先日、20代の若者と一緒に出かけた。年齢差から言ったら『砂の城』のナタリーとフランシスにほど近い。で、これを「デートした」ことにしてネタに転化してみた。「20代の男の子とデートしちゃったよー」。おお……なんか楽しい感じだ。相手は見た目もこざっぱりしていてスポーツマンだし、自慢するには程よい。まあ本人に「あれはデートだったの?」と聞いたら、間違いなく泣いて「勘弁してください」と言われると思うので、本人には黙ってるけど。

もちろんネタとして言いふらしているだけなので、本気で説教とかしそうな人には言わないのがコツだ。ネタというのは楽しめればいいんだから。そして周りの反応が結構、興味深い。まあ大抵「それはうらやましい」と言われるな。

男性の編集担当によると、これで年上なのが男のほうで、女がうら若いとなると「わぁ、いかがわしい」と言われるらしい。同じ年の差でも、男女どちらが年上かで、まったくイメージが変わるようだ。まー、私のことをいかがわしいと思う人もいるかもしれないですが。

どうしてこういうことが起きるかというと、男がうら若い女を捕まえた場合、それは中身ではなく外見で選んだだろう、と推測されるからだ。逆に女がうら若い男を捕まえた場合、男が女を中身で選んだ、と推測される。つまり根本的に男は面食いで、それを本能のままに追い求めると若い女、いや人間中身でしょうと大人の思考になると年上の女も守備範囲、ということになる。

なんでここで男側からしか論じないかというと、性の問題は間違いなく男が主体だからだ。『キス&ネバークライ』は、そんな話だ。性について身体で感じましょう、という少女漫画はただのエロ漫画だけど、頭で考えましょうとした場合、それは間違いなくシリアスで重くて暗い話になる。そしてここら辺の微妙なニュアンスを、男は全く理解できないようである。そこが男女のいさかいの元にもなる訳ですが。

この漫画の主人公は、みちる。フィギュアスケートのトップ選手だ。愛らしい子どもだった彼女が、どうしたわけか根暗で不思議な少女へと成長しており、いったいどうしたのかしら、何がどうなってるの? というところで話が始まる。謎いっぱい、ダークなムードいっぱいに始まるストーリーである。

少女漫画で題材として取り上げられることの多いフィギュアスケートだけど、この物語はかなり異彩を放っているのだ。次回は、軽くネタバレしつつ詳細を。
<つづく>