賃貸でも購入でもそうですが、家を選ぶなら絶対に「駅近」の物件が良いと考えている方はとても多いと思います。駅から近い物件は毎日の通勤や通学がとても便利ですし、駅前には飲食店やスーパー等の商業施設が多いので、生活利便性もとても高いですよね。
不動産のポータルサイトでも「駅徒歩5分以内」や「駅徒歩10分以内」の物件の検索数が圧倒的に多いそうです。探している方が多い=需要が高いということですので、当然、資産価値も維持しやすくなります。
駅近の物件には魅力がたくさんあるのは事実ですが、では、駅から遠い物件は避けるべきなのでしょうか?
■「駅近」が必ずしも正解ではない
私は不動産会社を経営しており、これまでお客様と何千件もの物件を見てきましたが、「駅から遠い物件=悪い物件」ということはありません。
駅から遠い物件でも、魅力的な物件はたくさんあります。
実は私自身も昨年、最寄駅から徒歩18分の中古マンションを購入して家族とともに暮らしています。
駅から徒歩18分となると、一般的には避けられがちな物件ではあるものの、実際に駅から遠い物件に暮らしてみると、駅から遠い物件ならではのメリットも感じることができました。
■駅から遠い物件のメリット
・物件価格が安い
物件の価格は駅が近ければ近いほど高くなります。駅から遠い物件は一般的に価格が安くなりますので、急行が停まる駅や人気のある駅など、より良いエリアの物件や面積が少し広めの物件が選べたり、内装のリノベーションを楽しむことができる可能性も高まります。
・周辺環境が良好
前述の通り、駅周辺には商業施設が多く利便性が高いといったメリットもありますが、背の高いビルが立ち並んでいて、人や車も多く、少しガヤガヤした雰囲気のことが多いです。
一方で、駅から離れれば離れるほど、背の高い建物は少なくなり、低層住宅街に変わっていきます。おのずと街路樹や公園などの緑も多い住環境になります。
線路からも離れ、車の交通量も少なくなるので、静かで落ち着いた住環境が期待できるのです。
・日当たりや眺望が良い可能性が高まる
低層の住宅街で緑も多い住環境ということは、日当たりや眺望が良い物件に出会える可能性も高まります。
バルコニー側が戸建住宅街になっているマンションの3階以上のお部屋などでは、眺望がずっと先まで抜けているような魅力的な物件も出てきます。
■駅から遠い物件を選ぶときに確認するポイント
・駅からの道に大きなストレスが無いか
リモートワークが普及してきたとはいえ、通勤や通学の利便性は生活の快適さに大きく影響してきます。駅からの通り道に急な坂道や階段があったり、すごく待たされる信号や踏切があったりすると、大きなストレスになってしまうかもしれません。
また、夜道が暗くて人通りが少なく、危険な道を通らないと帰れないような物件も要注意です。
駅から遠い物件の場合は駅からの"ルートの質"が良好な物件を選ぶと良いでしょう。
・バス便が充実しているか
大雨の日に駅まで歩くとなると、駅に着く頃には足元がびしょ濡れになってしまう可能性もあります。
駅から遠い物件の場合は、物件の近くにバス停があり、朝や夕方などのバスの本数が充実しているような物件を選びましょう。
・駅周辺に駐輪場があるか
駅から徒歩15分程度であれば、気持ちの良いお天気の日には歩くと適度な運動になりますし、自転車を使えば10分もかからずに駅に到着できるかと思います。
駅前に駐輪場が無いと非常に不便なので、自転車を利用する可能性のある方は、駅周辺に台数に余裕のある駐輪場があるかどうかも確認しましょう。
・スーパーが家の徒歩圏内にあるか
駅から遠くなると、商業施設も少なくなりますので、最寄りのスーパーまで歩いて10分以上かかってしまうような物件もあります。
最寄りのスーパーが遠いと生活利便性は非常に低くなってしまいますので、日々の買い物の利便性についてもしっかりと確認するようにしましょう。
・周辺環境に問題点がないか
せっかく駅から遠い物件を選ぶのであれば、周辺環境が良好な物件を選びましょう。
例えばすごく静かで落ち着いた住環境の物件や、休日に散歩ができるような大きな公園が近くにあるような物件が理想的です。
■まとめ
「家を買うなら駅近」という先入観を持っている方も多いと思いますが、駅からの距離を少し広げて探してみると、選択肢が増え、より理想に近い物件に出会える可能性は高まります。
駅から遠いというデメリットをカバーできるような魅力がたくさんあるような物件を選べば、快適で満足度の高い暮らしは実現できるかもしれません。
お住まい探しを始められる際は、最初から条件を絞りすぎずに、幅広く探してみることをおすすめします。