8日、ダウンタウン・松本人志が週刊文春への訴訟を取り下げたことが発表されると、すぐに多くのネット記事が報じられ、SNSのコメントが飛び交った。

同日と翌日、日本武道館では、とんねるずが29年ぶりの2人だけでのライブを開催し、こちらも大きく報じられるなどネット上をにぎわせている。

ダウンタウンの松本は61歳で相方の浜田雅功も61歳。一方、とんねるずの石橋貴明は63歳で木梨憲武は62歳。奇しくも還暦を超えた同世代レジェンドのニュースが相次ぎ、人々がさまざまな声をあげているが、これは何を意味しそうなのか。テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • (上段左から時計回りに)石橋貴明、松本人志、浜田雅功、木梨憲武

    (上段左から時計回りに)石橋貴明、松本人志、浜田雅功、木梨憲武

6年半ぶりの特番に続く「試金石」

まず『とんねるず THE LIVE』は2日間で1万8,000人を動員。ヒット曲が満載のパワフルなステージに加えて、プラチナチケット化したことなども含め、「とんねるず健在」を見せつけたと言っていいのではないか。

ライブ前に木梨が「“全力ジジイ”の自分の歴史の思い出をね。やるだけやってみます」と語っていたが、60代の2人にとって20曲超のライブはハードであり、2日連続公演はなおのこと。それを見事に成功させたことで、世間の期待感を高め、今後の活動につながっていきそうなムードが漂っている。

振り返ること約1か月前の10月19日、ゴールデン・プライムタイム特番『とんねるずの2億4千万の大陸スペシャル』が放送された。2人そろってフジの番組に出演するのは約6年半ぶりであり、その内容はドキュメンタリー風の「笑熱大陸」と、ものまね企画の「2億4千万のものまねメドレー選手権」。いずれも2018年まで放送されていた『とんねるずのみなさんのおかげでした』の人気企画であり、「現在の影響力をはかる試金石」という感があった。

“とんねるず特番”の第2弾、第3弾はないのか。武道館ライブの成功に続く形で音楽番組への出演はないのか。フジの港浩一社長とは昭和時代の『オールナイトフジ』『とんねるずのみなさんのおかげです』から続く盟友だけに期待の声があがるのは当然だろう。

現在、地上波の出演は正月特番の『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日)のみであり、レギュラー番組の復活までは難しいかもしれない。それでも今秋のパフォーマンスと反響を踏まえると、民放主要4局でもう1~2つくらい不定期特番があっても不思議ではないように見える。もしそれが近いうちに実現したら、のちに「2024年秋は、とんねるずリスタートの時期だった」と言われるのではないか。

レジェンド2組に共通する活動意欲

一方のダウンタウンはどうなのか。

松本が訴訟を取り下げたことで、復帰に関するさまざまな声があがっている。所属の吉本興業は「活動再開につきましては、関係各所と相談の上、決まり次第、お知らせさせていただきます」などのコメントを発表した。

しかし、「性加害していないことが証明できなかった」「飲み会を繰り返し、不倫をしていたことが濃厚」「記者会見を開く意向がない」などの懸念点がある現段階では批判されるのも仕方がないだろう。

ただ、その一方で客観的にネット上の声を見ていくと、「待ってました」「早く戻ってきてほしい」などと歓迎するような声も少なくなかった。特に目を引くのは、お笑い好きと思われる人々の声。「ダウンタウンの漫才を見たい」「すぐにテレビ復帰が難しければ2人で劇場に立ってほしい」などとコンビでのリスタートを期待するニュアンスが感じられた。

国民民主党・玉木雄一郎代表の不倫が報じられ、「政治家の仕事と不倫は別で評価すべきか」という論争が起きているが、これを松本に置き換えると「芸人の仕事と不倫は別で評価すべきか」ということになる。前述したお笑い好きの人々は「別で評価できる」から待望論をあげているのだろう。裏を返せば、これから松本サイドはお笑い好き以外の人々に「別で評価したほうがいい」と思わせるような動きが求められていくのではないか。

いずれにしても8日のニュースはとんねるず、ダウンタウンというレジェンドの持つ影響力を改めて世に示すものだった。少なくとも「コンビでの活動を見たい」という待望論があるのは間違いないだろう。

このタイミングで松本が訴訟を取り下げた最大の理由は「復帰を目指す」という意欲以外に考えづらく、浜田は“そんな相方の復帰をじっと待っている”ように見える。一方のとんねるずも久々のライブと特番に挑む強い意欲を見せた。そのような「60代はまだまだ活躍できる」「元気なうちはやりたいことをやろう」という意欲的な姿勢が世間の人々に伝わるほど、2組への待望論は増していくのかもしれない。