マグロを使った缶詰と聞けば、まず思い浮ぶのはツナ缶じゃないでしょうか。
でも缶詰博士の黒川氏によると「ほかにもステーキや大和煮、しぐれ煮などがあって、地味だけど奥が深い世界ですよ」とのこと。知らなかった。
この7月にも新しいマグロ缶が誕生したそうで、これまでにない味に仕上がっているそうです。さてどんな缶詰なのでしょう?
缶詰で頭肉が食べられる
希少部位と聞くと胸がときめく。「知る人ぞ知る」「めったに食べられません」などというあおり文句も付随し、食べたい欲はぐんぐん上昇する。
マグロ頭肉というのもそんな魅力を持った部位である。漁港近くの専門店でないと食べられないような(よく知らんけど)、そういうイメージがある。
ところが、である。この7月1日に「ミナミマグロ頭肉のオリーブ油漬け 香草仕立て」という缶詰が発売された。造り手は「STIサンヨー」で、昔からツナ缶メーカーとして知られている創業70年越えのメーカーだ。
マグロの扱いに関してはプロだろうから、かなり期待できるのではないか? というか缶詰で頭肉が食べられるなんて、何て素晴らしいことか!
ざっくりプロヴァンス風
開缶して驚いた。肉の形状がブロック状じゃないですか。メーカーがSTIサンヨーなので、何となく頭の中でツナ缶のフレーク肉を想像していたらしい(同社はツナ缶の老舗)。でもこれはツナ缶ではない。マグロ缶である。
立ち昇るのは香草とオリーブオイルの匂いだ。エルブ・ド・プロヴァンスという混合ハーブが使われているそうだから、ざっくり「プロヴァンス風」と言っちゃってもいいと思う。
そういえば昔、「南仏プロヴァンスの12か月」という本を読んだっけ。あれは面白かったなァ。
うま味を含んだ魚のジュース
肉をひとつ取り出して、しげしげと眺める。頭肉はうま味が濃いけどスジが多いのが欠点と言われている。しかしスジはコラーゲンで出来ているから、加熱すれば溶ける。これは缶詰だから、スジは溶けているはずである。
そのまま食べてみたら、肉は舌で押しただけで崩れてしまった。あらためて歯でかむと、コラーゲンというか脂というか、うま味を含んだ魚のジュースが湧き出してくる。スジ感はまったくなし。
強めに利かせたエルブ・ド・プロヴァンスの香りがいかにも南仏風である。
温まってさらにジューシー
かくのごとし。缶に入っていたオリーブオイルでニンニクと唐辛子を炒め、茹でたパスタを合わせてトマトで味付け。最後に頭肉をさっと絡めて、形が崩れないように仕上げた。このブロック肉は崩したらもったいない。じっくりかんで味わいたい。
頭肉は温まったことで風味が際立ち、コラーゲンと脂も溶けてさらにジューシーになった。ひと口ずつ惜しみながらかみしめ、それをおかずにパスタを頬張る。うん、ウマいですよこの缶詰。
缶詰情報
STIサンヨー/ミナミマグロ頭肉のオリーブ油漬け 香草仕立て 125g 1000円 焼津の土産店や缶詰専門店などで販売予定