
世界各国/地域の編集部が選ぶローリングストーン誌の「Future 25」。日本版が独自にピックアップした2026年の"日本代表"25組を一挙紹介する。
「Future of Music」はローリングストーン誌が展開する、”未来の音楽のあり方”をテーマとした特集プラットフォーム。その中心コンテンツ「Future 25」では、ジャンルを問わず25組の新進気鋭アーティストを毎年選出し、次世代のキーパーソンを紹介してきた。2023年に本国USでスタートした本特集は、翌年から世界各地の編集部が独自にアーティストを推薦するグローバル・プロジェクトへと発展。国際化が進む音楽シーンの最前線を捉えている。
MAZZEL、ME:I、明日の叙景、紫 今、花冷え。らを選出した2024年(vol.26)、Chevon、kurayamisaka、みんなのきもち、夢限大みゅーたいぷ等を選出した2025年(vol.30)に続いて、Rolling Stone Japanでは第3回となる「Future 25」を選出。快進撃を続ける3ピースバンド・OddRe:を筆頭に、J-POP、ロック、ジャズ、ヒップホップ、R&B、ドリームポップ、ボカロ、アイドル、「TOKYO NEW MIXTURE」からトゥルーパンクバンドまで、メインストリームとアンダーグラウンド、もしくはバーチャルとリアルの垣根を越えて個性溢れる顔ぶれを揃えた。日本のシーンはかつての閉鎖的な環境を脱し、グローバルかつボーダレスなつながりを急速に深めている。新たな価値観を提示する若き才能たちの活躍から、進むべき未来の青写真が見えてくるはずだ。(小熊俊哉)

最新号vol.34では全36ページの大型特集「Future of Music」をフィーチャー。バックカバーにはOddRe:を起用(Photo by Yukitaka Amemiya)

「Future of Music」はグローバル連動企画。US版編集部は過去3年の「Future 25」でNewJeans、ペソ・プルマ、ドーチー、おとぼけビ〜バ〜、チャペル・ローン、ベンソン・ブーン、カトリエル&パコ・アモロソなどを取り上げてきた。今年はローラ・ヤングなど3組が同特集号の表紙を飾る(Photo by David LaChapelle)
◆「Future of Music」日本版選出アーティスト

OddRe:
理屈を壊し、本能で踊れ

Photo by Yukitaka Amemiya
今回、2026年の「日本代表」25組を代表する形でバックカバーを飾ってくれたのが、OddRe:。音楽塾ヴォイスで出会ったAirA(Vo)、ユウキ サダ(B・Vo)、SOI ANFIVER(Gt・Comp・Trackmaker)の3人によって、2024年6月に結成。その1年後の2025年6月に、名刺代わりの1曲「FEVER TIME」をリリースして以降、3人のルーツである洋楽と日本のロック/ボーカロイドを掛け合わせた独自のダンスミュージックによって一気にシーンを席巻。その破竹の勢いのまま、2026年2月にメジャーデビューを果たした。狂騒の渦中にいる3人に、「踊れ」というバンド名に込めた真意などを聞いた。(松本侃士)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.34」にインタビュー掲載
▼INTERVIEW
OddRe:が語る、「いいから踊れ」の真意、この時代にバンドをやる理由
yosugala
アイドルであることを誇りに、境界線を越えていく

Photo by Tatsuro Kimura
ロックバンドのAliAのメンバーや平地孝次らが手掛けるエモーショナルな楽曲と、圧倒的な歌唱力を駆使した熱量高いパフォーマンスでアイドルシーンにて急速に注目を集め、2025年12月にメジャーデビューした4人組、yosugala。新たなステージで放つニューEP『No Border』は、彼女たちの変わらない信念と、境界線や限界を定めずどこまでも進化していく覚悟を刻んだ一枚だ。その求心力の源はどこにあるのか。激動の最中にあってさらに輝きを増す、メンバーの黒坂未来、汐見まとい、未白ちあ、君島凪に話を聞いた。(北野創)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.34」にインタビュー掲載
Meg Bonus
覚醒したポストジャンルの申し子
「驚き」よりも「美しさ」を求めて

Photo by Mitsuru Nishimura
2005年生まれの現在20歳、作詞・作曲・プロデュースのすべてを自ら手掛ける野本慶によるソロプロジェクト・Meg Bonus。国内外の良質な音楽を貪欲に吸収し、音楽をアートとして捉える独自の審美眼でアウトプットされた楽曲たちは、もはや「ポストジャンル」というラベリングも必要とせず、現代における大文字の「ポップ」としてグローバルに響く可能性を秘めている。2ndアルバム『TO THE YOU (ME) I MET BEFORE』のリリースを機に、これまでの歩みを語ってもらった。(金子厚武)
※3月25日発売「Rolling Stone Japan vol.34」にインタビュー掲載
松井秀太郎
ジャズ新時代を象徴する、若きトランペッターの感性

Photo by Kazushi Toyota
日本のジャズに新しい世代の波が訪れ、20代がシーンを席巻している。その筆頭が1999年生まれの松井秀太郎だ。姫カットや衣装を含めた風貌、印象的なステージングにも目を奪われるが、たった一音だけで強いインパクトを残すことができるトランペットこそ最大の個性。強い意志が宿ったその音色で、すでに多くのファンを魅了し、クラシックやポップスの世界まで横断している。そんな松井が、これまでと今をじっくり語ってくれた。(柳樂光隆)
Rol3ert
世界中のリスナーが熱視線を送る
モダンでボーダレスな20歳の大器

2005年にアメリカで生まれ、2歳から日本で育った20歳のシンガーソングライター。マイケル・ジャクソンがルーツだが、Rol3ert(ロバート)の名を拡散させるきっかけとなったInstagramに投稿されたカバー動画では、アデルやショーン・キングストンなど多様なジャンルの楽曲をピックアップ。2025年1月に本格的に活動をスタートさせた。80s~90sのポップスやロックからの影響を感じさせ、The 1975、keshi、Jojiらとの接続も感じさせるモダンで良質なサウンド。英語詞をメインにしながらも時折日本語詞を混ぜ、独特の起伏が生まれている。本格的な活動開始からわずか8カ月で昨年のフジロックに出演。Spotifyでは22カ国の「New Music Friday」にプログラムされ、ドイツ、オーストラリア、アジア各国のリスナーから支持を集めた。今年3月には韓国・ソウルで開催される「MUZPOP JAM 2026」への出演が決まり、初の海外ライブが実現することに。海外での活動が増えていくことは間違いないだろう。(小松香里)
▼COLUMN
Rol3ertが示す、唯一無二の音楽世界 突如シーンに現れた20歳の才能
5leaf
リアルな物語を低音ボイスで紡ぐ
広島発の次世代ラッパー

広島出身のフィメールラッパー、5Leaf(ファイブリーフ)。低音で落ち着いたハスキーな声と、研ぎ澄まされたストイックなラップが持ち味。複雑な家庭環境や地元の仲間、家計を支えるために働きながら高校に通った日々など、自身の現実を飾らず描くリリックは世代を超えて共感を集める。歌唱力も高く、ラップとメロディを横断する表現力で楽曲に奥行きを与えている。『ラップスタア2024』の出演で注目を浴び、2025年には客演を一切迎えない1stアルバム『bud』を発表。全国クラブツアーや地元に密着した活動を重ね、2026年にはついにバンドセットでのワンマンライブを成功させた。インディペンデントで歩みを進めながら着実に支持を拡大し、ローカルから自立的なムーブメントを生み出している点も特筆すべきだ。自身のルーツに根ざしたリアルなストーリーは、日本のヒップホップの現在地を体現する存在として、海外リスナーにも届きうる普遍性を備えている。(MINORI)
Black petrol
UKサウンドを爆発的アンサンブルに昇華
言語の壁を越えて「踊らせる」音楽集団

京都発のナードでハードな音楽集団、Black petrolは今もっとも現場で目撃すべきバンドの一つだ。かつてホームレスを経験し、路上演奏で食いつなぎながら腕を磨いたリーダー・takaosoma(Gt)を筆頭に、大学のジャズ研を背景にもつ精鋭メンバーが揃い踏み。高度な演奏力をもつ彼らの爆発的アンサンブルと呼応するように、スケプタやセントラル・シーの影響を公言するSOMAOTA(Rap, Vo)が、クールかつ赤裸々なリリックを放つ。今年1月のタイ・バンコク公演では、初見の観客たちがコール&レスポンスを巻き起こし、あまりの熱狂ぶりに入場規制がかかったほど。3月リリースの2ndアルバム『Diaspora』では、エズラ・コレクティヴなどのUKジャズや、グライム、ダブステップ、ガラージの要素を血肉化し、フロアを躍動させるためのサウンドを追求。w.a.uやS.A.R.などジャンルを越境する新世代と共鳴しつつ、理屈抜きに身体を揺らすサウンドを武器に「天下統一」への旅を続ける。(小熊俊哉)
▼INTERVIEW
京都から世界へ──Black petrolが語るUKジャズ/ラップとの共鳴が生んだ『Diaspora』、ホームレスからの天下統一
Doona
ブラックミュージックをラウドに鳴らし
「TOKYO NEW MIXTURE」を体現

Doona(ドゥーナ)は音楽専門学校の同級生を中心に東京で結成された、2002年生まれの5人組。R&Bやファンクに由来するグルーヴやコード感を内面化しつつ、2025年4月にリリースしたロック色の強いシングル「RUN」がTikTokでバイラルすると、以降はよりエナジェティックな表現を追求。セクションごとにジャンルを切り替える自身のスタイルを「TOKYO NEW MIXTURE」と形容し、トラップやドリルのビートも飲み込みながら、アグレッシブなバンドとして進化している。それはSNS時代の生存戦略というよりも、ネオシティポップの台頭とラウドロックの隆盛を同時に浴びてきた世代として、ルーツを素直にアウトプットする術を獲得した結果だ。2025年9月に渋谷WWWで開催した初ワンマン『THE GARAGE』ではタイトル通りガレージをイメージしたアートスペースを展開するなど、ストリートなビジュアルセンスも光る。初の東名阪ツアーも控えており、彼らの描く都市のフォルムは東京をはみ出て広がりつつある。(サイトウマサヒロ)
FUJIBASE
すべてを自ら手がけるマルチな逸材
バーチャルな音世界は「逃避できる場所」

2024年に始動したソロプロジェクトアーティスト、FUJIBASE(フジベース)。小学生の頃からドラムを叩き、音楽専門学校もドラム専攻で入学したものの、「自分が想像する曲を忠実に再現したい」という強い意欲からソロプロジェクトをスタート。すると瞬く間に評価を受け、ミュージシャンからも注目を集めるように。すでにASIAN KUNG-FU GENERATIONのドラマー、伊地知潔に自分の楽曲で叩いてもらうという夢も叶えた。聴き手にとって「逃避できる場所を作りたい」という思いのもと、ハードロックやメタルコアの肉体性とバーチャルな世界を想起させるサウンドを融合させた音像を作り上げている。さらに活動2年目にして、ドラマ『silent』『海のはじまり』で話題の生方美久が脚本を手がけた『嘘が嘘で嘘は嘘だ』主題歌に抜擢された。その楽曲「yosuga」が偶然ラジオから流れてきたとき、思わず手を止めてしまったほど、FUJIBASEの楽曲には強烈な気迫がある。(矢島由佳子)
ハク。
キュートなオルタナで海外も魅了
飛躍を期す大阪発4ピースバンド

2019年結成、大阪を中心に活動する4ピースバンド。2024年にMONO NO AWAREの「かむかもしかもにどもかも!」をカバーした動画がバズを生み、その影響は日本のみならず海外にも波及。近年J-POPに対する注目が世界的に高まっていたなか、日本語に興味を持つ多くのファンが「早口言葉」に反応し、しかもそれをキュートな雰囲気の4人が洗練された演奏とアレンジで鳴らすことで相乗効果が生まれたと考えられる。また、初期は浮遊感のあるギターポップを鳴らしていたが、2025年発表のメジャーデビュー曲「それしか言えない」では、歪みを増やし、ワーミーを用いたギターワークで、よりオルタナティブな魅力を獲得していて、2010年代におけるねごとや赤い公園を連想させる部分も。当時はまだ海外との距離が遠かったが、すでに韓国のフェスでMONO NO AWAREのステージにボーカルのあいが登場して大歓声を浴びたように、新たなJ-POPのアイコンとして飛躍を期待したい。(金子厚武)
▼INTERVIEW
ハク。が語る「それしか言えない」曖昧さと爆発力で更新するポップの核
Homunculu$
メンフィスと歌謡が溶け合う衝撃
和歌山発の「突然変異」が席巻中

和歌山が生んだ突然変異──ビートメイカー/プロデューサーのHomunculu$(ホムンクルス)は、TOFU、7、MIKADOら地元アーティストを手掛けながら台頭した2020年代の重要人物。Jin DoggやWatsonら全国区のラッパーともコラボを重ね、日本語ヒップホップシーンに欠かせない存在となっている。音楽性は一言では語り尽くせない。昭和の歌謡曲からの引用もあれば、トラップ、UKドリル、そして傾倒するメンフィスラップのダークなグルーヴを融合。オールドスクール・メンフィスなドラムを現代に呼び込んだかのようなビートは、ラッパーの言葉を最大限に引き出す強度を持つ。2025年6月には盟友MIKADOとの全曲プロデュース作『HOMUNCULUS』でヒップホップチャート1位を獲得。TOFUの楽曲MVがYouTubeで海外からも反響を呼ぶなど、グローバルな浸透も着実だ。ZOT on the WAVEとの共同プロデュースで活動の幅をさらに拡張しながら、独自のスタイルを体現する稀代のビートメイカーとして注目され続けている。(上野拓朗)
iVy
音楽とビジュアルが作用し合う
親密かつ幻想的なドリームポップ

2023年に宅録ユニットとして活動を開始したiVy(アイビー)は、fuki(Vo, Gt)とpupu(Vo, Key)による二人組。2025年リリースの1stアルバム『混乱するアパタイト』が注目を集めた。彼女たちを語るうえで欠かせないのは、架空のキャラクター「iVyちゃん」をめぐる世界観だ。童話やおとぎ話を思わせる幻想性と、日本のアニメ/漫画カルチャーに通じる視覚的・物語的感性が重なり合い、音楽とビジュアルが相互に作用することで独自のムードを生み出している。サウンドの基調となるのは、シューゲイザーやドリームポップといったテクスチャー志向の音像。淡く滲むギターや浮遊するシンセのレイヤーが、どこか寄る辺のない感覚をまとわせる。その質感には、SoundCloud発のアーティストに通底するベッドルーム的な親密さと、インターネット以降の浮遊感が反映されている面も。ライブのダイナミクスも増しており、繊細さと強度が共存するパフォーマンスは必見だ。(つやちゃん)
Lavt
ロックとポップ、知性とエモーション
”今”を体現するシンガーソングライター

2002年生まれのシンガーソングライター、Lavt(ラウト)。小学3年生の頃にASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴いてベースを始め、中学生になると「歌ってみた」をネットにアップする。ボカロPとしての活動を経て、大学へ進学。2023年より「Lavt」名義で活動をスタートさせた。2000年代邦ロック、2010年代ボカロミュージックを通過し、The 1975などUK・USポップス/インディロックを取り入れたサウンドに、ティーンエイジャーたちが熱狂中。今年1〜2月に行われた2度目のワンマンツアーは東京・名古屋・大阪の3公演がソールドアウト。現場では目をキラキラさせながら一音一音を聴き逃すまいと全身で楽しむフレッシュなリスナーたちが眩しかった。楽曲群はLavtが音楽的な知性と器用さを兼ね備えていることが明白なクオリティで、歌詞も「哀愁」と「それでも前進しようとするポジティビティ」の伝え方に長けている。(矢島由佳子)
MON7A
インフルエンサーかつ万能型
無敵の感性を持つZ世代アーティスト

まだMON7A(もんた)を知らないならやばいかも。SNSフォロワー280万人を超える18歳。昨年MON7Aの撮影スタイルがミーム化し、日本のみならず韓国、タイ、ベトナムなどにまでファン層を拡大。恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』に参加すると、「おひな様」こと長浜広奈と話題をかっさらった。ファッションモデルとしても活躍中。さらにNewsPicks主宰「newZnew」などのメディアに出ればZ世代を代表したコメントを求められる。幼い頃からピアノやギターに触れて、高校では軽音部に所属。家族でMr.ChildrenやSuchmosのコピーバンドをやっていたという微笑ましいエピソードもある。同世代が振り向く音や振付、ファッション、アートワークに対する完璧な感度を持ち、自分のルーツであるバンドにDTMを掛け合わせた音楽性を追求している。初めてリリースした「おやすみTaxi」は国内外のSpotifyバイラルチャートにランクインを果たした。(矢島由佳子)
moreru
トゥルーパンクバンドの名に偽りなし
ノイズとスリルで聴く者を震わす

2018年結成の6人組”トゥルーパンクバンド”。彼らはブラストビートと絶叫を絶対視する血走った目線を伴って、肉体と精神の極限状態をネットカルチャーやサブカル的モチーフに接続する。フォークソングに宿る情念を激情ハードコアの形式に重ね、空間を埋め尽くすノイズをミームの感染力へ転化。そうしてクリーピーパスタのようなトラウマとなり、リスナーに癒えない傷を残すことこそが目的なのだ。そのスリルがライブでは夢咲みちる(Vo)の破壊的パフォーマンスに託され、小腸分裂との共催企画『evilspa』にてクラブシーンともコネクトする。アメリカでは10代を中心に過熱するSkramzコミュニティに受容されており、2025年には中国・韓国・台湾を巡るアジアツアーも敢行した。ロックスター君臨の宣言から幕を開ける最新アルバム『ぼぼくくととききみみだだけけののせせかかいい』が示す通り、その過剰さは実のところ自己破滅よりパンクの射程を拡張させた未来へと向かっている。(サイトウマサヒロ)
レトロリロン
強固なメロディと演奏力で飛躍
快進撃を続けるポップスバンド

2020年6月、15歳から音楽活動を始めたシンガーソングライター・涼音(Vo, Ag)に加え、miri(Key)、飯沼一暁(Ba)、永山タイキ(Dr)という同じ音楽大学に在学中の4人により結成。涼音の中毒性のあるソウルフルなボーカリゼーション、4人のメンバーのバラバラのルーツと個性がぶつかり合って生まれる緻密なアンサンブルとグッドメロディを宿したジャンルレスな楽曲を次々と生み出すポップスバンドだ。1st EP『インナーダイアログ』、2nd EP『ロンリーパラドックス』、3rd EP『アナザーダイバーシティ』で音楽の進化と人間の成長を描く3部作を完結させた後、2025年5月に「UNITY」でメジャーデビュー。リリースされたばかりの1stフルアルバム『コレクションアローン』は、ジャンルレスが当たり前の時代におけるポップミュージックのひとつの指標となるような高い完成度の一枚。複数の春フェスへの出演が決まっており、2026年のポップシーンの台風の目となりそうだ。(小松香里)
Sala
兄と支え合い、唯一無二の歌を追求
R&B/ヒップホップ新星シンガー

SalaはR&Bやヒップホップを基盤に、澄みわたる歌声で聴き手の感情にそっと寄り添うポップセンスを備えた湘南出身のシンガーだ。楽曲制作には実兄のRyoma Takamuraがプロデューサーとして参加しており、グローバルポップや現行R&Bの潮流を取り込みながら、日本語と英語を自在に行き交い歌とラップをシームレスに融合するスタイルを築いてきた。そのボーダレスなアプローチは2020年代のポップミュージックの空気感を的確に捉え、親密なメロディと洗練されたビートが響き合うことで、国内外に開かれた音像を提示している。日常の機微をすくい取るリリックも多くの共感を呼び、Z世代を象徴する存在として存在感を高めてきた。2024年の1stアルバム『EVERY HOUR』を経て、2025年にはよりオーガニックな質感を表現したEP『High Tide』を発表し多数のプレイリスト入り。メインストリームからの評価も着実に高まり、次代を担うアーティストとしての期待を集めている最中だ。(つやちゃん)
Siero
脱力と狂気が同居するラップ
地下シーンのゲームチェンジャー

東京のアンダーグラウンドとインターネットを起点に支持を拡大してきたラッパー、Siero(シエロ)。『ラップスタア2025』出演を機に注目を集めるようになったが、評価を決定づけたのは2025年12月リリースの最新アルバムで、彼にとって10代最後の作品になった『THE GOAT TAPE 4』だ。「ニコニコ」「SHINJUKU」などの曲に象徴される、遊び心のある言葉選びと予測不能な構成、脱力と狂気が同居するラップは強烈な中毒性を孕んでいる。欲や葛藤をむき出しにする素直なリリック、KOHH(現・千葉雄喜)に衝撃を受けてラップを始めた初期衝動。New JazzやGloなど海外アンダーグラウンドの潮流と共振しつつ、ネットカルチャーを経由して広がる支持を背景に、東京のリアリティを更新する存在へと成長している。実験性とポップネスを両立させながら、国境を越えて解釈されうる独自のラップを提示しており、今後の活躍が楽しみだ。(MINORI)
STARGLOW
壮大な夢を追いかけ、実現していく
BMSG第3のボーイズグループ

ボーイズグループオーディション「THE LAST PIECE」から生まれたSTARGLOW(スターグロウ)。SKY-HIがCEOを務めるBMSGのBE:FIRST、MAZZEL、HANAに続くダンス&ボーカルグループだ。RUI、TAIKI、KANON、GOICHI、ADAMという、それぞれのスタイルを尖らせ続ける5人が結集し、唯一無二の輝きを放つ。2度グラミー賞ノミネート経験を持ちロサンゼルスを拠点に活動するソングライター/プロデューサーのデイビット・アークライトとソロアーティストして活動するウィル・ジェイのコライトにより制作されたデビュー曲「Star Wish」を2026年1月にリリース。音楽に魅せられ、自らの音楽表現を突き詰め続ける5人ならではの狂おしい「音楽への女神」への愛を切ない歌/ラップに乗せた。その約1カ月後、イギリスの音楽メディアNMEの世界中の注目すべき新進気鋭アーティストを選出するリスト「The NME 100: Essential Emerging Artists For 2026」に日本から唯一選出。グローバルな活躍が期待されている。(小松香里)
テクノポップ・有機・シンセサイザーちゃん
アニメ、ゲーム、ボカロを横断
次元と次元を電子音楽で繋ぐ

バーチャルとリアルの隙間、アニメやゲームやVTuberのどれにも当てはまらない死角から突如現れた、次元と次元を電子音楽で繋ぐアイコン的存在、とでも呼べばいいのか。人気インディーゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』の作者・にゃるらと、トラックメイカーの原口沙輔が主導する本プロジェクトの中心にいるのは、キャラクターにして実在の存在でもあるテクノポップ・有機・シンセサイザーちゃん。2025年10月、ボカロPのNamitapeが提供したアシッドなテクノポップ「エレクトリック・ミラージュ・感情」で電気羊が見る甘い夢のようなデジタルトリップミュージックを届けると、今年1月には大沢伸一によるブーミーかつ実験色の強い「me・愛・ラ・sun・虫」を発表。シンセちゃんのアニメ的な萌え声とにゃるらによる脱構築的な詞世界が邂逅したダンスミュージックの快楽性は唯一無二。日本のポップカルチャーが育んできたキャラクターと音楽の関係性の極点がここに。(北野創)
THE DO DO DO's
剥き出しの初期衝動、ポップなメロディ
ガレージロックの系譜を継ぐ3人組

2022年に千葉で結成された、クハラディ・クハラダ(Vo, Gt)、ヒノ・ヨーコ(Vo, Gt)、アオイマジン(Dr)による3ピースバンド、THE DO DO DO's。ビートルズへのオマージュを宿したメンバー名が示す通り、ロックの歴史へのリスペクトを骨格に、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンやザ・ホワイト・ストライプスが切り拓いたベースレス編成のガレージロックを独自に消化。2本のギターとドラムだけが生む削ぎ落とされたグルーヴを鳴らす。「上手いよりかっこいいが好き」という、初めて楽器を鳴らしたときの衝撃そのままに、男女ツインボーカルが生むポップなメロディと、荒々しく剥き出しの初期衝動が衝突する化学反応が、このバンドの最大の魅力といえる。2026年2月には初全国流通盤『MIRACLE』をリリース。定番曲から新曲まで、いまの彼らを余すところなく刻んだ名刺がわりの1枚となっている。「ロックンロール!」と力強く叫ぶライブも爽快だ。(西澤裕郎)
東京真中

海外ともシンクロしつつJ-POPを刷新
「次の一手」を感じさせるボカロP
「人知れぬ夜を音楽に」をコンセプトに、2024年5月より活動を開始した音楽プロデューサー/ボカロP。もともとシンガーソングライターとして活動していた経歴を持ち、ボン・イヴェールやフレッド・アゲインをサウンドメイクの影響源として挙げる彼の楽曲は、ボカロや歌い手出身のアーティストがモダンJ-POPとして世界で活躍する現代において、次の一手を感じさせる。「将来に絶望するZ世代」を意味するネットミームをタイトルに冠し、重音テトの調声やシンセの音色に職人的なこだわりを感じさせる代表曲「ドゥーマー」はミュージックビデオの再生数が800万回を突破。「脳が腐る」という意味のスラングをタイトルに据え、TikTokをはじめとした短尺動画を無意識のうちに延々スクロールしてしまう感覚や、思考停止したまま時間だけが過ぎていく状態を、フレーズの反復や単語のループで表現した最新曲「ブレインロット」も好調で、新たな世代の代弁者となる可能性を秘めている。(金子厚武)
雪国
アルペジオ、轟音、柔らかな歌
凛とした音響で心の旅へ

繊細なアルペジオを軸に、ときに激しく歪むギター、スロウコアにも通じるテンポ感でボトムを支えるリズム隊、柔らかな歌声で綴られるリリカルなメロディ。「ポストロックやシューゲイザーからの影響を受けた日本語ロック」と紹介するのはやや単純だが、決して間違いではないだろう。しかし、昨年発表した『Lemuria』と『shion』の2作からは、全体的に音数を絞り、シンセを目立たせることによって、アンビエントを好み、音響的な側面も重視するバンドの現代性が明確に伝わってきた。「雪国」という名前は川端康成の小説から取られ、歌詞からは自然の美しさが香り立ち、都市生活者を心の旅へと誘う。そこには物質主義が飽和を迎え、デジタル化に突き進む社会への違和感や心許なさが投影され、それぞれの生き方に対する問いが含まれているのも魅力的だ。2月にリキッドルームでのワンマンを成功させ、ネクストフェイズへと歩みを進める。(金子厚武)
ziproom
フロアと日常を横断する
ポスト・クラブ・ヒップホップ

神戸出身のArichとShimonによるヒップホップコレクティブ。トラックメイクからミックスまでを自ら手がけるセルフプロデュース体制で2023年にデビューすると、翌2024年に発表したシングル「Dive」が9カ国のチャートで上位にランクインしバイラルヒットを記録。いきなりグローバル規模の反響を巻き起こした。ヒップホップを軸にしながらも、テクノ、ハウス、ダブ、アンビエントといった多様な音楽的背景を内包する2人のラップとプロダクションは明確にダンスミュージックの文脈を踏まえており、フロアと日常を横断するサウンドスケープを描き出す。2025年にはPOP YOURS、サマーソニックへの出演を果たし、大規模フェスのステージを経験。一方で先日は渋谷WWWでのワンマンライブも成功させ、クラブ規模からフェス規模まで自在に対応するパフォーマンス力を磨いている最中だ。最新ミックステープ『ZOOM IN PEOPLE』は、UKクラブミュージックの影響が結実した重要作。(つやちゃん)
▼INTERVIEW
ポスト・クラブ・ヒップホップが描く、2026年国内シーンの新地平
ผ้าอ้อม99999
パンク、ベースミュージック、音MAD
コラージュ感覚が光る謎多き4人組

音MADという日本のインターネットカルチャーがある。既存のアニメ動画を切り貼りした映像に無関係な曲を当てた非公式MVを作ってシェアするという、それなりに伝統のあるネット文化である。その編集感覚をバンドの肉体に移植したのが東京の4人組ผ้าอ้อม99999だ。ベースミュージックとパンクが重なり合うサウンドも強烈だが、ミーム文化的なコラージュ感覚がこのバンドを唯一無二にしている。歌詞もファニーだ。歌詞にならないはずの言葉がやけに明確な輪郭を持って耳に飛び込んでくる。意味は一拍遅れて届く。その歯切れのよさがたまらない。飲食バイトのピークタイムをテーマにした「忙忙忙ー忙・忙ー忙忙」はそんな個性がぎっしり詰まった一曲だ。2023年の結成からサマーソニック、バンコクのマホラソップと大きなステージにも出演。「パーオーム」と読むバンド名のタイ語は「おむつ」を意味する。ネット文化の野生味を持った最もフィジカルな音楽のひとつだ。(最込舜一)

Rolling Stone Japan vol.34(2026年5月号)
予約受付中
発売日:2026年3月25日
発行元:CEミュージッククリエイティブ株式会社
発売元:株式会社CEメディアハウス
価格:1320円(税込)