株の取引と言えば、今やネットでやるのが当たり前となりつつありますが、証券会社でできるのは株取引だけではありません。また取引方法も、ネット以外に電話や店頭などもあります。これから証券会社に口座を開こうと思っている人はもちろん、今すでに証券会社を利用している人も、まず最初に証券会社のタイプについて知り、目的に合わせて証券会社を使い分けると便利です。

まず証券会社のタイプは大きく2つに分けられます。一つは「総合証券」といわれる証券会社。株などの売買取り次ぎを行うだけでなく、証券会社自体でも自己売買を行っていたり、企業が債券や株を発行する際にそのすべてを買い取って販売する業務(引受業務)や募集・売り出しを行うなど、幅広い業務を行っています。歴史の古い会社も多く、全国に店舗があるのが特徴です。店舗があるからといって店頭で取引をしなければいけないわけではなく、電話やネットでも取引できるところがほとんどです。

もう一つのタイプはネット取引専業の証券会社。店舗は持たず、取引はインターネットのみなのが特徴です。24時間いつでも取引ができるメリットもあります。

株などの取引を行う上で見逃せないのが株式売買委託手数料などのコスト。総合証券とネット証券を比較すると手数料は圧倒的にネット証券が安くて有利。また株の取引などを行うときには口座管理手数料がかかりますが、それもネット証券は無料のケースがほとんどです。投資金額があまり多くない人や、頻繁に売買したいならネット証券に口座を持つ方がメリット大です。

総合証券も窓口、電話、ネットとさまざまな取引形態が選べますが、ネットは窓口や電話で取引するよりも手数料が安く設定されています。ただ「店頭に行って相談したい」、「チャートを見ながら話したり、資料をもらったりして投資情報を収集したい」というなら総合証券の口座を持ち、できれば馴染みの担当者をもっておくと便利です。

総合証券とネット証券では取扱商品の種類も違いがあります。「とりあえず日本株式だけできればいい」という人はネット証券でも問題ありませんが、別の証券商品もいずれは利用してみたいと思っているなら、商品の品揃えも重要なチェックポイントになります。投資信託についてはいずれの証券会社でも品揃えを充実させていて、取扱本数自体は一部のネット証券のほうが多いぐらい。その一方で「るいとう」や「ミニ株」など通常の売買単元よりも少額で投資できる投資サービスは総合証券に軍配が。ただしネット証券でも「プチ株」や「S株」など独自の単元未満株取引ができるサービスを行っている証券会社もあります。

外国株や外国債券は証券会社によって取り扱い状況は大きく異なります。強みにしているネット証券とそうでないところとはっきりしているのでこれらの商品を利用したい人は個別の証券会社の状況をチェックするのが正解です。総合証券会社ではネットでの取引は行っていないけれど店頭ではOKというところが多いようです。なお、米国債やサムライ債などの外債は老舗の総合証券会社が品揃えの面ではリードしているといえます。

単に株の売買するだけならコストが安いのがイチバンですが、それ以外の満足度をどう判断するかによって証券会社選びは変わってきます。自分が証券会社に求めるサービスは何なのか、なるべく明確にした上で証券会社を比較するといいでしょう。

ネット取引での主な注文方法のバリエーション一覧

証券会社名 取り扱い種類数 注文方法
カブドットコム証券 7 逆指値注文(※1)、トレーリングストップ注文、W指値注文、Uターン注文、リレー注文、±指値注文、バスケット注文
マネックス証券 5 逆指値注文、ツイン指値、リバース注文、連続注文、プログラム売買(マネックストレード上)
オリックス証券 3 逆指値注文、プラス逆指値注文、連続注文
岩井証券 2 逆指値注文、逆指値+通常注文
松井証券 2 逆指値注文、追跡注文
楽天証券 2 逆指値注文、逆指値付通常注文
※上から注文方法の取り扱い種類の多い順。同数の場合は五十音順に掲載。指値、成行、寄付、引け、不成注文以外の注文ができる証券会社。注文を出しておける期間の長さは考慮に入れない
(※1)株価が売買注文時から「指定の価格まで下落したら売り」「指定の価格まで上昇したら買い」といった注文方法

堀内玲子(ほりうちれいこ)

ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。 96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。