都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
4月~6月にかけて、お住まいの自治体からご自宅に「健康診断のお知らせ」のような記載がある健康診断やがん検診、歯科検診等を促すハガキや資料が送られてきた方も多いのではないでしょうか。私のところにも「健康診断等のお知らせ兼受診券」が自治体から送られてきました。複数の地域で暮らして気づいたのですが、各種検診の費用は、各自治体によって異なるようです。企業に勤務されている場合は、健康保険組合(組合健保)や、各都道府県にある全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入されているでしょうから、勤務先や加入している健康保険の中で各種検診を受診します。一方、個人事業主やフリーランスなどの自営業者の場合は、国民健康保険に加入しますので、各自治体が行う各種検診を受診します。ただし、自治体によっては、会社員であっても、以下のケースは自治体が行う各種検診を受診できる場合があります。
・住民票がある自治体が行う検診について、会社員が加入している健康保険で同様の検診がない場合
・健康保険の被扶養者で(例:夫が会社員で妻が専業主婦である場合の専業主婦)、健康保険で行う検診を受診できない場合
受診できるかできないかは、各自治体によって異なりますので、ご自宅に送付されてきた「健康診断のお知らせ」や、自治体のホームページ等で、受診できる人の要件を確認してみましょう。
今回は、「肺がん検診」をピックアップして、受診要件や費用を自治体ごとに見てみましょう。検診費用が無料の地域もあれば、有料の地域もあります。費用が全国統一されているわけではありません。
自治体が行う検診(一部)
※1 50歳以上で「喫煙指数」が600以上の人が対象です。喫煙指数=1日の喫煙本数×喫煙年数
※2 実施期間は、2023(令和5)年度の日程です。
全国健康保険協会(協会けんぽ)が行う検診
全国健康保険協会(協会けんぽ)では、「肺がん検診」という個別の検診はなく、約30項目の全般的な検査を行う「一般検診」の中に胸部X線検査なども含まれます。基本的には、胸部X線検査は、被保険者のみが対象ですが、一部の地域では、被扶養者も胸部X線検査等も受診できるところもあります。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している方は、検診できる内容を確認してみましょう。2023(令和5)年度の費用では、「一般検診」が最高で5,282円です。
健康保険組合(組合けんぽ)が行う検診
健康保険組合(組合けんぽ)では、被保険者の検診は基本的に無料ですが、それぞれの健康保険組合によって検診内容が異なります。 注意点として、健康保険の被扶養者が各種検診を受診する場合、有料となる場合が多いので、被扶養者はどの検診を受診できるのか、有料の場合の費用はいくらなのか、受診できない検診は、自治体が行う検診を受診できるのかなど確認してみましょう。
仕事や家事等の都合上、がん検診などの各種検診を後回しにしてしまう方も多いと思いますが、やはり自分の体の「今の状況」を知ることは大切なことです。ちなみに、2021年度のがん死亡数の順位は、1位肺がん、2位大腸がん、3位胃がんです(出典:国立がん研究センターがん情報サービス)。多くの自治体は、上位3つのがん検診を実施しています。早めの受診を心がけましょう。