理想と現実……。仕事においても、友人関係、やりたいこと、いろいろひっくるめて人生においても、理想と現実が一致するにはなかなかに努力がいるものです。特に、こと恋愛となると「理想と現実」のギャップが大きすぎて、"オレの理想"のようにはいかないみたいだから、なんかもういいやとあきらめモードに入ってしまう人もけっこういるものです。
仕事や趣味、男同士の友人問題に関しては、ホントは心の奥底に大きな理想があったのだとしても、理想どおりにいかないからといってあきらめてしまうという人は少ないと思います。なぜなら、仕事や趣味は運やタイミングといった要素があるものの、努力しているのなら、時間はかかっても理想に近づけるかもしれませんし、がんばっていれば何とか希望も持てたりするはずです。
また、男友だちに関しては、なんというか付き合っていくうちに友人を温かい目で見守る域にまで達してしまい、理想の友人像なぞをアイツに求めなくても(まあ、オレも理想の男友だち的なことを求められても困るし)、これまで築き上げてきた関係による情だとかそういった目に見えないものが大事になってしまっている……というケースも多いはずです。
ところが、どういうわけか恋愛問題……対女の子のこととなると、躍起になって理想を追いかけようとする男子が後を絶ちません。理由はイロイロあると思います。
1.女の子は男子である自分と違い、未知な生き物なので、なんというか夢とロマンを持って考えてしまう部分がある。
2.仕事や人生、イロイロなことがなかなか自分の思い通りにいかないのだから、せめて恋愛くらい「ラッキー!」な大当たりがあってもいいのではないかと期待してしまう自分がどこかにいる。
3.身近なところで、あこがれているというか密かに好意を寄せている女子がいるが、実際みんなから人気があって、なかなか難しいと思う。しかし、もうけっこう好きなので、いつか何かあるかもしれないと期待している。理想は彼女と付き合うことで、妥協ならしたくない。
というように、何と言えばいいのか……宝くじ的な当たりを期待してしまうというか、実際にどうこうしようというよりは、片想いの自分を楽しんでしまっているフシもあるというか、とにかく理想の恋愛は「夢」のようであってほしい。そんなふうに考える男子が多いように思えます。
理想を追い求めるのはもちろん、いいことです。恋愛だけでなく、何をするにしても理想があったほうがいいと思います。しかし、恋愛というものは一人でできない……という大前提があるため、自分ひとりが努力したりがんばったりしても、報われないときがある。努力や一生懸命ではどうにもならないというのも、ちょっぴりさみしいけれど事実といえば事実です。
なんとなく、心の奥底でそれがわかっているから、恋愛にだけは理想や夢を求めて、あこがれの人を遠くからジーッとみつめるだけにしておいて、何もしないとか。オレの理想は、これこれこういう感じの女の子だから、そんな相手があらわれるまでは恋愛にうつつをぬかさずに仕事をする! とか。そんなふうに考えて、恋愛を後回しにしてしまうのかもしれません。
もちろん、恋愛においても理想を求めるのは大切なことですし、夢やロマンがなかったら恋愛も楽しくないものね、といえないこともありません。ですが、恋愛は自分だけでなく、相手と一緒にするものなので、どうしても何もかもすべてが自分の理想どおりにいくわけにもいかないのが現実です。
その点においては、仕事も趣味も、人生もなんでも同じような部分があると思います。自分の理想が100%、叶うとは限らない。イロイロな要素がフクザツに絡み合って、結果的には理想の70%くらいしか叶わなかった気がするけれども、がんばったし結果的に大満足~という場合も、よくあることでしょう。
恋愛も、相手が自分の思った通りに動いてくれなかったり、思っていたのとまったく違う人だったり、意外な展開、予想外のできごと、ハプニングがたくさんあったりします。そんなとき、妥協するのではなく、2人で話し合って折り合いをつけていく、違う相手だからこそおもしろい、こんな考え方もあるんだーと受け入れてみる。
坂道やデコボコ道やトンネルがたくさんあるのだけれど、2人で頑張ってそこを通り抜け、いっぱい寄り道すると楽しいことがたくさん待っている……それが恋愛かもしれません。そういうのがどうしても面倒くさいというか、たいへんなことが目に見えてしまうので、心の中の理想を追い求めて、特に現実では恋愛に対してアクションを起こさないという男性もけっこういるやもしれません。
ですが、裏を返すと、恋愛だけでなく仕事や趣味においても、すんなりスムーズにすべてがうまくいってしまうと、理想が叶ってもあまり楽しくないというか、すぐにどうでもよくなってしまうこともあると思います。何事もがんばって、時にはガクッとなりながら遠回りをしてでも理想に近づいていっているからこそ、ヨロコビが何倍にもなったり、大切に思えたりもするものです。
恋愛に理想を抱くことは大切ですけれど、理想を追い求めるばかりに、何も起きない、行動に移せない……というのでは困ってしまいます。妥協はしなくてもいいのですが、現実に恋愛の面倒くささや思い通りにいかなさ加減なども体験して、ちいさなことではビックリしない男子になってみてほしいなと思います。
酒井冬雪です。片想いがけっこう好きです。心の中の彼は、いつもやさしくて、たくさんホメてくれて、ごはんの食べ方もキレイで、物腰スマートで、お酒も飲まないしタバコも吸わないし、休日は一日中、家でゲームとかしていないので……。と言っている私にイラッとした男子のみなさんは、ぜひ現実で、女の子と楽しい恋愛をしてもらいたいところです。では、またねー。