Texas Instruments(TI)は、同社の低コストマイコン「Piccolo」と、高性能の浮動小数点マイコン「Delfino」との間のギャップを埋める、浮動小数点コアを搭載したPiccoloマイコンとして「TMS320F2806x」を発表した。すでにサンプル出荷を開始しており、1,000個受注時の単価(参考価格)は、4.95ドルからとなっている。

同シリーズは、同社のデジタル信号処理技術に加え、通信機能が必要なリアルタイム制御アプリケーションにおいて、特にプログラミングの簡素化および性能の最適化を提供するために強化された数値演算エンジンを内蔵しており、高いエネルギー効率が要求されるモータ制御および、再生可能エネルギーなどの制御ループを実行するアプリケーションのほか、PLC(電力線通信)プロトコルおよび変調処理を高いコスト効率で実現することが可能となる。

80MHz動作の浮動小数点「C28x」コア、新型のVCU(Viterbi ComplexMath Unit:ビタビ・複素数演算ユニット)およびCLA(Control Law Accelerator:制御補償器アクセラレータ)で構成された先端の数値演算エンジンを搭載しており、浮動小数点コアにより、プログラミングを簡素化しているほか、メタ言語用ツール群との互換性を向上させており、固定小数点コアと比較し性能を最高40%向上させることが可能となっている。

また、新規VCU複素演算ユニットでは、75種類の専用の演算命令が提供されており、PLC向けをはじめとする各種の通信アルゴリズム処理を最高7倍まで高速化することが可能だ。

さらに、USB2.0 full-speed(ホストおよびデバイス)、CANおよびDMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)の各通信および、スループットを向上させているいるほか、高分解能のPWM(150ps)、3MSpsの12ビットA/Dコンバータおよび、10ビット精度のリファレンスを備えた3個のアナログ・コンパレータをはじめとした、制御に特化したペリフェラルが搭載されている。

なお同シリーズは、52KB~100KBのRAM、128KB~256KBのフラッシュ・メモリ、さらに80ピンおよび100ピン・パッケージのオプションを合わせ15品種以上の製品が提供される予定となっている。