欧州の半導体関連企業35社は、共同研究プロジェクト「IMPROVE(装置の生産性とファブの能力を高める製造科学ソリューションの実施)」を発足させたことを明らかにした。同プロジェクトの期間は2009年から2011年末までで、半導体製造の生産性向上とコスト削減、処理時間の短縮を目標としている。

現在、半導体チップの高機能化、プロセスの微細化などにより、新材料、新技術などが次々と採用された結果、複雑なチップを製造する場合、個別の工程段階は平均で550、トータルの製造期間は約12~16週間となっている。また、通常、1チップ当たり50~100枚のウェハが処理され、その後、別のチップの生産のためには生産ツールのリセットなどの手間がかかっていた。同プロジェクトでは、状況監視と保全予測を重要要素と位置づけ、ライン全体を通じて生産ツールと処理ウェハの監視およびデータ分析戦略の導入により、ウェハの生産能力を高めることを目指す。

参加企業はソフトウェア企業、欧州に拠点を持つInfineon Technologiesなどの半導体企業、半導体製造装置企業のほか、オーストリア、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ポルトガルの学会も参加している。この内、Infineonは、チップメーカーの主導的役割を持ち、ドイツ内のパートナー企業の活動調整を担当するという。

プロジェクトの総予算は約3,770万ユーロで、その内半分がパートナー企業による出資、残り半分を欧州委員会からの公的資金援助とサブプログラム「SP4 Nanoelectronics for Energy & Environment」の一環として欧州ナノエレクトロニクス・イニシアチブ諮問委員会(ENIAC)の共同事業を通じた参加国の国家的資金援助による。ドイツ連邦教育・研究省(BMBF)は、資金援助プログラム「Informations- und Kommunikationstechnologie 2020(IKT 2020)」の一環として、350万ユーロの支援を行うことを表明している。

なお、プロジェクトのパートナー企業は、アルファベット順(カッコ内は拠点の場所)に、AP Technologies(ドイツ)、Atmel(フランス)、Austria Microsystems(オーストリア)、camLine(ドイツ)、CNR-IMM(イタリア)、Critical Software(ポルトガル)、Infineon Technologies(ドイツ)、InReCon(ドイツ)、Intel(アイルランド)、iSyst(ドイツ)、LAM(イタリア)、Lexas Research(アイルランド)、Numonyx(イタリア)、PDF Solutions(フランス)、Probayes(フランス)、STMicroelectronics(フランス)、Straatum(アイルランド)、Techno Fittings(イタリア)となっている。

また、学界のパートナーは、CEA LETI(フランス)、ダブリンシティー大学(アイルランド)、サン・テチエンヌ国立高等鉱山学校(フランス)、ウィーナー・ノイシュタット専門大学(オーストリア)、フラウンホーファー統合システム・部品技術研究所(IISB、ドイツ)、GSCOP(フランス)、イタリア学術会議(イタリア)、LTM CNRS(フランス)、アウクスブルク大学(ドイツ)、エアランゲン・ニュルンベルク大学(ドイツ)、ミラノ大学(イタリア)、パドバ大学(イタリア)、パビア大学(イタリア)となっている。