仕事柄、多くの優秀なスペシャリストの方にインタビューさせて頂くことが多い。クリエーター、マーケッター、アーティスト、シェフ、パティシエ、スポーツ選手・・・こうした方々に共通しているのは身の回りに起こる全てのモノゴトに対して「当事者意識」を持っていることだ。

「当事者意識」とは?

では「当事者意識」を持つとはどういうことだろうか?

例えば自分の仕事上において、何らかの困ったことが起こったとする。「当事者意識」を持つ人は、まず「自分がどうすれば解決できるか」と考える。そしてすぐさま「できる方法(可能性)」を語りはじめる。その人の周囲に多くの協力者が集まり始める。

一方、「当事者意識」のない人は、困ったことが起こるとどのように考えるか。まず「他人の責任」を語り始める。そして「できない理由」を理路整然と雄弁に語り始める。気が付くと周囲からは協力者や応援者は消えている。

ポイントは、誰にでも「困ったこと」「困難なこと」に直面することがある。全てを自分一人で解決することは難しい。だから周囲からのサポートが必要となる。この「周囲のサポート」が得られるか得られないかということが、「優秀なスペシャリスト」にとっては非常に重要なことだ。

優秀なスペシャリストであればあるほど、自分が専門とする仕事以外において、多くのサポートを必要とする。「当事者意識」を持ち、身の回りに起こった困難を自分事として、どう解決していこうかと考える人と、「当事者意識」を持たず、まるで「凡庸な評論家」のように、いつまでも「できない理由」「やらない理由」を語る人物と、一体どちらの人に周囲は応援の手を差し伸べるか、その答えは明らかだ。

優秀なスペシャリストの周囲には、常に多くのサポーターがいる。自分の周りに起こる困難な出来事に対して「当事者意識」を忘れずに「解決できる方法」を考え続けるからこそ、周囲も感化されていく。

仮にスポーツで例えると、ゴルフ、野球、サッカー…どんなに優秀な選手にも頑張っても成果が出せない、いわゆるスランプに陥る時期がある。しかし、優秀なスペシャリストであれば、どんなにスランプに陥っても常に心はプレイヤーである。決して凡庸な評論家にはならない。周囲の者は困難に立ち向かうプレイヤーだからこそ、この選手を応援する。「凡庸な評論家」を決して誰も応援したりしない。


<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。