「育休」と聞くと、あなたはどんなイメージが思い浮かびますか? 子どもを産む人が休暇を取ること?そのときになったら考えること……? まだまだ先のことだからと、ピンとこない人も多いかもしれません。ですが、どんなものかを知っていると、いざ自分がその立場になったときに選択肢が増えるし、職場や周りで育休を取る人への理解も深まります。そこで今回は、育児休業制度の基本や、2022年4月以降順次施行される改正育児・介護休業法のポイントなどを簡単に解説。育児休業について知って、未来のことをちょっとだけ考えてみませんか。
「育休ってどんなイメージ?」
20代のビジネスパーソン926人に聞いてみた!
これから育児を担う可能性のある世代、20代のビジネスパーソン926人を対象に、「育児休業」についてアンケートを実施。
育児休業という存在は約9割の人が知っているものも、育児休業の法改正について知っている人は4割に満たないことが判明しました。
また、「自分は育休を取りたいか」という問いに対して、「はい」と答えたのは男性40%、女性62%。「パートナーに育休を取ってもらいたいか」という問いに「はい」と答えたのは男性74%、女性64%と、男女の育休に対する考え方には少し差があるようでした。
育児休業を取るにあたり、不安なこととして「家計への影響」(57%)と「仕事復帰への影響」(51%)が上位に挙がっており、漠然とした不安が育児休業取得への壁になっているのかもしれません。
育児休業を取りやすい環境へ! 「育児・介護休業法」の改正について詳しく聞いてみた
アンケート結果からもわかるように、若い世代には育児休業はまだ現実味がないから詳しくは知らない、という人も少なくありません。特に、実際に出産をする女性と異なり、男性の場合はさらに“自分事化”するのが難しいもの。そこで今回は、厚生労働省のイクメンプロジェクト担当の方が、育休の基本をレクチャー。育児・介護休業法の改正について教えてもらいました。
Qそもそも育児休業とはどんな制度?
労働者が原則として1歳に満たない子を養育するために取得できる休業制度で、育児・介護休業法という法律で定められています。父親、母親のいずれも取ることができ、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中であっても取得可能です。取得可能期間は、子どもが1歳になるまで(保育所に入所できないなど一定の場合は最長2歳)。期間内であれば、いつからいつまで取得するかは各々で選択でき、1カ月や2週間など短期間でもOKです。育児休業中は原則無給ですが、雇用保険に加入しており一定の条件を満たしていれば、育児休業給付金が支給されます。
より取得しやすいよう育児・介護休業法が改正! 変わるポイントは?
育休をより一層取りやすくし、男女とも仕事と育児を両立できるようにするため、2022年4月から改正育児・介護休業法が順次施行されます。
大きな改正ポイントをふたつご紹介したいと思います。
①【2022年4月1日施行】雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置が事業主に義務付けられます
企業は育児休業を取得しやすい職場とするため研修や相談窓口の設置など雇用環境の整備に取り組むことが義務付けられます。また、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して個別の制度周知と取得の意向確認を行うことも義務づけられます。育休に対する職場の理解が進むとともに、企業側から「育休が取得できますよ。取得しませんか?」と働きかけをするようになるので、男性にも育休取得のきっかけが生まれます。大企業だけでなく、中小企業でも同様です。
②【2022年10月1日施行】産後パパ育休(出生時育児休業)が創設されます
労働者が出生直後の時期に柔軟な育児休業を取得できるよう、「産後パパ育休」という新たな制度が創設されます。
この制度は、子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得でき、2回に分割することも可能です。申請期限は、休業の原則2週間前まで。さらに、休業期間の半分を上限として、休業中でも就労できるようになります(労使協定・個別の合意が必要です)。
なお、この産後パパ育休は、現行の育休制度とは別に取得可能です。男性は子の出生後8週間以内しか取得できないということではないので、長期休業ができる場合は併せて取得するのがおすすめです。
女性が取得するものと思われがちな「育児休業」。男性も取得するべき?
育児休業取得率は女性81.6%、男性12.65%※と開きがあるのが現状です。その一方で、育児休業制度の利用を希望していたができなかったという男性労働者の割合は約3割というデータも。男性も育休を取りたいけれどその希望が十分叶っていない、ということが読み取れますね。育児・介護休業法の改正で、より一層、男性の育休も普及していくはずです。
また、男性の育休取得には、さまざまなメリットが。例えば、夫婦二人で協力して育児を行うことで、育児の喜びを共有し、悩みを分かち合いながら子どもの成長を見守ることができますし、夫婦の絆も深まることでしょう。特に出産直後は、母親の体の疲労・負担も大きく、精神的にも不安定な時期でもあるので、ぜひ男性も育休を取得しサポートをしてあげてほしいと思います。
※出典 令和2年度雇用均等基本調査
「育児休業」についてパートナーと話し合うときのコツは?
育児は主に女性だけが担うものではなく、夫婦二人でしていくんだという気持ちを持つことが大切です。夫婦で助け合い、悩みを分かちあいながら、子どもの成長を見守っていただきたいですね。また男性は、育児や家事を「手伝う」のではなく、自らが主体的にかかわるよう発想を変えられるといいですね。「自分事」にすることで、意識も行動も変わってくるはずです。お互いに、パートナーがやってくれていることを当たり前と思わず、感謝の気持ちを言葉にして伝えることも忘れないでくださいね。
一人ひとりが「育児休業」を知って、理解していくことが大切!
育児休業とは、社会全体で受け入れ、取り組んでいくべきこと。結婚や子どもの有無にかかわらず、一人ひとりが制度のことを知っていくことで理解が広まり、よりよい社会へとつながっていくはずです。今は育休に入る人をサポートする側だとしても、いつかはサポートを受ける側になるかもしれません。普段から、「お互い様」の気持ちでサポートし合える環境づくりを心がけていけるといいですね。そしてそのときが来たらぜひ育休を取得して、夫婦で子育てを楽しんでくださいね。
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【育児休業に関するアンケート】
調査時期:2021年10月
調査対象:マイナビニュース (セグメント:20代男女)
調査数 :857名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
[PR]提供:厚生労働省