元国税局職員さんきゅう倉田です。好きなことわざは「統括官の目にも涙」です。

確定申告期間が終わるので、もう来年の申告と税金のことも考えています。医療費の領収証を集めたり、確定拠出年金を検討したり、NISAの口座を開いたり、いまからやるべきことはたくさんあります。そんな中で、今回は「ふるさと納税」について解説します。

  • 故郷には錦を、ふるさとには納税を

ふるさと納税はどうやってやるのか

そもそもどうやって、納税するのか。手続きがわからない方はふるさと納税ポータルサイトで検索してください。

自治体を選んで、お礼の品を選んで、あなたの情報を入力して、クレジットカードでもコンビニでも携帯電話料金と合わせての銀行口座から引き落としでも支払いできます。これでひとまず終わりです。

昔は、ふるさと納税をすると、確定申告をしなければいけませんでした。会社員、パート・アルバイトの方は、普段は申告しないのに、ふるさと納税のためだけに確定申告をするなんて煩わしいですよね。そんなみなさんの悲痛な叫びにお答えして、ふるさと納税先が5カ所までなら、確定申告が不要になりました。

確定申告の代わりに、ふるさと納税ポータルサイトでダウンロードできる申請書に、名前や住所を書いて、寄付の金額を書いて、チェックする場所が2カ所あるのでそこにレ点をして郵送するだけで済みます。確定申告が完全体のセルだとしたら、ヤムチャくらい簡単に倒せます。あとは、家でのんびりしていれば、お礼の品が届く。それがふるさと納税です。

ふるさと納税のいいところ

テレビや会社の同僚がおすすめしてくるふるさと納税。お礼の品がもらえるのがそんなに嬉しいのか? 金払うんだろ? と思っていませんか。ふるさと納税は、お礼の品がもらえるだけではないのです。支払ったお金のほとんどが、還ってくるんです。仕組みは後述します。

ふるさと納税は、あなたがあなたの好きな地方自治体を選んでお金を寄付する制度です。だから、いまは東京にいるけれど、地元の福岡県久留米市が繁栄してほしいなあ、でも住民税は東京で払ってるからなあ、と思ったら、久留米市にふるさと納税をすればいいわけです。さらに、使いみちもざっくり選ぶことができます。例えば、久留米市なら、子供に使ってもらうか、歴史&芸術に使ってもらうか、福祉&健康か、まちづくりか、祭り&観光か、市長のおまかせか選ぶことができます。

あなたの好きな街のあなたが育てたい部分に使ってもらうことができるのです。いつかその街に行ったとき、ああこの街路樹はオレの金で整備されたんだなあ、などと耽りながら歩けば、納税の喜びを享受できる確率80%。これらが、ふるさと納税の良いところなのです。

ふるさと納税のお金が還ってくる仕組み

払ったお金が還ってくるなら誰も得してないじゃん、と思う方がいると思います。正確には、2,000円引いた金額が還ってきます。年間で1万円のふるさと納税をしたなら8,000円、10万円なら9万8,000円、100万円なら99万8,000円が還ってきます。それがどのような流れで還ってくるかというと、所得税が還付になったり、住民税が減額されたりすることで還ってきます。

具体的にどうなるかというと、所得税の還付はあなたの銀行口座への振込、住民税の減額は毎月給与から天引きされている住民税が少なくなります。これを合わせて「還ってくる」と言っています。よくわからない方は、仕組みなんて覚えなくて大丈夫です。「2,000円負担してモノがもらえる」とだけ認識してください。仕組みはしらなくても損しません。ぼくの顔と名前と得する情報だけ覚えて帰ってください。

ふるさと納税について明るくなれましたでしょうか。ふるさと納税できる地域、使いみち、もらえるお礼の品は、ふるさと納税ポータルサイトでチェックしていただければと思います。

さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら