給湯器からの水漏れを放置してはダメ!
給湯器のトラブルの中でも水漏れは発生しやすいトラブルの一つです。
水漏れくらいなら少しくらい修理が遅れてしまっても大丈夫だろうと思う方もいらっしゃるでしょうが、給湯器の水漏れの放置には次の3点の危険性があります。
- ガスの不完全燃焼
- ガス漏れによる異常着火
- 漏電
場合によっては命に関わる事態にまで陥る可能性もあるので、給湯器の水漏れを発見したらすぐに業者に修理してもらうようにしましょう。
給湯器の水漏れの放置によるそれぞれの危険性については、次節より詳しく解説していきます。
ガスの不完全燃焼
給湯器の水漏れの放置により発生し得るトラブルの中で最も気をつけたいのが、ガスの不完全燃焼です。
ガスの不完全燃焼によって発生する一酸化炭素は非常に毒性の高い気体で、空気中の濃度に応じて身体に現れる症状が変わってきます。
一酸化炭素が体に与える影響は、頭痛から始まり、空気中の濃度が上昇するにつれて吐き気、めまいなどの中毒症状へと進みます。
症状が悪化すると最悪の場合、死に至るほど身体にとって有害な物質です。
一酸化炭素は非常に強い毒性があるだけでも充分恐ろしいのですが、さらに恐ろしいことに一酸化炭素には色も臭いもありません。
よって、一酸化炭素が発生して頭痛の症状が現れても、風邪と勘違いしてしまうことで気が付かないうちに死に至る危険性があるのです。
給湯器の内部では、お湯を作るために炎を発生させて配管内の水を温めています。
配管を熱する炎は空気とガスを混合させる「バーナー」という部品から発生しているのですが、バーナーに水漏れによる水が継続的にかかり続けることによってガスの不完全燃焼を起こしてしまいます。
このようにして、給湯器の水漏れからガスの不完全燃焼(一酸化炭素の発生)につながります。自分の命はもちろん大切な家族の命を守るためにも、給湯器からの水漏れはなるべく早く修理するようにしましょう。
ガス漏れによる異常着火
給湯器の水漏れによってガス通路部が腐食してしまうとガス漏れが発生することがあります。
ガスは可燃性の気体なので、ガス漏れが発生すると燃焼時に異常着火を誘発し、機器の変色・変形につながるおそれがあります。
また、ガス漏れの量が多く濃度が高くなりすぎると爆発の危険性もあります。
プロパンガスを利用している場合は、臭いでガス漏れに気が付くことができます。
プロパンガスには元々臭いはないのですが、ガス漏れに気が付くことができるように人工的に臭いを付けているためです。
ガスの臭いがしたら給湯器からのガス漏れの可能性があるので、給湯器を止めてすぐに対応しましょう。
ガスの臭いがする以外にも、ガス代が急に上がる、給湯器の異常を感じるといった症状があればすぐに修理業者に点検・修理を依頼をしましょう。
漏電
給湯器は電気で稼働していますが、通常、電気を使う製品は電気の通る道を絶縁体で覆って使用しています。
絶縁体とはゴムなどの電気を通さない性質をもった物体のことで、電気の通る道に触れてしまっても身体に電気が流れてこないようにして安全を確保しています。
ところが、絶縁体に水が当たると絶縁体が傷んだり、はがれたりします。
台風などの一時的なものであれば問題はないのですが、水漏れにより毎日のように水が当たるとこのような状態になる可能性が高くなります。
絶縁体がない部分は、電気が流れやすくなってしまうので、損傷個所から電気が漏れ出るようになります。
漏電によって感電などの事故につながりますが、給湯器には漏電ブレーカーが備わっており、漏電を検知するとブレーカーが落ちて漏電が発生している箇所に電気が流れないようにする機能があります。
この機能のおかげで、漏電してもすぐに事故につながることはありません。
漏電ブレーカーが落ちてブレーカーを入れなおしても何度も落ちるような場合は、漏電している可能性が非常に高いです。
これ以外にも、リモコンに漏電を知らせるエラーコードが表示される、リモコンが表示されない・操作できない、電気代がいつもよりも高いというような症状があればどこかで漏電しているかもしれません。
給湯器から水漏れが起こる原因
給湯器からの水漏れの原因として発生時に考えられるものは次の5つです。
- 経年劣化
- 施工不良
- 配管の凍結
- 水抜き栓からの水漏れ
- ドレン配管からの水漏れ
水抜き栓からの水漏れとドレン配管からの水漏れは、給湯器の機能上起こる現象なので問題ないことが多いです。
これら以外の水漏れについては部品等の不具合によるものなので、業者に依頼して修理してもらいましょう。
また配管の凍結に関しては、事前に対策することが可能です。
それぞれの水漏れ原因の詳しい内容については次節より解説していきます。原因を知って適切に対応ができるようにしておきましょう。
経年劣化
給湯器の内部で水漏れを防ぐためにパッキンという部品が使用されています。
このパッキンはゴム製の製品で、経年劣化により水漏れが起こるようになります。
パッキンは給湯器の使用から7~10年経つ頃には硬化していきます。
硬化したパッキンは弾力を失ってしまっているので、少しの力でもすぐに損傷してしまいます。
パッキンの損傷のイメージがしにくい方は、輪ゴムを頭に思い浮かべてみてください。
輪ゴムもゴム製品なので、パッキンと同様の症状が表れます。購入してから年数が経過した輪ゴムの表面はガサガサになっており、何かをまとめようと引っ張ってもちぎれてしまいますよね。
このように、経年劣化により硬化したゴム製品は非常にもろくなっています。
劣化したパッキンは今までは耐えることができていた水圧にも耐えることができなくなり、ひびが入るなどの損傷を負ってしまいます。
損傷した箇所は新たな水の通り道となってしまうので、意図しない箇所からの水漏れへとつながります。
給湯器からの水漏れがパッキンの劣化によるものであれば、水漏れ箇所で使用されていたパッキンを新品の製品に取り替えてあげると水漏れは解消します。しかし、パッキンの劣化は現在水漏れが発生している箇所以外でも進行しています。
よって、水漏れを修理してもすぐに他の箇所のパッキンが損傷して新たな水漏れに悩まされる可能性が高いです。
同じサイズのパッキンでないと水漏れを防ぐことはできないうえに、給湯器の部品は発売から10年で製造終了となるので、部品を用意するのも一苦労です。
パッキンの劣化による水漏れが発生したのであれば、給湯器の寿命も近づいているのだと考えて、給湯器本体の交換の計画を立て始めることをおすすめします。
施工不良
給湯器の施工不良も立派な水漏れの原因です。
施工は人が行うので、施工不良の可能性を0に近づけることはできても、0になることはありません。
施工不良が原因の水漏れは、給湯器の設置後すぐに発生する場合と、部品が長年の使用による負荷に耐えられなくなって発生する場合があります。発生割合は前者の方が多く、正常に設置されていれば設置後すぐに水漏れが発生することはそうそうありません。
設置後すぐに水漏れが発生した際は、施工不良があったのではないかと考えてみてください。
素人目には施工不良かどうかの判断は難しいので、施工を担当した業者に連絡して修理対応してもらいましょう。
業者に調査してもらって、施工不良が発覚した場合は、無料で修理対応してくれることがほとんどですので、お金の心配は不要です。
配管の凍結
配管が凍結すると配管が破裂することがあります。配管が破裂するとそこから水が流れ出るようになるので水漏れへとつながります。
なぜ配管が凍結したくらいで配管が破裂することがあるのかと疑問に感じる方も多いと思います。
配管が破裂する原因は、配管内の水の体積の増加にあります。給湯器の配管内には水が溜まっているので、気温が0℃を下回るような日には、配管内の水が凍ってしまいます。
液体の中でも水は、固まると体積が増加するという珍しい性質をもった液体です。
この性質が原因で、配管内の水が凍ると水の体積が増加し、配管を内側から破裂してしまいます。
気温が上昇して、凍った水が溶けると破裂した箇所から水が漏れ出てくるのです。
配管の凍結による水漏れは、意外なことにも比較的温かい地域に多いです。
北海道や日本海側などの寒さが厳しい寒冷地に設置するような給湯器は寒冷地仕様となっており、配管が凍結しにくいような仕様となっています。
気温が温かい地域では寒冷地仕様にする必要がないので、大きな寒波が襲ってきた日に配管内の水が凍結し、配管を破壊してしまいます。
給湯器の水漏れを発見した日の前日の気温が0℃を下回っていたようであれば、配管の凍結による水漏れではないかと考えてください。
配管の凍結は給湯器に備わっている「凍結予防ヒーター」と「自動ポンプ運転」を使うことで対策することができます。
これらの機能は配管の凍結が懸念される気温まで低下すると自動的に作動するようになっているので、給湯器の電源が入っていれば凍結のリスクを下げることができます。
また、水が流れていると凍結しにくくなるので、大寒波が来るという日には自宅のどこかの蛇口からお湯を少量出しっぱなしにしておくとよいでしょう。
水を少量出しっぱなしにしていても給湯器内の配管の水は動かないので、お湯を出しっぱなしにするということに注意してください。
冬季に帰省や旅行などで長期間、自宅を留守にする場合は給湯器の「水抜き」をしておくと凍結を防ぐことができます。
水抜きをすると給湯器の内部の水がなくなるので凍結することもなくなります。
水抜きの方法については、ご利用の給湯器の取扱説明書に記載されているのでご確認ください。
水抜き栓からの水漏れ
給湯器にある水抜き栓からの水漏れは故障ではないことがほとんどで、修理の必要はありません。水抜き栓には、
- 給湯器内部の圧力が高くなった際に、水を出して減圧する
- 給湯器の点検時に配管内の水を抜く
- 配管内での水の凍結を防ぐ
といった役割があり、給湯器の機能上一時的に水が出ることがあります。
ただし、水抜き栓から出てきている水の量が多かったり、ずっと漏れ出たりしている場合はどこかが故障しているかもしれません。
このような症状が見られたら修理業者に点検してもらい異常がないか確認してもらいましょう。
ドレン配管からの水漏れ
ドレン配管からの水漏れも給湯器の機能の一つなので故障ではありません。
水漏れというよりも機能的には排水といった方が正しいでしょう。ドレン配管からの排水は全ての給湯器に該当する訳ではなく、エコジョーズという熱効率性を高めた給湯器にのみ見られる現象です。
エコジョーズは従来のガス給湯器と同様に、燃料を燃やして水を通る配管を熱してお湯を作るという仕組みであることは変わりません。
従来のガス給湯器は配管を熱する際に生じた約200度の空気をそのまま給湯器外に排出していました。
対して、エコジョーズはこの高熱の空気も配管を温めるためのエネルギーとして活用しています。
その結果、エコジョーズでは燃焼された空気が凝縮され、酸性のドレン水という水が内部で生じるようになりました。
このドレン排水はそのまま外に排出すると危険なほど酸性度が高くなっているため、内部で中和して中性に近い水に変化させてから外部に排出しています。
ドレン配管からは中和された水が最大で100mL/分程度、排出されますがエコジョーズが正常に稼働しているという証拠なので安心してください。
給湯器から水漏れしているときの応急処置と対処法
給湯器の水漏れの放置は最悪の場合、死に至るほど危険ですので、水漏れを発見したら早く応急処置をすることがとても重要になります。
給湯器は複雑な構造をしているので、素人が水漏れの原因を特定するのは非常に難しいです。
しかし、水漏れの原因が何であっても行うべき応急処置は共通しています。もしも、自宅の給湯器の水漏れを発見したら下記の手順で応急処置を行ってください。
- 1. 給湯器の電源を切る
- 2. 水漏れ箇所を探る
- 3. 給湯器本体の電源を落とす
- 4. 業者に相談する
給湯器の電源を切る
給湯器からの水漏れを発見したら、まずは給湯器の電源を切りましょう。
室内にリモコンがあるならリモコンで電源を切るようにしてください。もしも、リモコンにエラーコードが表示されていた場合は、エラーコードをメモするか写真に残しておくなどして記録しておいてください。
電源を切る際には、先に給湯器の電源を抜いてしまわないよう注意してください。先に給湯器の電源を抜いてしまうと給湯器の故障や感電の原因になるので、二次被害につながる恐れがあります。
給湯器の電源を切る目的は、水漏れ箇所を特定するためです。
給湯器が稼働していると水が循環するので、水漏れ箇所の特定が困難になります。
間違った判断は被害の悪化へとつながるので、必ず給湯器の電源を切るようにしましょう。
水漏れ箇所を探る
水漏れ箇所を特定することができると、修理作業をスムーズに行うことができるようになります。水漏れ箇所を探る際は、給湯器のタンク、配管、部品接続部、減圧弁などを中心に探していきましょう。
ただし、水漏れ箇所の特定のためとはいえ、部品の解体は行わないようにしてください。
給湯器の施工は専門の資格が必要な行為なので、素人が給湯器を解体すると触ってはいけない部品にも手を付けることも考えられます。
水漏れの症状をさらに悪化させる危険性がある行為なので、目に見える範囲のみの点検にとどめておいてください。
給湯器本体の電源を落とす
水漏れ箇所の特定作業が終了したら、感電を防ぐためにも給湯器本体の電源を落としておきましょう。
使用している給湯器がガス給湯器の場合はガスの元栓も閉めておいてください。
給湯器はリモコンから電源を切ることで使えないようになるのですが、それでも心配な方は給湯器の電源を抜いても構いません。
給湯器の電源の場所が分からない場合は、最終手段としてブレーカーを落として対応しましょう。
給湯器は必ず独立の電源を取ってあるので、対象のブレーカーを一つ落とせば大丈夫です。
どのブレーカーを落とせばいいか分からないという方は、右側の小さいブレーカーから一つずつ順番に確認してみてください。
これをする場合は、パソコンなどの精密機械の電源を切っておかないと作業中のデータが飛ぶ可能性があるのでご注意ください。
業者に相談する
給湯器の水漏れは、修理作業も難しいため業者に修理を依頼しましょう。
複雑な構造の給湯器を自分で修理すると、誤って被害を拡大する恐れがあるので行わない方が無難です。
信頼できる専門業者に依頼すれば確実に直してくれますし、もしも、給湯器の保証期間内の故障であれば、内容によっては無償で修理対応してくれます。
業者に修理を依頼する際には、給湯器の保証期間内かどうかの確認も忘れずに行いましょう。
賃貸住宅にお住まいの方は、自分で業者に修理連絡をする前に、管理会社や大家さんに連絡してください。
賃貸物件の設備である給湯器の修理は大家さんに責任があるためです。
管理会社や大家さんが取引している業者があるはずなので、そちらに対応してもらいましょう。
管理会社への確認をすることなく、自分で業者を選定して修理した場合は、修理費用などが自己負担になることもあるので、確実に確認しておいてください。
給湯器からの水漏れは修理と交換どちらがいい?
給湯器の水漏れに対して、修理・交換どちらで対応するかは、給湯器の使用年数に応じて変わってきます。給湯器の寿命は10年と言われているので、給湯器の設置から10年以上経っている場合は交換がおすすめです。今回の水漏れを修理しても、給湯器自体が劣化しているため、他の箇所で別のトラブルが発生する確率が高いためです。
反対に、給湯器の設置から、年数が経っていない場合は修理対応がおすすめです。給湯器の無償保証期間に該当している場合は、トラブルの内容によっては無償で修理対応してくれるので、利用しない手はありません。
また、給湯器の購入時に有料の延長保証制度を利用しているかもしれないので、人によって保証期間が異なります。ご自宅の給湯器の無償保証期間が何年なのかは、給湯器購入時のメーカーなどに問い合わせてみてください。
水漏れの原因が凍結によるものであれば、新しい・古い給湯器に関わらず交換が必要となるケースが多いです。
凍結による水漏れは給湯器内部の配管の破裂によって生じているので、修理依頼をしたとしても給湯器ごとの交換となってしまうのです。
なお、凍結が原因の水漏れの修理は、無償保証期間内であっても有償での対応となるのでご注意ください。
給湯器の水漏れは火災保険が適用されることも
給湯器の故障原因が自然災害であれば、火災保険が適用されるケースもあります。
火災保険とは、損害保険の一種で火事や落雷、風水害等の事故によって建物や家財に生じた損害を保証するものです。
火災保険では建物と家財のどちらか、あるいは両方を保証の対象として加入することができます。
給湯器は建物に付帯していて動かせないものという扱いになっているので、火災保険上では建物として分類されます。
給湯器の故障に火災保険が適用されるかどうかは、火災保険の契約内容によります。
加入している火災保険に
- 自然災害に適用
- 建物の付属物も補償対象
- 電気的・機械的事故特約に加入
と記載されている場合は、給湯器も対象になっているかもしれません。
凍結による水漏れ被害にも「水濡れ損害補償」として火災保険が適用されることがあります。
ただし、火災保険の適応のためには災害による故障かどうかの証明が必要になります。
そのため、災害による故障かどうかを確認するために、故障箇所の提示や、写真の撮影を求められることが多々あります。
よって、災害で故障した後、すぐに給湯器を修理・交換すると故障の証明ができず、火災保険が適用されなくなるかもしれません。災害により給湯器が故障した際は、保険会社に連絡して指示の通りに行動するようにしましょう。
まとめ
給湯器の水漏れの放置は、最悪命を落とすことになる危険な行為です。
水漏れの原因の中には、機能上出るべくして出ている水漏れもありますが、そうでない場合は早急な対応が必要になります。
水漏れ発見時には
- 1. 給湯器の電源を切る
- 2. 水漏れ箇所を探る
- 3. 給湯器本体の電源を落とす
- 4. 業者に相談する
の順番で応急処置を行い、被害が大きくならないようにしましょう。
水漏れという些細なトラブルに感じるようなものでも、大きな被害につながる可能性があるので、給湯器に関する不安な点や気になる点は解消しておく方が安全です。
業者に問い合わせてみたり、点検をしてもらったりすると不安も解消して安全に使用することができるのでおすすめです。
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