前回、リモートワークによる「上司の監視」問題を紹介しました。今回は部下のパフォーマンスをうまく引き出すため、上司がすべきコツを解説します。
上司がリモートワークで成功するコツ
私は多くの企業で「信頼が薄くマネジメントがうまいとはいえない上司」と「信頼が厚くマネジメントがうまい上司」の違いを分析しています。
現場でみると、成功している上司は、「成果から逆算する視座」「指示出しが明確」「マイルストーン(途中の進捗報告タイミング)での後方支援」の3つを持っているということです。
成果から逆算する視座
「サボらずにまじめにやっているか」といったプロセスにばかり目を配るのではなく、「どうすればよりよい成果が出せるのか?」という成果に視座を置いています。
指示出しが明確&マイルストーンでの後方支援
仕事を振る際に、「(1)何のために(目的) (2)何を(対象) (3)どのレベルの品質で(要求水準) (4)いつまでに(納期) (5)どういうプロセスで(進捗報告タイミング)やってほしいのか (6)参考情報は何か」を明確に提示し、進捗報告のタイミングと、本人がヘルプを出してきたタイミングでのみ支援しています。
上司から部下への指示出し事例
上司から部下への、具体的な指示の仕方を紹介しましょう。
「今日(17日(から二週間後(31日)の営業会議で、みんなで商品Zの売り方を討議するために必要な(=目的)他社競合商品A・B・Cの比較検討情報を(=対象)誰でも一目でわかるよう、項目ごとにキレイに整理された(要求水準)資料を作成してください。
最終納期は会議の3日前です。メールで私に提出してください(納期)。
段取りとしては、まずは、どんな進捗かを23日に軽く状況確認させてください。そこで30分ほど内容のすり合わせをする時間を取りましょう。修正すべきところは修正して26日に15分ほど最終確認。微調整して納期日の28日に出してください(納期と進捗報告タイミング)。
作成にあたり、共有フォルダー内にある資料Zを見ると参考になると思います(参考情報は何か)。大丈夫ですか?」。
といった形で仕事を任せ、途中途中のタイミングでのみ後方支援するのです。
いかがでしょうか?
部下の監視が必要な場面
もちろん「勤怠がどうなっているか(労働時間が長すぎないかなど)」「よろしくないWEBにアクセスしていないか」「機密情報を漏洩していないか」など組織として監視が必要な領域もあります。これらの目的は、「抑止」です。
ただ、留意した方がいいのは、「抑止」の側面と「より高い成果を出してもらうにはどうしたらよいか」という側面の両方の視座を持つことが大切だという点です。
ここを混同せずにいたいものですね。