年齢とともに目立ち始める「たるみ」や「しわ」。肌の老化は、皮膚の構造変化や生活習慣など、複数の要因が重なり合って進行します。そのため、やみくもな対策では効果を感じにくいこともあります。

今回は医師監修のもと、肌の老化のメカニズムと予防ケアについて解説します。仕組みを理解しながら、若々しい肌を保つために本当に必要なアプローチを選びましょう。

しわ・たるみができる仕組み

  • しわ・たるみができる仕組みは?

    しわ・たるみができる仕組みは?

肌のたるみやしわは、加齢による真皮のコラーゲンの減少だけでなく、紫外線による線維の変性、表情筋の癖、皮下脂肪の変化など、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。

真皮構造の変化とは

肌の約95%を占め、ハリや弾力を支える土台となっているのが「真皮」です。網目状に張り巡らされたコラーゲン線維と、それらを結び付けて伸縮性を与えるエラスチン線維、さらに隙間を埋めるヒアルロン酸などの基質で構成されています。 しかし加齢とともに、これらの線維を生み出す線維芽細胞の働きは低下し、線維量の減少や劣化が進行。結果として弾力性が大きく損なわれ、真皮の支持力が弱まり、たるみや深いしわ、ほうれい線が目立ちやすくなるのです。

コラーゲンが減る理由

真皮内のコラーゲンは、新しいものへと作り替えられる新陳代謝(ターンオーバー)を繰り返すことで、質と量が保たれています。この代謝サイクルが乱れることが、コラーゲンが減少する根本的な要因です。加齢に伴い、コラーゲンを生み出す線維芽細胞の働きは徐々に低下します。その結果、新しいコラーゲンの生成速度が低下する一方で劣化も進行し、肌の土台が加速度的に弱まっていきます。

肌老化のサイン

加齢に伴う変化のサインとして、まず挙げられるのが肌のハリ不足です。頬を押してもすぐに戻らない、フェイスラインがぼやける、ファンデーションで毛穴が目立つといった形で現れます。これはコラーゲンやエラスチンを生み出す線維芽細胞の働きが低下し、真皮の弾力が失われるためです。 次に、肌のくすみやごわつきも特徴的です。ターンオーバーが遅くなり、古い角質が残りやすくなることで、肌表面が硬くなって光が乱反射し、透明感が低下します。 さらに、刺激を受けやすくなる、乾燥しやすくなるといった変化もみられます。これは角層のバリア機能が弱まったり、真皮の密度が低下したりすることで、外的刺激に対してデリケートになるためです。

老化を加速させる3大原因

  • 老化を加速させる3大要因は?

    老化を加速させる3大要因は?

肌の老化を加速させる主な要因は「光老化」「酸化」「糖化」です。これらは肌の構造や機能に影響を与え、老化のスピードを加速させてしまいます。

最大の敵は「光老化」

たるみやしわなどの老化現象に大きく関わるのが、紫外線によって生じる「光老化」です。研究では、肌の老化の8割以上が光老化によるものとされています。特にUVAは波長が長く、真皮まで到達します。そこでコラーゲン繊維やエラスチン繊維に酸化ストレスを与え、変性を引き起こすだけでなく、コラーゲン繊維・エラスチン繊維を分解する酵素(MMP)を過剰に産生させてしまいます。 結果として、真皮の弾力が低下し、たるみやしわが進みやすくなります。

肌をサビつかせる「酸化」

体内で発生する活性酸素が細胞や組織にダメージを与える現象が「酸化」です。活性酸素はコラーゲン繊維やエラスチン繊維を劣化させ、しなやかさを失った“硬い繊維”にしてしまいます。また、細胞膜の脂質が酸化されると、細胞が本来の機能を発揮できなくなり、肌の老化が進行します。生活習慣の乱れ、UV、ストレスなども活性酸素の増加に関与します。

肌を硬くする「糖化」

糖とタンパク質が結びつくことで起こる「糖化」も老化の大きな要因です。最終的にAGEs(終末糖化産物)という老化物質が生成され、コラーゲン繊維やエラスチン繊維の柔軟性を奪ってしまいます。AGEsは分解されにくいため蓄積しやすく、肌は硬く、弾力を失った状態に。また、AGEs自体が黄褐色であることから、肌のくすみ(黄ぐすみ)としても現れます。

肌の老化予防には毎日のケアが大切

  • 肌の老化予防につながるケア方法は?

    肌の老化予防につながるケア方法は?

肌の老化は、日々の生活習慣や環境刺激が積み重なることで進行します。そのため、特別なケアよりも、毎日の基本ケアを続けることが予防において最も重要です。

徹底すべきUV対策

肌老化の予防において、紫外線対策は最優先です。季節や天候に関わらず、一年を通して日焼け止めを使用しましょう。特にUVAは波長が長く、窓ガラスを透過して真皮に到達し、コラーゲン線維やエラスチン線維の変性や分解を促すことが知られています。

日焼け止めを顔と首に均一に塗布し、数時間ごとに塗り直すことが大切です。室内でも油断せず、塗り忘れや塗りムラにも注意しましょう。

鍵となるのは保湿成分

肌の水分を保持するために重要なのは、真皮のヒアルロン酸と、表皮の天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質(セラミドなど)です。真皮のヒアルロン酸は大量の水分を保持して内側からハリを支え、角層のNMFや細胞間脂質は水分の蒸散を防ぎながらバリア機能を保っています。ヒアルロン酸やセラミドなどの保湿成分を適切に補うことで乾燥を防ぎ、肌のハリや弾力を保つことにつながります。

摩擦レスなお手入れを

日々のスキンケアでは、肌をこすったり叩いたりしない「摩擦レスケア」が重要です。強い摩擦は角層を傷つけてバリア機能を低下させ、外的刺激に対して敏感になり、慢性的な炎症の原因になります。こうした炎症は真皮でコラーゲンやエラスチンを分解する酵素(MMPs)の産生を促すことが報告されています。 クレンジングや洗顔、化粧水を塗布する際は、指先や手のひらの力を抜いて優しく触れることを意識しましょう。

肌の老化防止のために内側からの土台作りを心がけよう

  • 肌の老化予防につながるインナーケアは?

    肌の老化予防につながるインナーケアは?

たるみやしわなどの老化を防ぐには、外側だけでなく内側のケアも欠かせません。生活習慣や体内環境を整え、肌の土台を支える意識を持ちましょう。

抗酸化力を高める食事

老化に関わる酸化ストレスを和らげるためには、体内にもともと備わっている抗酸化力を食事でサポートすることが大切です。ビタミンC・ビタミンEのほか、セサミンやカテキンなどのポリフェノール類は、活性酸素の影響を抑える働きが期待されています。 これらの栄養素を日常的に取り入れることで、細胞を酸化ストレスから守り、肌の健康維持に役立ちます。

質の高い睡眠と運動

睡眠中、特に深いノンレム睡眠の間に分泌される成長ホルモンは、コラーゲン繊維やエラスチン繊維を生成する線維芽細胞の働きを助け、肌細胞の修復と再生を促します。逆に、睡眠不足は修復が滞り、老化を加速させる原因に。 また、適度な運動は血行を促進し、肌に酸素や栄養を届けるとともに代謝を高めます。血行促進や炎症ストレスの軽減、睡眠の質の改善などを通じて、老化が進みにくい体内環境を整えるという効果も。

禁煙とストレス対策

喫煙は血管を収縮させて血行を悪化させ、真皮の修復や再生効率を低下させる要因になります。また有害物質やストレスは活性酸素の増加を招き、肌の酸化ストレスを高めることに。禁煙を実践するとともに、ストレスケアや自律神経のバランスを整えることで、コラーゲンの生成が働きやすい環境づくりにつながります。

シワ改善成分を取り入れる

たるみやしわの根本的な改善を目指すため、真皮へ直接的に働きかける方法も。ナイアシンアミドや資生堂の「純粋レチノール」、ポーラの「ニールワン」などが「シワ改善」の有効成分として認可されています。これらの有効成分は、線維芽細胞を活性化し、コラーゲンやエラスチンの生産を促すことで、肌の弾力を内側から回復させます。

今日から肌老化の予防を始めよう

肌の老化は、加齢だけではなく紫外線や酸化、糖化といった外的・内的要因が複合的に関わって進行します。たるみやしわを予防するためには、真皮の構造を守るための紫外線対策や保湿などの外側からのケアに加え、抗酸化を意識した食事や禁煙、良質な睡眠など、体内環境を整える生活習慣も重要です。特別な方法に頼るのではなく、毎日の積み重ねによって老化の進行を緩やかにし、肌本来の健康を維持していきましょう。

高藤円香先生より

肌の老化はとても気になる問題です。日焼けをしすぎないことや肌に良い成分探して塗ったり、お化粧をしっかり落としたりすることも大切です。ただ、それだけではなく体に良い成分の食事を摂ることなど、お肌のケアは日々の積み重ねが大切です。この記事が参考になれば幸いです。

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