3月14日、大手町三井ホールで開催された「第12回マイナビキャリア甲子園」の「Breakthrough 部門」決勝大会。全国3,151チーム、1万1,668名の応募から勝ち上がった6チームのうち、ミツカンのテーマに挑んだのがRugby School Japan/早稲田高等学校の「ノーサイド」である。

同チームは、高校生の間食習慣と新型栄養失調という課題に着目し、納豆をスナック化した商品「サクまめ」を提案。視聴者賞と優勝をW受賞するなど、審査員からも高く評価された。

  • 「第12回マイナビキャリア甲子園」の「Breakthrough 部門」でW授賞となったミツカン代表チームの「ノーサイド」

    「第12回マイナビキャリア甲子園」の「Breakthrough 部門」でW授賞となったミツカン代表チームの「ノーサイド」

高校生の間食習慣から浮かび上がる新型栄養失調という課題

ノーサイドの発表は、「お菓子が好きな人は手を挙げてください」という呼びかけから始まった。彼らが示したのは、高校生にとってお菓子や間食がいかに身近な存在かという現実だ。ノーサイドは高校生40人へのインタビューや街頭調査を行い、グミやチョコレートといった間食が好まれていること、日々の食事よりもおやつのほうが気分転換になると考える高校生が少なくないことを明らかにした。

一方で、間食の後には「太るかも」「体に悪いかも」といった罪悪感も生まれているという。そこで、学校が終わってから部活動が始まるまでの、空腹を感じやすい時間帯を「魔のスキマ時間」と定義。この時間帯に、高脂質・高糖質なお菓子を選び、罪悪感を抱えながらもまた食べてしまうという悪循環が起きていると指摘した。

その先にある社会課題として同チームが提示したのが「新型栄養失調」である。これは、糖質や脂質などのカロリーは足りていても、体に必要なビタミンやミネラルが不足している状態で、本人に自覚がないまま進行しやすい点が大きな問題だという。ノーサイド独自の調査によると、この新型栄養失調について知らなかった高校生は93%にも上るとのこと。さらに、現代人の約86%が新型栄養失調のリスクを抱えているというデータも示した。

その背景として、20代では主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上とる割合が高くないことや、若年層の男性でビタミンやミネラルなどの摂取量が推定平均必要量を下回る割合が高いことも紹介された。

この課題に対して、ノーサイドが解決の鍵として選んだのが納豆である。発表では、納豆にはたんぱく質、カルシウム、ビタミンB2、カリウム、鉄分、食物繊維などが含まれており、現代人の栄養不足を補う可能性があると指摘。しかも発酵食品であることから、うま味や栄養面でも強みがあると訴えた。

ただし、納豆には若年層に広がりにくく、20代が納豆を食べない理由として、「昔から食べる習慣がない」「臭いが嫌い」「味が嫌い」「ねばねばした食感が嫌い」などが挙げられた。発表では、ノーサイドメンバーによる寸劇形式で、「納豆っておいしいし栄養価も高いから、いつでもどこでも食べたいんですけど、やっぱり食べた後の匂いだったり、ネバネバっていうのが気になっちゃう」という声が紹介された。

こうした意見を踏まえて、ノーサイドは「納豆は今、食卓という場面に閉じ込められている存在になってしまっています」と問題提起した。ミツカンの企業理念「やがて、いのちに、変わるもの。」と大会の大テーマ「Borderless Age」を重ね合わせながら、彼らが設定したプレゼンテーマは、「日々の若年層の間食を未来につなげる」というものであった。

三つの転換で生まれた「サクまめ」

課題への答えとしてノーサイドが打ち出したのが、納豆をスナック化した商品「サクまめ」である。「納豆を、オカシいぐらい気軽に。」というコピーとともに、「金のつぶ AIR サクまめ」という商品イメージも提示された。

特徴は、納豆に三つの“転換”を加えた点にある。一つめは、ネバネバからザクザクへと変える「食感の転換」。フリーズドライ技術で納豆の水分を飛ばし、米粉やコーンスターチなどで一口サイズに固めることで、スナックのような軽い食感を実現するアイデアだ。二つめは、食卓から「いつでもどこでも」へと広げる「場所の転換」。フリーズドライ化による物理的なにおいの抑制に加え、ミツカン独自の「N64菌」を活用し、納豆特有のにおいを抑える工夫が示された。三つめは、たれからパウダーへと変える「味付けの転換」。付属のたれをシーズニングパウダーにすることで、若年層にも親しみやすい味わいを目指す提案となっている。

ノーサイドは、これを単なるアイデアにとどめず、「夢物語ではない、確かな戦略」と明言している。製造は「既存技術の掛け合わせ」で実現でき、流通も「コンビニやスーパーへの流通網」を活用できると説明。さらに、若年層には「罪悪感ゼロのおいしさ」、社会には「新型栄養失調の解決」、ミツカンには「若年層顧客の獲得」という「Win-Win-Winのサイクル」を紹介した。

売上計画については、全国の高校生の5%に当たる16.5万人が、200円の「サクまめ」を週2回、52週間購入すると仮定し、年間売上約35億円に到達する試算を提示していた。

世界への事業展開や第2の企画まで提示

ノーサイドの発表は「サクまめ」だけで終わらなかった。近年拡大するプロバイオティクス市場にも目を向け、「サクまめ」は国内だけでなく海外にも広げられると説明。韓国ではキムチ味、中国では花椒味、インドではカレー味、アメリカではBBQ味にローカライズする案も示された。

さらにチームは、第2の企画として「サクまめ+」も提示した。これは「納豆のさらなる解放」を目指したもので、フリーズドライした納豆を粉末化し、粒からパウダーへという「形態の転換」を実現する構想である。朝のスムージーや味噌汁、ヨーグルトなどに手軽に加えることができ、「無味無臭で納豆の栄養をそのまま摂れる粉末」として提案。さらに、BtoCだけでなくBtoBの原料事業にもつなげる方向性についても語られた。

「サクまめ」は高校生の未来の健康習慣のみならず、世代や国を越えて多くの人々へと影響を広げていく。そんなビジョンを示し、ノーサイドは発表を終えた。

視聴者賞と優勝のダブル受賞! 実現性と高校生ならではの着眼点が評価

表彰式では、まず視聴者賞が発表され、25.49%の得票率を集めたのは「ノーサイド」に。プレゼンターは、「審査員だけでなく、オーディエンスの心もつかむもの」とコメントし、「一番歓声が上がって、観客を味方につけていた」とたたえた。

これを受けてメンバーは、「選んでくださった視聴者の皆さん本当にありがとうございます」と感謝を述べつつ、「まだ目指すべきところがあるので、まだまだ気を抜かずに、とりあえず一旦喜びたいと思います」とコメントしていた。

そして、優勝発表へ。ノーサイドの名前が呼ばれると、メンバー同士で抱き合って喜ぶ様子が見られた。受賞理由として挙げられたのは、「ミツカンが持つ技術をしっかり理解し、その上で新しい商品を提案している」こと、「高校生の等身大の課題」から出発していること、そして「何よりも実現性があった」ことである。

受賞後、チームはミツカンの担当者や家族、仲間への感謝を述べた上で、「審査員の方々にも僕たちの実現性、ミツカンがやる意義、そして高校生の視点から新たなソリューションを開発するというところをご評価いただいて本当に感謝しかないです」と、視聴者賞と優勝のW受賞を果たした快挙について気持ちを語った。