「またホテイフーズがやりました!」と叫びながらやって来たのは、みなさんご存じの缶詰博士・黒川勇人氏。この人は缶詰のことになると大騒ぎをする人ですが、今日はただ事じゃないご様子。何があったんですか?
「見てよこれ。 何と、富士宮やきそばの缶詰です!」
ホテイさんは怒られないのか
やきとり缶で知られるホテイフーズが、とんでもないことをしてくれた。静岡県が誇る「富士宮やきそば」(B-1グランプリで2度優勝)を、缶詰にしてしまったのだ。
コシのある太麺に肉かす(ラードを絞ったあとの背脂)を加え、ソースで甘辛ーく炒めて、あまつさえ出し粉(イワシ削り節)まで振りかけてしまった。
こんな大それたことをして、ホテイさんは大丈夫なのか。B1グランプリの主催者や、富士宮やきそばを出しているお店など、そういう方面から怒られないのだろうか。
ソースが焦げた香ばしい匂い
"ホテイさんが怒られないか問題"はちょっと置いておき、まずは開缶。
うん、紛うことなき富士宮やきそばだ。褐色に染まった太麺と、合間には肉かすらしきもの、削り節らしきもの、キャベツらしきものが見える。
キャベツは細かくなっているので、よーく目をこらさないと判らないサイズだ。鼻を寄せてスンスンすると、ソースが焦げた香ばしい匂いが立ち昇る。うん、紛うことなき富士宮やきそばだ。
アンテナショップが監修
皿に盛りつけると、この通り。よく眺めると、麺の長さが短いことが判る。何でだろ? 早速ホテイフーズのM氏に聞いてみると「缶から食べやすいように、麺はあえて短くカットしました」と、明解な答えが返ってきた。
ふーん。まあそれはいいとして、"ホテイさん怒られないか問題"も気になるので、ずばり訊いてみた。
「こんな缶詰を造ってしまって、B1グランプリから怒られないですか?」
「はい。B1グランプリの主催者から公認をいただいてます」
「ふーん、そうなの。じゃあお店のほうは?」
「はい。実は富士宮やきそばアンテナショップの監修で製造しております」
ふーん、そうなの……。缶璧な仕事ぶりですな、ホテイさん!
翌朝のやきそば
かくのごとく、やきそばパンにしてみた。ちょうどいいパンが売ってなかったため、既製のやきそばパンを買い、中身だけ入れ替えるという荒技を敢行。
まずは麺だけを食べてみる。ふむ、ふむ。焼きたての富士宮やきそばのようなコシはない。でも、モチモチとした弾力はある。
これまで、小麦粉で造った麺類の缶詰は、少なくとも日本では販売されてなかった。なぜなら、小麦粉で造った麺は、加圧・加熱殺菌すると、麺が溶けたり、互いにくっついたりして、とても食べられない状態になるからだ。
それに対して、この麺の食感はちょっと缶動(感動)できるレベルだ。例えて申せば、夕方に買った富士宮やきそばをうっかり食べ忘れてしまい、翌朝に食べたような、そういう食感であります。僕はこれ、好き。
缶詰情報
ホテイフーズコーポレーション/富士宮やきそば 110g 540円
8月1日より同社オンラインショップ、静岡県内の土産店などで入手可