日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトは4月9日、各地域で暑熱順化が必要となるタイミングの目安を示す「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第1回)」を公式サイトで公開する。
本格的な暑さを迎える前に、事前に体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」の大切さについて広く知ってもらうことを目的としている。同プロジェクトでは、2021年から公式サイトにて「暑熱順化」のコンテンツを公開するなど、暑熱順化の大切さを伝え続けている。
暑熱順化とは、暑くなる前からできる熱中症の対策の一つに、暑さに強い体づくりがある。暑さに強い体を作るためには、バランスの良い食事や十分な睡眠以外に、「暑熱順化」をすることも大切だ。暑熱順化とは、体が暑さに慣れることである。
暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まる。暑熱順化には個人差もあるが、数日から2週間程度かかる。暑くなる前から余裕をもって体を暑さに慣れさせることが大切である。
「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線」とは、軽い運動や湯船につかる入浴などで意識して汗をかき、体を暑さに慣れさせる暑熱順化を始めるタイミングの目安を示している。
昨年(2025年)の6月〜8月の平均気温の偏差は、2023年および2024年の記録(+1.76℃)を大幅に上回り、最も高い値(+2.36℃)を記録した。2025年8月5日には群馬県伊勢崎市で最高気温41.8℃を記録し、国内の歴代最高気温を更新した。さらに、最高気温40℃以上を観測した地点は延べ30地点と過去最多となり、6月〜8月に全国のアメダス地点で観測された猛暑日(最高気温35℃以上)地点は延べ9,385地点で、2010年以降で最多となるなど、暑さによる記録更新が相次いだ。
今年の4月の気温は、全国的に平年より高い見込みで、急な暑さが予想される。晴れて日ざしのある環境と同じように、室内等でも条件によっては熱中症に注意が必要だ。
多くの人が暑熱順化できていない4月〜5月のタイミングでは、「春の熱中症」に特に注意が必要だ。暑熱順化を早めに意識し、暑さに負けない体づくりを行おう。軽い運動や湯船につかる入浴など、無理のない範囲で意識して汗をかくことが対策につながる。
また、本格的な夏を迎える前に、エアコンの点検や試運転を行う、暑さ対策アイテムをそろえるなど、熱中症に対しても防災意識を高め、「備える」ことが大切だ。熱中症は、台風や大雨と同じように、事前に備えることで被害を軽減できる気象災害の一つととらえ、自分や周りの方を暑さから守ることが必要だ。
同プロジェクトでは、暑熱順化を始める目安となるタイミングとあわせて、暑熱順化の具体的な方法を、公式サイトやX(旧Twitter)の公式アカウント(@netsuzero2013)で随時発信していく。
なお、「熱中症ゼロへ」では、今後、盛夏の暑さを迎える前の6月上旬ごろを目処に、「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線(第2回)」を発表する予定だ。
「熱中症ゼロへ」プロジェクトの「暑熱順化」コンテンツページでは、印刷して活用できる「暑熱順化ポイントマニュアル」も掲載している。同マニュアルでは、暑熱順化の知識を深め、日常生活で取り組めるポイントをわかりやすくまとめている。
この先の気象傾向について、日本気象協会所属 気象予報士/防災士/熱中症予防指導員 久保智子からの見解を紹介する。
4月〜5月の気温は全国的に平年より高く、東日本や西日本を中心に、5月でも最高気温が30℃以上の真夏日になる所があるだろう。季節外れの暑さで熱中症にならないよう、適度な運動を行い、バランスの良い食事や十分な睡眠をとるなど、暑さに負けない体づくりを心がけてほしい。 今年の夏は、上空の偏西風が日本付近で平年よりやや北を流れ、太平洋高気圧の本州付近への張り出しが強まるため、日本付近は暖かい空気に覆われやすいだろう。気温は全国的に平年より高く、4年連続で猛暑になりそうだ。
梅雨時期の降水量は平年並みだが、局地的な大雨に注意が必要だ。 今年の夏にはエルニーニョ現象が発生する可能性が高い予想だ。エルニーニョ=冷夏というイメージがあるかもしれないが、エルニーニョ現象が発生した2023年の夏は記録的な暑さとなった。今年の夏も様々な要因で猛暑が予想されている。早めに熱中症対策を行おう。



