加熱式たばこや電子たばこが市民権を得て久しい。最近のデバイスは吸いごたえもあるし、一方でたばこ臭さのようなものは少ないし、イイことだらけ。イイことだらけなんだけど、たま〜に紙巻きたばこが無性に吸いたくなるのはなぜなのか……。

もともと紙巻きたばこに慣れ親しんでいた人間として、やはりあのガツンとくる「たばこ臭さ」を本能的に求めているのかもしれない。であれば、紙巻きたばこもいいが、本格的にガツンとくる葉巻を定期的にキメるのもアリなんじゃないだろうか。

ということで、連載「Barで”最高の一服”を」、今回の舞台は表参道にある「シガーバー シャドネィ」。名店中の名店と呼ばれるシガーバーは、やはり雰囲気から一味違うぞ!

■オリジナル葉巻とヘネシー、20年もののラムで乾杯!

1997年にオープンした「シガーバー シャドネィ」は、若者たちで溢れかえる原宿エリアの一角に位置する。厳密に言えば、1997年に「ワインレストラン&シガークラブ シャドネィ」がオープンし、1999年に現体制でリニューアルオープンしたようだ。

本連載を通して葉巻のプロたちにいろんな話を聞いてきたが、実はその中で、「葉巻が好きなら、原宿のシャドネィには絶対に一度は行ったほうがいい」との証言がたびたび得られていた。プロがそう口を揃えるような店である。一体どんな魅力があるのだろうかと楽しみにしていたが……いやはや、マジでスゴかったわ。

店はラフォーレ原宿の交差点からほど近いところにあるので、街行く人はガチで若者率高め。そんな日本有数の賑やかスポットにシガーバーの名店があるのは意外といえば意外かもしれない。

しかし、原宿ピアザビルの地下にくだり店内に入ると、そこには原宿の喧騒からは完全にシャットアウトされた別世界が確かに広がっていた。地上と地下の空気感のギャップが、なんとも言えない特別な感情を訪問者に与えてくれる。

広々とした店内はクラシックながらどこかモダンで、絶妙なボリュームで流れるJAZZが耳に心地良い。どこか威厳のようなものを感じるが、それ以上にすごく落ち着く。まさか原宿にこんな空間があったとは……中学生くらいからこのへんで遊んできたけど、本当に知らなかった。

葉巻の品揃えは素晴らしく、ハバナシガーの頂点に立つ最高級ブランド「コイーバ」も充実。中には1万円を超えるような高級品がいくつもあるが、当然、自分はまだまだその域には達していない。「葉巻初心者でも楽しみやすい葉巻は何ありますか?」とスタッフさんに尋ねてみたところ、オススメしてくれたのが「Robusto」というオリジナル葉巻だ。よし、葉巻はこれに決めた。

ドリンクメニューもかなり豊富で、目が眩むような年代物のウイスキーなどもズラリ……。

コイーバのようなキューバ産の葉巻とニカラグア産の葉巻とでは相性のいい飲み物も変わってくるらしい。先ほど指定した葉巻にはブランデーやラムが好相性とのことなので、まずはブランデー「ヘネシーX.O」を注文してみることに。

ほどなくしてヘネシーが到着。美しく輝く琥珀色に目が奪われる。めっちゃ神々しいな。味が感じやすいようストレートで注文したが、ソーダ割りやロックなど客の好みにも対応してくれるという。

続いて葉巻が到着。なんと、最初から火をつけて持ってきてくれたではないか。初心者に優しい気遣いである。それでは、まずは葉巻を一吸い……ふぅー……。

おお〜っ。程よい苦みと芳醇な香り。少しスパイシーなフレーバーも感じられる。すっごく美味しい……。続けて、口を湿らす程度にヘネシーを飲んでみると……うわっ、めっちゃ合う!

葉巻の苦みと芳ばしさ、そしてブランデーの甘みや芳醇さがパズルのピースのようにビタッとハマる。ブランデーの甘みが葉巻の苦みを引き立て、葉巻の苦みがまたブランデーの甘みを引き立てるというか……。要は互いの良さを引き出し合っている感じね。初心者でもこの相性のよさは明らかにわかる。さすがにわかるぞ……!

続けて、「サンティアゴ・デ・クーバ・エクストラ・アニェホ」という20年もののラムもオーダー。こちらはロックでお願いしてみた。上品で柔らかく、口に含んだ瞬間にまろやかさを感じつつ、ほんのりとした甘さが後味に残る。

葉巻との相性も素晴らしい。ラムの甘みはもちろん、氷で冷えているぶん葉巻の温かな煙との間でギャップのようなものが生まれ、それもまた心地いいアクセントとなっているようだ。

そもそも、ブランデーのときも思ったが、グラスもとにかく美しい。店内の落ち着いた照明が反射して、優雅な気分をさらに高めてくれる。「今、この原宿エリアでこんなに大人な遊び方をしている人、他にいないでしょ」と思える愉悦……ああ〜、最高の時間だわ〜。

上質な空間で、一服の素晴らしさを再認識できる「シガーバー シャドネィ」。原宿へお立ち寄りの際はぜひ、特別な時間を味わってみてほしい。