公認会計士の難易度はどのくらい?合格率や勉強時間と合わせて解説!

公認会計士は難関資格のひとつに数えられますが、実際の難易度を把握している方は少ないでしょう。

「公認会計士と弁護士はどちらが難しいの?」
「公認会計士はどのくらい勉強すれば合格できるの」

この記事では、公認会計士の難易度を合格率や勉強時間の観点から解説します。

今後、公認会計士の資格取得を目指す方は正確な難易度を把握しておいて下さい。

また当サイトでは、公認会計士でおすすめの通信講座をまとめた記事も掲載しているため、ぜひこちらも合わせてご覧下さい。

公認会計士の通信講座の記事はこちら

サイト監修者
“徳永浩光”

徳永浩光

【キャリアコンサルタント】 Webメディア監修

【キャリアコンサルタントとして経験を活かし、キャリア関してのサイトの監修】

国家資格キャリアコンサルタント所持。キャリア支援の観点から、理想のキャリアや働き方を実現するためのヒントとなる情報を発信。

マイベストプロ掲載ページ

キャリコンサーチ掲載ページ
目次

公認会計士の難易度は高いの?

公認会計士と言えば、資格に詳しくない方でも耳にする難関資格です。

「公認会計士試験に合格した」となれば、周囲から感嘆されるほど難易度が高い試験と認識されています。

では、公認会計士は他の有名資格と比較してどの程度難しいのでしょうか?

この章では、偏差値という形で公認会計士の位置を確認します。

公認会計士は日本三大国家資格の1つ

公認会計士は、医師・弁護士と並ぶ日本三大国家資格の1つです。

これらの資格は、試験合格後も実務研修や確認試験があるため、特に難易度が高いと言われます。

例えば、公認会計士は試験に合格しただけでは、公認会計士として働けません。

試験に合格した後、2年間の実務経験と3年間の補習所通学、修了考査合格を経て、晴れて公認会計士を名乗れます。

公認会計士の偏差値は?

資格の難易度は、合格率だけで決定するわけではありません。

受験生のレベルや受験資格、出題範囲の広さも難易度の指標になります。

それらの項目を統計的にまとめたものが資格偏差値です。

ここでは、公認会計士の偏差値を他資格と比較します。

順位 資格名 偏差値
1位 弁護士(司法試験) 75
2位 医師 74
3位 公認会計士 74
4位 司法書士 72
5位 税理士 72
6位 弁理士 70
7位 不動産鑑定士 68
8位 総合無線通信士1級 66
9位 中小企業診断士 63
10位 ITストラテジスト 63
11位 社会保険労務士 62

公認会計士の偏差値は74で、弁護士・医師に次ぐ3位にランクインしています。

つまり、公認会計士は数多くの国家資格がある中で上から3番目の難関資格です。

公認会計士の難易度が高い理由

ここまでは、公認会計士が難易度の高い資格であることを紹介しました。

では、なぜ公認会計士は難易度が高いのでしょうか?

その理由は以下の4点が考えられます。

難易度が高い理由
  • 試験範囲は膨大
  • 科目別合格が存在しない
  • 1次試験と2次試験が存在する
  • 受験生のレベルが高い

試験範囲が膨大

公認会計士の試験範囲は、必須科目5科目と選択科目4科目です。

それぞれの内容を簡単に見ていきます。

科目名 学習内容
財務会計論(必須科目) 会計基準の内容及び理論的背景、理論的な対立等の会計理論
管理会計論(必須科目) 情報の収集・分析・報告を行うための原価計算を中心とした会計システム
監査論(必須科目) 公認会計士が備えるべき価値観を含め、財務諸表監査にまつわるルール
企業法(必須科目) 会社法を中心に、商法、金融商品取引法について
租税法(必須科目) 監査証明業務を行うために必要な法人税法の計算・基礎理論
経営学(選択科目) 経営戦略論・モチベーション理論・リーダーシップ論・コーポレートガバナンス論・ファイナンス理論など
経済学(選択科目) ミクロ経済学・マクロ経済学
民法(選択科目) 売買契約など私たちの日常に関連する法律
統計学(選択科目) データ解析やファイナンス理論に必要となる記述統計・確率・推測統計などの統計的評価方法

科目数だけでは試験範囲の広さを把握できませんが、合格に必要な学習時間が最低4,000時間と聞けば、膨大さが伝わるでしょう。

科目別合格が存在しない

科目別合格とは、1科目ごとに合否が判定されるシステムで、合格点に達した科目はその後1~2年間受験が免除されます。

つまり、全ての科目を一発で合格する必要がなく、限られた期間内に全科目で合格すれば資格を得られるわけです。

しかし、公認会計士には科目別合格が存在しません。

例えば、財務会計論が基準点をクリアしていても、監査論が未到達なら、財務会計論も再受験になります。

つまり、公認会計士の試験は全科目同時に合格するしか資格取得の方法がありません。

科目別合格が存在する税理士や中小企業診断士と比較し、公認会計士が難関と言われる理由がここにあります。

1次試験と2次試験が存在する

公認会計士試験の仕組みを簡単に説明すると以下の通りになります。

試験名 試験形式 試験科目
短答式試験 マークシート式(択一問題) 企業法・管理会計論・監査論・財務会計論
論文式試験 筆記試験 (必須科目)財務会計論・管理会計論・監査論・企業法・租税法
(選択科目)経営学・経済学・民法・統計学の中から1科目

短答式試験は12月の第Ⅰ回試験と5月の第Ⅱ回試験があり、年に2回合格のチャンスがあります。

また、短答式試験に一度合格すると2年間短答式試験の受験が免除されます。

一方、論文式試験は毎年8月に開催される1回のみです。

論文式試験は科目数の増加や筆記試験によって難易度が増すため、短答式試験合格から1~2年経過して合格する方も目立ちます。

受験生のレベルが高い

公認会計士は誰でも受験できる資格ですが、実際に受験するのは受験対策万全な大学生を始めとする猛者ばかりです。

特に、慶應義塾大学や早稲田大学は公認会計士に強い大学として知られています。

しかし、合格実績の内訳を見ると、さまざまな職業・年齢の方が合格しているため、過度に不安になる必要はないでしょう。

公認会計士の合格率

公認会計士の難易度を知るために合格率は1つの指標となります。

合格率が高いから難易度が低い資格であると一概には言えませんが、一般的に合格率が低ければ難易度が高い資格と言えるでしょう。

この章では、公認会計士の合格率をさまざまな角度から紹介します。

公認会計士の合格を目指している方は参考にして下さい。

過去10年間の合格率推移

公認会計士の合格率推移は以下の通りです。

【第Ⅰ回短答式試験】

開催年度 受験者数 合格者数 合格率
2013年 7,850人 1,071人 13.60%
2014年 5,971人 1,003人 16.80%
2015年 5,548人 883人 15.90%
2016年 5,479人 863人 15.80%
2017年 6,045人 1,194人 19.80%
2018年 6,569人 1,090人 16.60%
2019年 6,610人 1,097人 16.60%
2020年 7,245人 1,139人 15.70%
2021年 9,524人 2,060人 21.60%
2022年 9,949人 1,199人 12.00%
2023年 11,401人 1,182人 10.30%

第Ⅰ回短答式試験の合格率は、2013年から15%前後を維持し、2021年に20%を超える数値となりました。

受験者数に関しても2016年から増加傾向にあり、2021年は1万人にせまる方が公認会計士試験を受験しました。

【第Ⅱ回短答式試験】

開催年度 受験者数 合格者数 合格率
2013年 6,000人 695人 11.60%
2014年 4,927人 402人 8.20%
2015年 4,503人 624人 13.90%
2016年 4,740人 638人 13.50%
2017年 4,916人 475人 9.70%
2018年 5,346人 975人 18.20%
2019年 5,604人 709人 12.70%
2020年 5,616人 722人 12.90%
2021年 2021年は第Ⅱ回短答式試験が開催されず
2022年 9,870人 780人 7.90%
2023年 10,429人 921人 8.80%

第Ⅱ回短答式試験の合格率は、年によってまちまちです。

2018年のように20%にせまる合格率もあれば、2014年のように10%を切る合格率の年もあります。

受験者数は同年に開催される第Ⅰ回短答式試験より少人数です。

【論文式試験】

開催年度 受験者数 合格者数 合格率
2013年 3,277人 1,178人 35.90%
2014年 2,994人 1,102人 36.80%
2015年 3,086人 1,051人 34.10%
2016年 3,138人 1,108人 35.30%
2017年 3,306人 1,231人 37.20%
2018年 3,678人 1,305人 35.50%
2019年 3,792人 1,337人 35.30%
2020年 3,719人 1,335人 35.80%
2021年 3,992人 1,360人 34.06%
2022年 4,067人 1,456人 35.80%
2023年 4,192人 1,544人 36.80%

論文式試験の合格率は35%前後で過去10年間推移しています。

2014年から受験者数が増加傾向に転じており、2021年は4,000人にせまる数値になりました。

年齢別合格率

誰もが自由に受験可能な公認会計士試験ですが、合格者を年齢別に比較すると意外なことがわかります。

【2023年論文式試験合格者】

年齢 合格者数 占有率
10代 23人 1.5%
20代 1,333人 85.4%
30代 160人 10.4%
40代 25人 1.6%
50代 2人 0.1%
60代以上 1人 0.1%

公認会計士合格者の内訳を見ると、20代の占有率が突出しています。

この傾向は司法書士や行政書士など、他の難関資格にはあまり見られません。

偏りができた理由は、受験生の大半が大学生もしくは大学院生で占められているからです。

本データだけ見れば、年齢を重ねれば重ねるほど公認会計士の道が狭くなると推測できます。

職業別合格率

公認会計士を目指す学生が多数存在するのは事実ですが、会社員や主婦、無職であっても志さえあれば合格は不可能ではありません。

実際に合格者の職業を調べたデータが以下の通りです。

【2023年論文式試験合格者】

職業 合格者数 占有率
会計士補 5人 0.3%
会計事務所員 81人 5.2%
税理士 0人 0.0%
会社員 117人 7.6%
公務員 17人 1.1%
教員 1人 0.1%
教育・学習支援者 1人 0.1%
学生 867人 56.2%
専修学校・各種学校受講生 114人 7.4%
無職 289人 18.7%
その他 52人 3.4%

専門学生を加えた学生が6割超を占有していますが、会社員と無職の割合も合わせて25%と善戦しています。

勉強に専念できる学生と異なり、仕事との両立が前提となる会社員は資格挑戦も難しいと言えるため、25%という数値は希望が持てるでしょう。

合格率の男女比

ここ最近、女性公認会計士の活躍が目立ちますが、世間では公認会計士=男性の職業というイメージが根強く残っています。

実際、公認会計士試験の合格者を男女別に分けたデータが以下の通りです。

【2023年論文式試験合格者】

性別 合格者数 占有率
男性 1,199人 77.7%
女性 345人 22.3%

合格者数を見る限りでは、イメージの通り男性が多数を占める職業と言えます。

しかし、毎年女性合格者の割合も上昇しており、30%を超える年も近いのではないでしょうか。

予備校別合格率

公認会計士の合格を目指して予備校に通いたいという方は、予備校別合格率を参考にして下さい。

【論文式試験合格実績】

予備校名 合格者数 占有率
CPA会計学院 786人(2023年度試験) 50.9%
TAC 345人(2023年度試験) 非公開
資格の大原 334人(2022年度試験) 非公開

公認会計士を目指すならCPA・TAC・大原のいずれかと言われるほど、この3社はずば抜けた実績を誇っています。

実に合格者全体の7割が3社のいずれかに所属しており、年によっては最優秀成績賞を受賞する生徒も輩出しています。

大学別合格者数

公認会計士試験は受験者および合格者の大半が学生です。

世間では公認会計士に強い大学が存在し、それを目的に入学する方も少なくありません。

公認会計士に強いとされる大学は以下の通りです。

順位 大学名 合格者数
1位 慶應義塾大学 178人
2位 早稲田大学 126人
3位 明治大学 72人
4位 中央大学 65人
5位 東京大学 58人
6位 立命館大学 49人
7位 京都大学 41人
8位 神戸大学 38人
9位 大阪大学 36人
10位 一橋大学 35人

慶應義塾大学は47年連続で1位を獲得し、不動の強さを見せています。

上位にランクインした大学は、公認会計士を目指す学生向けに研究室を設置するなどサポートが手厚い印象です。

公認会計士の勉強時間

膨大な試験範囲をこなすためには、学習量に比例した勉強時間を確保する必要があります。

1年間でストレート合格を目指す方にとっては、いかに効率的に勉強するかが鍵となるでしょう。

この章では、公認会計士合格までに必要とされる勉強時間を紹介します。

科目別の勉強時間

効率的な勉強のためには「どの科目でどのくらい時間を費やすべきか」が重要です。

一般的に科目ごとに必要な勉強時間は以下の通りと言われています。

科目名 勉強時間
財務会計論 短答式:600時間
論文式:200時間
管理会計論 短答式:300時間
論文式:200時間
監査論 短答式:200時間
論文式:200時間
企業法 短答式:400時間
論文式:300時間
租税法 400時間
民法 400時間
経済学 300時間
経営学 200時間
統計学 200時間

選択科目については、民法と経済学が経営学と統計学より時間を費やすとされています。

そのため、受験生の大半は経営学を選択し、理系科目に自信がある方は統計学を選択するのが例年の傾向です。

働きながらの受験は難しい?

会社員にとって仕事と勉強の両立は簡単ではありません。

スキマ時間を利用する手段をよく耳にしますが、身体的疲労の増加は避けられないでしょう。

それでも、毎年100人前後の会社員の方が合格を勝ち取っています。

勉強時間がうまく調節できない方は、無理なスケジュールを立てず、2~3年後を合格目標に設定するのがおすすめです。

公認会計士と他国家資格の難易度比較

公認会計士の難易度を他の国家資格と比較してみます。

今回は、公認会計士と比較されやすい「司法書士」「税理士」「簿記1級」に着目しました。

比較①:司法書士

資格名 公認会計士 司法書士
偏差値 74 72
勉強時間 最低3,500時間 最低3,000時間
合格率 毎年5~7%(2023年は7.6%)※短答式合格率×論文式合格率 毎年5%前後(2023年は 5.19%)
試験科目 9科目
【必須科目】

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 監査論
  • 企業法
  • 租税法

【選択科目】

  • 経済学
  • 経営学
  • 民法
  • 統計学
11科目

  • 民法
  • 不動産登記法
  • 商法
  • 商業登記法
  • 民事訴訟法
  • 民事執行法
  • 民事保全法
  • 司法書士法
  • 供託法
  • 刑法
  • 憲法
受験資格 誰でも受験可能 誰でも受験可能

公認会計士と司法書士はともに偏差値70を超える難関資格で、勉強時間や合格率も大きな開きがありません。

しかし、三大国家資格に数えられる公認会計士の方を上位資格とする方が目立ちます。

比較②:税理士

資格名 公認会計士 税理士
偏差値 74 72
勉強時間 最低3,500時間 最低4,000時間
合格率 毎年5~7%(2023年は7.6%)※短答式合格率×論文式合格率 毎年20%前後(2023年は21.7%)
試験科目 9科目
【必須科目】

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 監査論
  • 企業法
  • 租税法

【選択科目】

  • 経済学
  • 経営学
  • 民法
  • 統計学
11科目
【必須科目】

  • 簿記論
  • 財務諸表論

【選択必須科目】

  • 所得税法
  • 法人税法

【選択科目】

  • 相続税法
  • 国税徴収法
  • 消費税法
  • 酒税法
  • 住民税
  • 事業税
  • 固定資産税
受験資格 誰でも受験可能 条件あり(詳しい受験資格は国税庁HPを参考にして下さい)

税理士の偏差値は公認会計士より2ポイント下がりますが、勉強時間は税理士の方が長時間かかります。

また、税理士を受験するには受験資格が必要なため、簡単に難易度を比較するのは困難でしょう。

比較③:簿記1級

資格名 公認会計士 簿記1級
偏差値 74 66
勉強時間 最低3,500時間 800~2,000時間
合格率 毎年5~7%(2023年は7.6%)※短答式合格率×論文式合格率 毎年8~10%(2023年6月試験は12.5%)
試験科目 9科目
【必須科目】

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 監査論
  • 企業法
  • 租税法

【選択科目】

  • 経済学
  • 経営学
  • 民法
  • 統計学
4科目

  • 商業簿記
  • 会計学
  • 工業簿記
  • 原価計算
受験資格 誰でも受験可能 誰でも受験可能

簿記1級は公認会計士の試験範囲に含まれる形で存在し、公認会計士を目指す方が力試しで受験するケースが目立ちます。

勉強時間は800~2,000時間と人によって異なりますが、簿記2級まで段階を踏んだ方であれば、1,000時間程度で取得も可能です。

公認会計士の難易度:まとめ

今回は公認会計士の難易度について合格率や勉強時間を交えて解説しました。

日本の三大国家資格に名を連ねるだけあって、覚悟を持って挑戦する必要がありそうです。

しかし、公認会計士は一度取得すれば、一生ものなので取得する意義は充分あります。

当サイトでは、公認会計士でおすすめの通信講座をまとめた記事も掲載しているため、資格取得にあたってはぜひこちらも参考にして下さい。

公認会計士の通信講座の記事はこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

編集者

キャリアコンサルタントの国家資格を所有しています。実際に資格取得で役に立った情報をお届けしていきますので、これから資格取得を考えているあなたの手助けができれば幸いです。

マイベストプロ掲載ページ

キャリコンサーチ掲載ページ

目次