給湯器の水漏れ!原因はなに?
ひとくちに水漏れといっても、発生する原因はさまざまです。中でも給湯器においては以下の6つが代表的な原因として挙げられます。
- 給湯器本体や部品の「経年劣化」
- 「長期間」における給湯器の未使用
- 内圧減少のため、「水抜き栓からの排水」
- 業者による「設置時の工事ミス」
- 冬場に多い「配管の凍結」
- ヒートポンプシステムによる「エコキュートの結露」
まずは水漏れトラブルの症状ごとに、原因とチェックすべきポイントや簡単にできる応急措置について解説していきます。
原因1.経年劣化
まず考えられるのは、給湯器本体や部品の消耗による水漏れです。
給湯器には寿命があり、長年の使用によって徐々に内部の部品は劣化していきます。7〜10年も経てばなんらかのトラブルが発生するリスクが増加します。
部品の交換でトラブルを解決できる場合もありますが、10年以上使用している場合は複数箇所での劣化も考えられるため、給湯器自体の交換を検討してもいいでしょう。
原因2.長期間の未使用
長期間にわたり使用していない給湯器から、突然水漏れが起こることがあります。原因は、給湯器内部の圧力の上昇です。給湯器の内圧が上昇すると、水抜き栓から水漏れを起こします。水抜き栓から水が漏れだしていてもすぐに慌てる必要はありません。
この場合はまずお湯が出して、そのまま少し待ってみてください。給湯器内部にトラブルが起こっていなければ、しばらくお湯を出しておけば減圧によって漏水は収まります。
原因3.水抜き栓からの排水
ふいに給湯器を見てみたら、水抜き栓付近に水が溜まっていることはないでしょうか。この症状も、すぐに水漏れだと判断するのは早計かもしれません。
給湯器は配管の損傷を防ぐために、内部の圧力を下げるために排水を行います。これは給湯器の標準機能によって意図的に水を抜いているためであり、心配する必要はありません。
ただし、この水抜き栓から水が止まらない場合は、水抜き用のバルブが緩んでいるなど給湯器本体になんらかの異常が起こっている可能性があります。
原因4.設置時の工事ミス
本来ならばあってはならないことですが、給湯器の設置工事の際に配管の接続が甘く、そこから水漏れが発生するというケースがあります。
多くの専門業者は十分な知識と技術を持っているので基本的にきちんと作業を行いますが、新人スタッフや知識のない素人が作業を行ったときに起こる接続ミスによって発生する可能性があります。工事後は問題なく使えていても、時間とともに配管に負荷がかかり水漏れに繫がることもあります。
工事から日も経っていないうちに水漏れが発生した場合は、取り付けを行った業者に連絡しましょう。業者側のミスによる設置不良の修理費は当然、業者が負担しますので安心してください。
原因5.配管の凍結
冬場の気温がグッと下がった日の翌日に水漏れが起こった場合は、配管の凍結を疑いましょう。
給湯器内部の水道管が冷えると内部に溜まっている水が凍結により膨張し、水道管そのものが破裂してしまいます。破裂するまでいかなくても配管に亀裂が入り、そこから水が外に漏れ出てしまうこともあります。
凍結は北海道をはじめとする東北や北陸など雪が深い場所で起こると思われがちですが、そういった寒冷地域の水道管はそう簡単に凍結・破裂しない作りになっています。そのため、水道管凍結による水漏れが発生するのは意外にも、寒さ対策が万全にとられていない関東などの地域が多いといわれています。
ちなみに凍結に関してはこちらの記事でもご紹介していますので参考にしてください。
原因6.エコキュートの結露
エコキュートにはヒートポンプという、空気中に存在する熱を集めて、圧縮し、その熱によってお湯を作り出すシステムが搭載されています。熱を吸い上げたあとの冷たい空気がヒートポンプから排出されるため、夏場は特に室外機付近で結露が発生しやすくなっており、その水でエコキュートの周辺が濡れることがあります。
また、冬場は室外機の周りに霜が付いてしまうこともあります。自動で霜取り運転をする機能も付いているので故障することはありませんが、こちらも霜が解けた水が排出されることで濡れた状態になります。
どちらの場合も朝方から午前中の早い時間までエコキュートの室外機の周辺が濡れていて、午後になって乾いていれば正常な状態です。
逆にいえば、エコキュートの運転状況に関わらず常に床が濡れたままになっているときには、エコキュート内部の配管や部品の劣化による水漏れが起きている可能性が高いので修理が必要です。
ちなみにエコキュートの水漏れに関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。
修理や点検の必要がある水漏れとは?
ここまで水漏れの主な原因について解説しました。水漏れの原因はさまざまですが共通して言えることは、給湯器からの水漏れを見つけた際は絶対に放置してはいけない、ということです。
水漏れの危険性については後ほど解説しますが、給湯器の調子が悪いと感じたらすぐに点検し、水漏れが起きていたら直ちに使用を中止することが鉄則です。場合によっては業者に連絡して修理や点検を依頼しなければなりません。
特に修理や点検が必要となるのは「設置時の工事ミス」「配管の凍結」のケースです。上記のような場合、ガス給湯器やエコキュートの配管や部品の故障が疑われますので、早めの対応をおすすめします。
続いて、業者に連絡する前に確認しておきたいポイントを紹介します。
水漏れ箇所の確認と対応
もしも水漏れを発見した場合は以下の手順に従って対応しましょう。
- 運転を停止する
- 水漏れ箇所を確認する
- 給湯器の電源を落とす
- 業者に修理・点検の依頼をする
突然の水漏れに焦ってしまう人も多いかもしれませんが、最初に確認すべきポイントを押さえておけば慌てる必要はありません。業者に連絡するまでに何をすべきか、業者に何を伝えればいいのか分かっていれば、落ち着いて対処できますよね。
ここからは、水漏れを発見してから業者に連絡するまでの手順について詳しく解説していきます。水漏れ事故を防ぐための安全対策についても触れていますので、ぜひ目を通してください。
1.運転を停止する
給湯器の運転中に漏水を発見した場合は、すぐに停止させましょう。
給湯器を停止させたにもかかわらず水が止まらないときには、給水栓を閉めてください。特に集合住宅に住んでいる場合は早く給水栓を閉めないと、周りの住人に迷惑がかかってしまいます。
2.水漏れ箇所を確認する
次に、水漏れが起きている箇所を特定します。給湯器本体を目視で確認しましょう。設置フリーのガスふろ給湯器の場合、屋外など浴槽から離れた場所に設置されていることがあります。給湯器の設置場所はあらかじめ確認しておくといいでしょう。
給湯器本体を見つけたら、水漏れの発生原因になりやすい次の3箇所をチェックしてみてください。
- 水抜き栓
- 配管の接続、接合部分
- 給湯器の本体(全体を確認してください)
水漏れ箇所を特定しておくことで、業者にスムーズに依頼することができます。場合によっては業者が到着するまでの間に応急措置の指示をもらう可能性もあるので、異常が起きている箇所は正確に把握しておくことが大切です。
3.給湯器の電源を落とす
業者が到着するまで給湯器の電源を切り、コンセントプラグを抜いてください。これは給湯器内に流れている電気との接触による感電を防ぐための措置なので、忘れずに行ってください。
電源の場所はコンセントの抜き差しやリモコンパネルによる操作など給湯器によってさまざまですが、運転を停止したつもりでも、タイマーを設定していると気付かないうちに動き出してしまう可能性があります。
電源やコンセントプラグの場所がわからない場合は、ブレーカーを落として完全に停止させましょう。また、ガス給湯器の場合はガス栓と止水バルブを、エコキュートの場合は止水バルブを閉めておくと安心です。止水バルブがわからなければ、家全体の元栓を閉めておきましょう。
4.業者に修理・点検の依頼をする
上記の対応をすべて行い、ガス給湯器やエコキュートを安全な状態で停止させることができたら、あとは専門業者に任せればOKです。業者に連絡する前に、保証期間とBL認定品かどうかの確認をしておきましょう。
給湯器やエコキュートでは通常、メーカーによる保証期間は1年です。保証期間内の水漏れであれば、給湯器の設置会社が無料で対応してくれます。
BL認定品とは、一般財団法人ベターリビングが認定している商品を指します。一般財団法人ベターリビングが品質や性能が優れていると認定している商品にはBL保険が付いていて、通常の保証期間が1年追加されることがあります。水漏れしている給湯器がBL認定品であるなら合計2年以内なら無償で修理をしてもらえます。
保証期間内であれば修理費を大幅に抑えることができますので、ぜひ確認してみてくださいね。
給湯器水漏れを放置すると危険な理由
ここまでは、水漏れを発見してから業者に連絡するまでの確認ポイントと応急措置について解説しました。
ではなぜ、給湯器の運転を完全に停止させるだけでなく、ブレーカーを落としたりガス栓や止水バルブを閉めたりする必要があるのでしょうか。それは、たかが水漏れと油断して放置すると、ショートや一酸化炭素中毒の危険性があるためです。
すぐに危険が及ばずとも、放置することによって水漏れ箇所周辺の部品はどんどん劣化していきます。水に触れつづけることで部品の寿命を早め、給湯器の機能の劣化を招くだけでなく、ガス漏れや漏電のリスクも高まっていきます。
そのほかにも、集合住宅に住んでいる場合は水漏れの放置によって下の階まで浸水してしまう可能性があり、そうなった場合の修理や補償費用は放置した人の負担になってしまいます。
給湯器水漏れは、悪化することはあっても、自然に直ることはありません。十分な安全対策を講じないことで起こる危険について解説しますので、必ず確認し、水漏れを放置しないように気を付けてください。
一酸化炭素中毒の恐れ
水漏れしている給湯器は本体内部で不完全燃焼を起こし、一酸化炭素の発生源となることがあるのです。一酸化炭素は人体に健康被害を及ぼすだけでなく、最悪の場合は一酸化炭素中毒で命を落とす危険性があります。
しかもこの一酸化炭素は、色も匂いもなく発生していても気づきにくいうえ、少量でも強い毒性が特徴です。気づかないうちに浴室や部屋の窓から入ってきて充満し、なんだかおかしいと気づいたときにはすでに窒息寸前で動けなくなっている可能性もありますので、発生させないことがなにより重要です。
給湯器と一酸化炭素についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。
ショートする恐れ
給湯器は電気を使用しているため、電気系統に水が侵入するとショートや漏電の可能性があり、非常に危険です。水漏れに気付いたらすぐにコンセントプラグを抜くなどして完全に電源を落とすのは、この事故を防ぐためです。
給湯器が水漏れしたときの修理の依頼先
いざ水漏れしたとき、どこに連絡すればいいのか分からないという人も多いと思います。ガス給湯器やエコキュートが水漏れしたときの依頼先や連絡先として、思い浮かぶのは以下4つではないでしょうか。
- 給湯器専門業者(水道業者)
- パロマやコロナなどの給湯器メーカー
- 東京ガスなどのガス会社
- 大家さんや住宅管理会社
まず、マンションや団地などの賃貸物件に住んでいる場合は管理会社または大家さんに連絡しましょう。多くの賃貸物件では、お家やお部屋を借りる際に、給湯器やエアコンなどの設備も併せて借りる契約になっています。一般的には、自然故障の場合は管理会社(大家さん)負担となるケースがほとんどです。
しかし、一刻も早く修理したいあまり、ご自身の判断で修理業者を手配して管理会社や大家さんと契約している業者以外に頼んでしまうと、最悪の場合は「契約していない業者からの請求じゃないから払えない」と突っぱねられて自己負担となってしまう可能性があるので注意してください。
ご自身で手配するより多少時間がかかるかもしれませんが、まずは管理会社または大家さんに連絡してみることをおすすめします。
賃貸以外に住んでいる場合、給湯器メーカー・ガス会社・給湯器専門業者に依頼しましょう。
給湯器メーカーは、設置して日が浅い場合やメーカー保証期間内の場合におすすめです。初期不良や施工ミスなら、費用がかかることはまずないでしょう。また、保証期間内なら無償修理や自己負担が少なく済む可能性が高いです。
給湯器専門業者は、メーカーの保証期間が過ぎており、少しでも出費を抑えたいという人におすすめです。市場競争が激しいため給湯器メーカーやガス会社より費用を抑えられる点が大きな魅力です。選択肢が多いため、自分に合った条件の業者を選ぶことができます。24時間対応や即日駆けつけなど、対応スピードに強みのある業者ならスピーディに駆けつけ修理してくれるでしょう。
ガス会社は、メーカーの保証期間が過ぎており、いろいろな業者を比較・検討するのが面倒という人におすすめです。給湯器専門業者より割高ですが、ガスの検針票に連絡先の記載があるので、連絡先を調べる手間が省けます。
ちなみに給湯器修理の依頼先を比較した記事がこちらになりますので、ぜひ読んでみてください。
給湯器水漏れは修理で直せる?交換が必要?
給湯器の水漏れを解決するためには、修理または交換が必要です。修理と交換のどちらを選択するかは、使用年数をひとつの目安にするといいでしょう。
一般的な給湯器の寿命といわれている10年を超えていれば、交換をおすすめします。
製造から10年以上経つと該当する部品が残っている可能性が少なくなり、取り寄せに時間がかかってしまいます。メーカーも部品を保管しておく義務がなくなるため、部品が欠品してしまえば給湯器を直すこともできなくなります。
また、一度修理しても寿命を超えているわけですから、今度はほかの箇所が壊れてしまう可能性も十分に残っています。いつまた壊れてしまうかわからない給湯器の維持にお金をかけるよりも、思いきって新品を買ってしまったほうがお得です。
たとえばノーリツの給湯器ユコアGQは、エネルギーを再利用による毎月のコスト削減にくわえて、メンテナンス性を考慮した設計になっています。10年の間に給湯器の性能は格段に進歩していますから、今よりも満足できる製品が見つかるはずですよ。
給湯器の使用年数が10年未満であれば、修理をおすすめします。
特に保証期間内である場合は、迷わず修理を選びましょう。さらに設置から5年以内の水漏れであれば一部の部品交換のみで直る可能性が高いため、販売店やメーカーで修理をしてもらうほうがお得です。
次からは給湯器が水漏れした場合にかかる修理費用の相場について、原因別に紹介していきます。
給湯器の水漏れ修理にかかる費用
業者に水漏れ修理を依頼する場合の費用の主な内訳は以下の3つです。
- 出張費(修理者が現場に訪問する費用)
- 診断料、点検料(給湯器の故障の原因を特定するために点検や調査を行う費用)
- 修理代+部品代
業者を呼んで水漏れの確認を依頼した段階で、出張費+診断料・点検料が発生すると考えましょう。これらの費用は給湯器本体に不具合がないと判断されても支払わなくてはなりません。給湯器本体に不具合が見つかった場合は、さらに修理代+部品代が上乗せされます。
ここから、水漏れの原因別に修理代の相場をご紹介します。実際の修理費用は水漏れの原因以外にもパロマやコロナなどのメーカーや販売業者、給湯器の使用年数などによって変わってきますので、あくまで業者に依頼するときの参考にしてください。
まず、長期間の未使用や配管の凍結によって、給湯器本体ではなく給湯器内部の配管をはじめとする部品の交換・修理費用の相場です。
配管を接続しているパッキンなど劣化した部品や給水管・給湯管など比較的簡単な交換作業の場合、作業料金は8,000円~10,000円です。ただし、複数の部品や高価な部品が必要な場合には、修理代+部品代で数万円になるケースもあります。
次に、経年劣化やエコキュートの結露など、給湯器本体の故障が疑われる場合の交換・修理費用の相場です。
部品の交換や修理での対応が可能であれば、15,000円から30,000円程度で修理することが可能です。給湯器やエコキュート内部の熱交換器や電装基盤の交換となると、部品代だけでも最低10,000円以上はかかります。出張費を含めると数万円と高額になる場合も多いようです。
ちなみに給湯器修理にかかる費用についてはこちらの記事でもご紹介していますので参考にしてください。
まとめ
ここまで、給湯器の水漏れの原因と対処法についてお伝えしました。
普段問題なく使えているとついつい安心して頼りきってしまう給湯器ですが、いざというときに備えて日頃から給湯器の様子をチェックしておくといいでしょう。
たとえば、ノーリツのバランス型ガス風呂釜では月1回の安全点検を推奨しています。リンナイのガス風呂釜においては給湯器本体に「点検お知らせ機能」があり、点検時期をランプで知らせてくれます。便利な機能を活用すれば、簡単に水漏れのリスクを抑えることができるでしょう。
水漏れが起きたときは放置したり無理に自分で修理したりしようとせず、プロの修理業者に早めに相談してください。
おすすめ業者4選
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