3月14日、大手町三井ホールで「第12回マイナビキャリア甲子園」の「Breakthrough 部門」決勝大会が開催された。全国3,151チーム、1万1,668名の応募から勝ち上がった6チームが登壇し、企業が出題したテーマに対するビジネスアイデアを発表。
今回の大テーマは「Borderless Age」。決勝に進んだ6チームは、それぞれ半年以上かけて練り上げた提案を10分間のプレゼンテーションにまとめ、会場と配信の視聴者に届けた。
審査員は朝日メディアラボベンチャーズ代表取締役社長・パートナーの野澤博氏、文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ! 留学JAPAN」広報・マーケティングチームリーダーの西川朋子氏、非営利株式会社ピロウ 代表取締役 東京大学大学院情報学府修士課程の江連千佳氏、マイナビ執行役員の林俊夫氏が務めた。
過去最多の応募を勝ち抜いた6チームが大手町三井ホールに集結
「マイナビキャリア甲子園」は、高校生が企業ごとの問いに向き合い、チームで練り上げたアイデアを発表する大会。2014年のスタート以来、参加者は年々増えており、第12回となる今回は全国から3,151チーム、1万1,668名が参加。大テーマ「Borderless Age」のもとで各企業が設定した課題に挑み、決勝大会では、その代表に選ばれたチームがアイデアを披露した。
大会冒頭では、司会を務めた辻よしなり氏と日比麻音子アナウンサーから、今年が過去最多の参加数だったことや、「Breakthrough 部門」に6チームが進出したことが紹介された。審査は1次評価と2次評価を合わせた320点満点で行われ、優勝チームには100万円分の無期限海外旅行券が贈られるほか、視聴者投票による視聴者賞が設けられていることも示された。
前半3チームが出した答えは「生成AI」「子育て支援」「教育改革」
最初に登壇したのは、tdi(情報技術開発株式会社)のテーマに挑んだ近江兄弟社高等学校の学生起業チーム「Luke Nexus」。同チームは、生成AIを活用して大人の経験と若者をつなぐ世代間交流プラットフォームを提案した。
プレゼンでは「私たちにとってボーダーとは、大人と学生の間にある大きな溝です」と語り、「“人生を共有する”“経験を伝達する”新たな文化」を日本でも実現したいと訴えた。さらに、プロトタイプの開発を進めており、本年10月上旬のアプリリリースを目標にしていることも明かした。質疑では、AI時代に過去世代の仕事の記録がどれほど役立つのかが問われ、チームは「AIの発展による仕事の変化」は踏まえつつも、人の経験そのものには価値があると説明していた。
続いて、日本生命代表チームの「すこやか班」が登壇した。佐久長聖高等学校/浜松市立高等学校/静岡県立浜松東高等学校の混成チームである。彼女らが向き合ったのは、児童虐待という社会課題。
提案したのは、AIを搭載した母子手帳アプリだ。年間58万5,934件の児童虐待通報という現状を示しながら、母親のメンタルサポートを通じて早い段階で支援につなげる構想を発表した。身近な接点である母子手帳から支援の仕組みを考えた点や、しっかりとフィールドワークでデータを収集した点が特徴。質疑応答では、アプリをダウンロードしてもらう難しさについての質問に対し、「妊娠検査薬にQRコードを入れる」などのアイデアを提案した。
3組目は、アビームコンサルティング代表チームの「場道究探」(京都市立堀川高等学校)。テーマは「アビームのコンサルタントとして、あなたの通っている高校が2050年においても選ばれる学校であり続けるためにどのような“変革”や“成長”を実現すべきか。そのために必要なアイデアを提案せよ」。
同チームは「日本の教育を改革し、ボーダレスな社会を実現できるような提案」を掲げ、高校生が小中学生の探究学習を支える仕組みを提示した。
発表では「高校生が小・中学生の思考を筋道立てて整理したり、探究の伴走者になる」と説明。その核にあるファシリテーションについて、「構造化や場のデザイン」はAIが部分的に担える一方で、「対人関係や合意形成」は人が身につけるべき力だと述べていた。また、堀川高校のモデルを全国に広げ、企業を巻き込む形で持続可能な形にしていくビジネスモデルについても提案を行った。
後半3チームが挑んだテーマは「食」「買い物」「まちづくり」
後半最初に登壇したのは、ミツカンのテーマに取り組んだRugby School Japan/早稲田高等学校の「ノーサイド」。高校生の間食習慣に着目し、納豆をスナック化した商品「サクまめ」を提案した。納豆を「食卓という場面」から解放し、「若年層に共感される食体験」をつくろうとする発想。質疑応答では、他メーカーとの差別化について問われ、ミツカンのブランド力、においを発生させない独自の納豆菌、そして食感を優位性として挙げた。価格設定についても、渋谷でのインタビュー調査をもとに、高校生が手に取りやすい水準を検討したことを語った。
5組目は、Qoo10(eBay Japan合同会社)のテーマに挑んだ渋谷教育学園渋谷高等学校の「borderlesz」。同チームは、ECにおける“がっかりショッピング”を課題に設定し、肌分析、バーチャルメイク、香りの再現を組み合わせたスマートミラー「mirAI.」を提案した。 プレゼンでは、「このリップ思ってた発色違うし、何か匂いも好きじゃないかも」という身近な失敗談から入り、「がっかりショッピングはもう終わり」と訴えた。質疑では、香り再現機能の社会実装について質問が出され、チームはまだ実装段階ではないとしつつ、サイズ面などの課題も見据えながら実現可能性を検討していると答えた。
最後に登壇したのは、コスモスイニシアのテーマに挑んだ、同じく渋谷教育学園渋谷高等学校の「いのへっだー」だ。提案したのは、偶然のきっかけを生み出すサービス「Serendy」である。街に設置したガチャからランダムなクエストを引き、新しい場所や人との接点をつくる構想である。発表では、「わくわく感」や「偶発的な人の出会い」が生まれる点が魅力として語られた。質疑では、受け入れ側の施設にとってのメリットや、人気施設ばかりに集中しない設計をどうつくるかが問われていた。
ミツカン代表チーム「ノーサイド」が視聴者賞と優勝をW受賞!
全6組の発表後には、審査員による講評が行われた。審査員の江連氏は「身近な課題から社会全体の課題って広げていく力が素晴らしかった」と振り返り、日常の気づきを社会課題へつなげる視点を高く評価した。また、野澤氏は「アイデアを凝縮させて発展させていくレベル感は本当に高校生なのかなと思った」と称賛し、「今日の結果は一瞬のことでしかない。この機会にトライしたことが必ず皆さんの人生にプラスになる」とエールを送った。
最初に発表された視聴者賞は、25.49%の得票率を集めた「ノーサイド」に。同チームは、「選んでくださった視聴者の皆さん本当にありがとうございます」と感謝を述べ、「まだ目指すべきもの(優勝)があるので、とりあえず一旦喜びたいと思います」と笑顔を見せた。
続いて準優勝に選ばれたのは、日本生命代表チームの「すこやか班」。日本生命のリソースを活用するアイデアや、調査・インタビューを通じて高い実現性が感じられる案だった点が高く評価された。受賞を受けて、すこやか班のメンバーは「たくさんの人にありがとうございますと伝えたい」と語り、「優勝いただけなかったところに悔しい思いもある」と率直な気持ちを語った。
そして、「第12回マイナビキャリア甲子園」の優勝を勝ち取ったのは「ノーサイド」だ。発表の瞬間には、メンバー同士で抱き合って喜ぶ様子が見られた。
優勝理由については、「ミツカンさんが持っている今の技術をしっかり理解していくと、その上で新しい商品を提案している」ことに加え、「高校生の等身大の課題」から出発しており、「何よりも実現性があった」ことが挙げられた。視聴者賞とのW受賞となったノーサイドは、受賞後に「審査員の方々にも僕たちの実現性、そして既存のアイデアを組み合わせてミツカンがやる意義をご評価いただいて本当に感謝しかない」とコメントした。
企業が出題するテーマに対して、高校生がチームを組んで課題解決に挑む「マイナビキャリア甲子園」。今年も生成AI、子育て支援、教育、食、EC、まちづくりと、多彩なテーマに対する提案が生まれた。司会の日比アナウンサーが最後に語った通り、「ここからが最初の始まり」である。半年以上をかけて磨いたアイデアが一堂に会した「Breakthrough 部門」決勝大会は、大きな盛り上がりと未来への期待の中で幕を閉じた。











