあるLINEに着目しました。スタンプを通してまずはざっくぅの認知度を高めることで、J:COMのサービスに興味を持っていただければという思いで始めました。

――「年齢層の高い方が多い」とのことですが、御社のサービスのユーザーや利用を検討する人は、どれくらいの年齢層が多かったのでしょうか?

西山さん:

30代後半~シニア層が多いです。やはり、ご自宅でテレビを観て、多チャンネルを楽しむ時間のあるという方がとても多くいらっしゃいます。

――最初のスタンプをリリースした時の反響は?

スタンプのダウンロード数を知り、ざっくぅの予想以上の人気に驚いたという曽山さん

曽山さん: 最終的に746万を超えるダウンロードがあり、私どもの当初の予想をはるかに上回る結果となりました。

当時はLINEのスタンプ自体に現在ほどの認知度はなかったので、どれぐらいの反響になるものか、実態がどれぐらいなのかというのは、ふたをあけてみて初めて知りました。「私たちが思っていたよりも、はるかに人気があったんだ」というのが率直な感想でしたね。

――無料スタンプを展開するにあたって、費用対効果はいかがでしたか?

西山さん:

無料スタンプは有料のものよりもユーザーさんの心理的ハードルが低いので、多くの方がダウンロードしてくれますが、そのダウンロードをきっかけに弊社のサービスへ加入されたというような直接的なデータはありません。

ただ、LINEのスタンプをきっかけに、ざっくぅというキャラクターがより認知され、親しみを持たれたことで、セールスイベントなどリアルな場でのプロモーションにも効果がありました。スタンプを連想させる「ざっくぅ」の着ぐるみを登場させると、会場はかなり盛り上がります。

費用対効果についての明確なデータはありませんが、ざっくぅがきっかけとなって、結果的にJ:COMの認知度が上がっているという実感はあります。

――それまで展開してきた期間限定の無料スタンプや、企業の人気キャラクターのスタンプが提供されている200円の有料スタンプではなく、「LINE Creators Market」でスタンプを販売しようと考えたのはなぜですか?

西山さん:

クリエイターズスタンプが始まる前から、通常のスタンプショップのほうで有料スタンプとしてリリースしたいという意向がありましたが、色々な事情で実現できなかったため、「LINE Creators Market」で展開することになりました。

――「LINE Creators Market」の手続きは個人クリエイターと同じなのでしょうか?それとも特別な手続きがあるのでしょうか?

西山さん:

個人の方とまったく同じです。