石川県七尾市の「加賀屋」は、2023年度の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で総合1位に選ばれた人気の温泉旅館だ。2021年、その一角に葉巻を楽しめる「Cigar Bar笹笛」がオープンした。温泉旅館で葉巻を楽しめるという非日常空間を体験してみたい。

  • 温泉旅館「加賀屋」内にある「Cigar Bar笹笛」

■皇室も訪れた和倉温泉の「加賀屋」

北陸随一の"海の温泉"として知られる、石川県七尾市の和倉温泉。開湯1,200年を超える歴史ある温泉郷において、ひときわ目を引くのが温泉旅館「加賀屋」だ。明治39年に創業し、たびたび皇室のご宿泊場所としても選ばれた。「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」においては最長36年連続で総合部門1位に選出されており、その屋号は国内のみならず海外にも轟いている。

  • 国内外から高い評価を受ける温泉旅館「加賀屋」

  • 七尾湾の波穏やかな海を一望できるラウンジ「飛天」

  • 吹き抜けの中央、中2階に浮かぶ「バー しぐれ」

  • 能登の雄大な眺めが魅力の大浴場。写真は海風を肌で感じられる空中露天風呂

■日常を離れて極上の葉巻を楽しめる「Cigar Bar笹笛」

加賀屋のおもてなしを支える流儀が、「お客様に『ノー』と言わない」。この流儀を表すかのように、館内にはさまざまな施設が用意されている。2021年にオープンした「Cigar Bar笹笛」も、そんな加賀屋のおもてなしのひとつと言えるだろう。

  • 2021年にオープンした「Cigar Bar笹笛」

この場所にはもともとカラオケバーがあったというが、団体客から個人客への移行や、多様化するお客様への対応として、この「Cigar Bar笹笛」がリニューアルオープンした形だ。空調は受動喫煙に配慮されており、宿泊客でなくても利用できるため、葉巻を楽しむために訪れることもできる。

  • 照明の明るさを抑え、落ち着いた空間が演出されている

  • 店内奥には電気ヒュミドールとワインセラーが光を放っている

加賀屋の営業本部 第一営業部長を務める張原 滋 氏は「葉巻を吸うという体験は、いまや非日常です。そして旅館もまた、非日常を楽しむ空間です。近年、改正健康増進法などによってお煙草を吸われる方は窮屈な思いをされております。そんなお客さまにも日常から離れ、煙を燻らせながらゆったりとお過ごしいただける場を提供したいと思いました」と、その思いを語る。

  • 葉巻のみならず、加熱式たばこも用意されている

店内には、キューバ産の銘柄を中心に10種類前後の葉巻を取りそろえ、紙巻きたばこや加熱式たばこの喫煙もOK。シングルモルトやワイン、ブランデー、カクテルなどのアルコールドリンクとともに極上のシガータイムを楽しむことができる。

  • キューバ産、ドミニカ産のほか、国内ブレンドの葉巻も

  • シングルモルトやワイン、ブランデーとともに葉巻を楽しめる

葉巻とお酒のペアリングセットも提供されており、シガーバーに馴染みの薄い人でも入りやすいだろう。葉巻1本を吸いきるのにおよそ1時間ほどかかるため、一般的なバーと比べても、時間あたりの値段は思いのほかリーズナブルだ。

  • シガーバー笹笛のメニュー。初来店時は、まずペアリングセットから楽しんでみたい

客層の中心は、50~60代の男性だが、女性も決して少なくないという。30~40代の家族連れの夫婦が、夜に落ち着いて紫煙をくゆらせることもあるそうだ。夕食に舌鼓を打ち、温泉にじっくり浸かったあとの一服は、まさに至高のひとときになるだろう。

  • 葉巻の知識がなくとも、知識豊富なバーテンダーがフォローしてくれる

■より嗜好品として魅力が増した葉巻

健康意識の高まりとともにたばこを吸える場所は減少し、たばこを楽しむ人は年々数を減らしている。これ自体は仕方のないことだが、その一方で葉巻はより非日常的な嗜好品となり、好事家から見た魅力はより輝きを増している。近年は、シガーバーでだけ葉巻や紙たばこを楽しむという人も増えているという。

  • シガーバーでおいしいお酒とともに楽しむ一服は、いまだ多くの人を魅了する

加賀屋はバーの開店に合わせ、42カ所ある宴会場のうち、小宴会場2カ所を加熱式たばこに限り喫煙可能にした。もちろん、館内各所には喫煙所も完備している。

  • 美術品で彩られた喫煙室はここでしか味わえない贅沢な空間だ

  • 障子ごしの光で落ち着いた一時を過ごせる喫煙室

日頃の喧噪を離れ、非日常を楽しめる加賀屋は、紙たばこや葉巻を楽しむ人にとっても心安まる空間だった。日頃から葉巻を楽しまれている方、葉巻にチャレンジしてみたい方は、旅行とともに「Cigar Bar笹笛」を訪れてみるのも良さそうだ。