「幼なじみ」に憧れを持つ人は多いかもしれない。『タッチ』なんて、選べる男が種類の違う双子なんだから2倍美味しい。「血のつながらない若い男女が同居」っていのもいいよな。そりゃ『みゆき』か。あだち充ってさすがだなあ。
「幼なじみ」にしろ「男女の同居」にしろ、少女漫画でとりあげられることのホント多いネタである。ハナっから、はあはあ欲情してないところが、女としては胸キュンなのだ。好きでもなんでもない、むしろ反目し合っちゃってるような関係から、どう相思相愛になるか、が恋愛少女漫画の読みどころ。
少女漫画において重要なのは、男女がいかにして心を通じ合わせるようになるか、みたいなところなので、ぶっちゃけ「出会い」はどうでもいいのだ。意外に少女漫画で男女が出会うきっかけは、クラスメートだったり幼なじみだったり会社の上司だったり、大してドラマチックではない。出会いがドラマチックになるのは、平凡な主人公が、ものすごくステイタスのある男と知り合う場合である。例として、道でぶつかった相手が芸能人だったとかだ。
すんげー古い話で恐縮だけど、少年隊のアルバム曲かなんかに、アイドルが道端で知り合った女と恋をするというのがある。その後、アイドルはコンサートの舞台で客席にいる彼女を見つける、というもの。普段は手の届かない場所にいる人と、うっかり地元で知り合うなんて夢があるなあ。調べてみたらこの歌、KAT-TUNも歌っているらしい。女の永遠の夢なんだな、アイドルとの恋愛。
さて、『ALEXANDRITE(アレクサンドライト)』は幼なじみが売れっ子モデルになる話なので、割とおいしいとこ取りな設定である。この話は『CIPHER(サイファ)』の続編で、この話の後半に重要な役割で登場したアレクサンドラ(アレク)が今度は主人公になって、男なのに女顔で悩んだり、空手か柔道かで悩んだり、出生について悩んだり、幼なじみのアンブローシア(アンブ)に片思いしたりする話である。まあなんというか、若いって悩みが多くて大変だなあって話だ。
順番としては、まず『CIPHER』を取り上げてからこっちにするべきかもしれないし、今連載中の『花よりも花の如く』を取り上げるべきかもしれないんだけど、久々に『ALEXANDRITE』を読み返してみたら、ちょっと面白い展開があったので、3歩歩いて忘れちゃわないうちに書いておこうと思う。
高校生のころに再会したアレクとアンブ。アレクはアンブにドキュンと心を奪われる。しかしアンブのほうは「いい友達だ」とか言って、相手にしてくれない。大学に入り、シヴァ(前作の主人公)とアレクとアンブで、愉快な大学生活を送り始める。
微妙に恋愛感情を持ちながら、男女のグループが楽しくやるのっていいよな。『ハチミツとクローバー』とかさ。だいたい現実では、取った取られた振った振られたで、さっさと仲が壊れちゃうもんだし。
で、初めはアレクにまったく興味のなかったアンブ、とあることをきっかけに、気持ちが急ターンするのである。突然、アレクにドキドキしだして恋愛モードに入るのだ。そのきっかけとは、アンブが「アレクには、前にきちんと付き合った女性がいるんだ」ってことに気付いたことである。
なんじゃそりゃ!? とお思いかもしれないが、それがなんで恋愛モードのスイッチになるのかは、次回のお楽しみということで。ちなみにこの戦法、絶対に守らなければいけないことがひとつある。間違って使ってる男子が多数いると思われますよ。
<つづく>