給湯器の異音の種類と原因・症状
給湯器から発生する異音の中で、以下の5つのような異音がする場合は、放置しておくのは危険かもしれません。
- 「ボンッ」という小さな爆発音
- 「ピーッ」という高い音
- 「キーン」という共鳴音
- 「ゴーッ」というつまったような音
- 「ポコンポコン」といううなり音
これらは給湯器の故障が原因で起きたり、放置しておくと深刻なトラブルにつながったりしかねない注意すべき異音ですので、詳しくご紹介します。
「ボンッ」という小さな爆発音
給湯器から鳴る異音の中で、もっとも警戒すべきなのが、給湯器のスイッチを入れて、給湯を開始したタイミングに出る「ボンッ」という小さな爆発音です。
正常に着火した場合に「パチッ」と小さな着火音がすることがありますが、「ボンッ」と爆発音がした場合、着火の際に稼働する燃焼系の部品や、電装系の部品に故障や異常が起きていて、ガスが漏れていたり、不完全燃焼が起きたりしている可能性があります。
このまま放置するとガス漏れが起きたり、漏れたガスに引火して爆発事故や火災といった深刻なトラブルを引き起こしかねません。
また給湯器の中でガスが不完全燃焼を起こしている場合には、一酸化炭素が発生して部屋に充満し、中にいる人が一酸化炭素中毒となってしまい、命の危険にさらされる危険性もあります。
そうした重大なトラブルになることを避けるため、「ボンッ」という異音を察知した場合には、すぐに給湯器の使用を中止して、電源を切ってからガスの元栓を閉めてください。
そして速やかにガス会社や修理業者に連絡して、点検・修理してもらうことが肝心です。
「ピーッ」という高い音
給湯器を使用している際には、まるで汽笛のような「ピーッ」という高い異音が出ることがあります。
「ピーッ」音の原因の多くは、ファンモーターの異常であり、それが一時的に出る異音であれば様子見で構いませんが、「ピーッ」という異音が続く場合は点検・修理が必要です。
ファンモーターとは、ガスを燃やすために必要な酸素をバーナー部分に供給したり、排ガスを外に送り出したりするプロペラ型の送風機のことで、ファンモーターに不具合が起きていたり、送り出す空気とガスのバランスが崩れたりしている場合に「ピーッ」という高い音が発生します。
給湯器から「ピーッ」という異音が出始めたら、長年の使用でファンモーターが劣化している可能性が高いので、修理業者に点検・修理してもらう必要があります。
「キーン」という共鳴音
給湯器でお湯を使ったあとに蛇口を閉めると、金属音のような「キーン」という共鳴音が配管から聞こえることがあります。
これは急激に蛇口を閉めた時に、配管の内部に急激な圧力の変化が発生することで出る音で「水撃作用」「ウォーターハンマー現象」などとも呼ばれます。
ウォーターハンマー現象が続くと、配管にダメージが蓄積されて給湯器の故障や水道管の破裂につながり、大がかりな修理が必要になることがあるので「キーン」という共鳴音が続くようであれば注意が必要です。
ウォーターハンマー現象の発生を防ぐ方法としては、蛇口をゆっくりと閉めて配管内の圧力変化を軽減してやることが効果的です。
特にレバー式のハンドルは急激に動かしてしまいがちなので、意識してゆっくりと動かすように心がけると配管にダメージもたまりません。
「ゴーッ」というつまったような音
給湯器から「ゴーッ」というつまった音がする場合は、吸排気口に異物が入ってつまってしまっているケースが考えられます。
例えば台風のような強い風が吹き、飛んできたダンボールやビニールゴミが入り込む場合や、セミなどの虫やネズミが入って吸排気口をつまらせることもあります。
吸排気口がゴミなどでつまってしまうと、十分な吸排気が不可能となり、給湯器の能力を低下させてしまいます。
何よりも吸排気口のつまりは、給湯器内部でガスの不完全燃焼を引き起こすことがあるため、とても危険です。
目に見える異物であれば、取り除くことも可能ですが、奥に入り込んでいる場合や長年の使用でゴミやほこりがたまってしまっている場合には、修理業者に連絡して点検・修理をお願いしましょう。
「ポコンポコン」といううなり音
お風呂の追い炊きをしているときに、風呂釜から「ポコンポコン」という異音がするケースがあり、風呂釜が鳴るため「釜鳴り」とも呼ばれます。
「ポコンポコン」という釜鳴り音の多くは、お湯が循環するパイプの折れ曲がりや、パイプやフィルターに蓄積された湯垢や入浴剤などの異物がつまることによって発生しています。
フィルターのつまりが原因であれば、掃除することで釜鳴り音が解消することもありますが、釜鳴り音が続くようであれば放置してはいけません。
つまりがひどくなると熱交換器にダメージを与えて、熱交換器を交換する工事が必要となってしまうこともあるのです。
そのため、業者に連絡し点検や修理を依頼しましょう。
トラブルの可能性が低い異音
異音の中には、トラブルや故障が原因ではないものがあり、具体的には以下のような音があります。
- 「ブーン」
- 「ピヨピヨ」
- 「クッククー」
- 「ブオーン」「グワン」「ウーン」
- 「ジュージュー」
たとえば「ブーン」という回転音。これはガスを燃やすための空気をバーナーに送り出すファンモーターが稼働している音。正常なうなり音といえます。
電源を入れるとかすかに聞こえる「ピヨピヨ」という音や、蛇口を開閉したときに鳴る「クッククー」という音もファンモーターの作動音で、異常を示すものではありません。
浴槽の周辺から聞こえる「ブオーン」「グワン」「ウーン」といった振動音は、給湯器の循環ポンプの作動音、こちらも正常なうなり音です。
給湯器から「ジュージュー」という音がするときもありますが、それも給湯器が稼働して燃焼したガスの中に含まれていた水分が蒸発して水蒸気となり、結露した水分が高温部に触れたことで起きている正常な音です。
ですので、このような音であれば給湯器がトラブルに見舞われている可能性は低いと言えます。
とはいえ、トラブルの可能性の低い異音であっても、異音が続く場合や、自分で判断がつかない場合は、なるべく早く業者に点検、また修理を依頼するようにしましょう。
給湯器から異音がした時に確認すべき4つのポイント
給湯器からトラブルの可能性のある異音が出ていることに気づいたら、次の4つのポイントについて確認してみてください。
- ガスくさくないか?
- リモコンにエラーコードが表示されていないか?
- 排気口などに何かつまっていないか?
- 音が鳴るタイミングはいつか?
この4つは、ガス会社や修理会社に連絡する際に伝えておきたい大切なポイントですので、ひとつずつご紹介していきます。
ガスくさくないか?
給湯器からの異音に気づいた時に最初にチェックしていただきたいのは、ガスのにおいがするかどうかです。
ガスのにおいがするようであれば、給湯器の内部からガスが漏れているか、ガスが不完全燃焼している可能性があり、ガス漏れは、火の気によって爆発事故を引き起こす危険性があります。
また、不完全燃焼が続くと、一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがあり、いずれにしても命に危険が及ぶ可能性がありますので、ガスのにおいがするようでしたら、まずドアや窓を開けて換気しましょう。
2カ所以上、開けると空気の通り道ができるため効率よく換気できます。
換気する際に絶対やってはならないのが、換気扇のスイッチを入れることです。
部屋にガスが充満していた場合、換気扇のスイッチを入れることで小さな火花が発生して爆発事故につながる危険性が高くなります。
それはレンジフードでも同じですので、換気扇やレンジフードを絶対に使わないようにしましょう。
もし、ガスのにおいがした場合は換気後すぐにそのエリアのガス会社や修理業者に連絡をしてください。
東京ガスや大阪ガスといった大手のガス会社には、ガス漏れ通報専用の電話番号があり、24時間年中無休で対応してくれます。
リモコンにエラーコードが表示されていないか?
給湯器から異音がしたときは、エラーコードも確認してみてください。
エラーコードとは、給湯器に異常があるときにリモコン(操作パネル)に表示される3桁の数字のこと。「111」「610」といったように表示されます。
引用元:>CENTURY21明和ハウス
異常の内容によってエラーコードは表示が変わります。
メーカーのホームページや給湯器の取扱説明書に、3桁の数字がどんな異常を意味するかが載っていますので、エラーコードが出ていた場合は確認してみてください。
また、どんな異常かだけでなく、対処法も載っている場合があります。
たとえば、「111」と表示されたら、それは点火不良を意味するエラーで、何らかの原因でガス給湯器が点火しない、または着火しても火が消える現象の場合に表示されます。
「111」のエラーコードは、1995年以降、メーカー間で統一されているコードで、ノーリツ、リンナイ、パロマなど、ほとんどの給湯器メーカーが、点火不良を表すコードとして使っています。
このように各給湯器メーカーで意味が共通するエラーコードもありますが、逆に各給湯器メーカーで意味が共通していないエラーコードもありますので、しっかりとメーカーとエラーコードの内容を照らし合わせてから対応しましょう。
ちなみに、各メーカーのエラーコードやその内容をご紹介している記事がありますので、こちらも併せて読んでみて下さい。
排気口などに何かつまっていないか?
異音のパターンのところでも紹介しましたが、給湯器から「ゴーッ」というつまった音がするときは、吸排気口に異物が入って、つまってしまっているケースが考えられます。
給湯器は屋外に設置されていることも多く、風で飛んできたゴミやほこりなどの影響を受けやすい傾向があります。
そうした外的要因で吸排気口がつまっている場合もありますので、「ゴーッ」という異音がしたときは、まず吸排気口に異物がないか、確かめてみてください。
吸気口が木や枯れ葉、ダンボールやビニールゴミによって物理的に塞がれているだけなら掃除して異物を取り除くだけで異音が解消するときもあります。
掃除をしたら、リモコンの電源をいったん切って、再度スイッチを入れてリセットしてください。
「ゴーッ」という異音がしなくなったらトラブル解消です。
音が鳴るタイミングはいつか?
いつ、どのようなタイミングで給湯器から異音がするのかを確認しておけば、修理を頼む際に、修理業者の作業員が異音の原因を探るためのヒントになります。
「運転を開始したとき」なのか、「運転中」なのか、「運転を止めたとき」なのか、それともタイミングは関係なく、ずっと異音がしているのかを確認しておきましょう。
どんな機能を使っているときに異音がするのかも、修理業者にとっては異音の原因を突き止めるための重要な手がかりのひとつです。
「給湯しているとき」なのか、「お湯はりをしているとき」なのか、「追い焚きしているとき」なのか、把握して連絡するときに伝えると、修理業者も異音の原因を特定しやすくなるのです。
あわせて「どの場所から異音がするのか」「いつから異音がするようになったのか」といった情報も修理業者に伝えておくとよいでしょう。
異音に関して点検・修理を依頼するときは、手持ちの材料をなるべく多く伝えることで、修理業者が異音の原因を推測して対応しやすくなるので、ぜひご協力ください。
また、持ち家にお住まいであれば、異常のチェックポイントを確認した上で、契約しているガス会社や給湯器を購入したメーカー、給湯器修理業者のいずれかに連絡してください。
賃貸住宅にお住まいならば、大家さんやオーナー、管理会社など賃貸住宅を管理している人に、給湯器の異音について連絡しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。おさらいをしておくと、注意すべき給湯器の異音は次の5つです。
- 「ボンッ」という小さな爆発音
- 「ピーッ」という高い音
- 「キーン」という共鳴音
- 「ゴーッ」というつまったような音
- 「ポコンポコン」といううなり音
これらの異音がする場合は、可能な限り早めの対処が必要です。
また、異音がするときに限らず、給湯器の不具合は一酸化炭素中毒や火災・爆発事故につながる危険性があるため、すぐに給湯器の電源を落としてガス会社に連絡するか、修理業者に点検・修理を依頼しましょう。
ただし、安易に修理業者を選んでしまうと、悪質な業者に手抜き工事をされたり、過大な料金を請求されたりする可能性もあります。
「水回りのレスキューガイド」では信頼できる給湯器専門業者をご紹介していますので、そちらも参考にしつつ、安心して給湯器の修理を任せられる業者をしっかり選んでください。
おすすめ業者4選
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