six impala【独占取材】「あの頃」のインターネットが生み出した奇跡、PAS TASTAと日本への強いシンパシー

ソロアーティストとして活動する面々が集まり、オンラインを拠点に楽曲制作を重ねるグループ、six impala。ブリング・ミー・ザ・ホライズンやPAS TASTAのリミックス音源でも注目を集めてきた彼らは、K//////ATT、Milkfish、Helvetican、SCRIPT、NEUTRAの5人による音楽プロジェクトだ。

そんなsix impalaが、先日開催され大盛況のうちに幕を閉じたイベント『VICTERA EXA』で来日し、ついに日本初のリアルでのライブ出演を果たした。six impalaがいなければ自分たちは生まれていなかったかもしれない──PAS TASTAのメンバーがそう語ってきた関係性を裏付けるかのように、この日のステージでは両者の夢の共演も実現。思いがけない展開に、会場は大きな歓声に包まれた。今回のインタビューでは、ライブ直前の楽屋でK//////ATTと、underscores名義でも知られるMilkfishの二人に話を訊いた。オンライン発のプロジェクトが、いまどのように現実のステージへと拡張しているのか。その現在地に迫る。

はじまりは「Facebook、SoundCloud、ダブステップ」

―six impalaのメンバーが全員集まってリアルの場でライブをやることは、今までなかったんでしょうか?

K//////ATT:前に2回だけね。1回目はドイツ、2回目はシアトルで。両方とも楽しかった。

Milkfish:とはいえ、全員完璧に揃ってたわけじゃないよね。

K//////ATT:そうそう。今回も本来なら全員で来たかったんだ。色々策を練ってみたものの……自由に海外に行けることがどれだけ恵まれてることなのかつくづく実感してる。例えばSCRIPTはアルゼンチンにいるんだけど、アルゼンチンから海外に行こうとすると色々ややこしいプロセスを踏まなくちゃならなくて大変だったりするんだ(※SCRIPTは諸般の事情により来日が叶わなかった)。

ドイツでのライブ映像

―今回『VICTERA EXA』に出演を決めた理由は?

K//////ATT:メンバーに再会したかったから(笑)。そうでもないと、なかなか会えないしね。

Milkfish:みんな離れたところに暮らしてるからね。

K//////ATT:自分は今回、初めて日本に来たんだ。ただ、子供の頃から漫画とかアニメとかゲームとかさんざん影響を受けてきてて。

―改めてですが、six impala結成の経緯を教えてください。

Milkfish:Facebook(笑)。

K//////ATT:Facebook、SoundCloud、ダブステップの3本立て(笑)。全員まだティーンエイジャーで、SoundCloudで音楽を作ってた10代繋がりってとこで……最初は自分がSCRIPTと繋がって、お互いに当時のレコード業界の狭すぎる視野に対して悪口を言いまくってたんだよね。ちょうどSoundCloud上のCAPS LOCK CREWってコミュニティに参加したあとで、その運営が下手すぎると思って、自分ならもっとうまくできるなと。だったら自分たちで始めたらよくない?ってことで、そこからすべてが始まってFacebookのグループチャットを起ち上げたんだ。

Milkfish:最初の一年くらいはただの雑談と音源を共有するための場で、何か目的があったわけでもなく、当時数多くあったダブステップ界隈のグループチャットの一つでしかなかったわけ。

K//////ATT:90人くらい入ってるグループチャットもあったのを覚えてるよ。とにかく大人数が参加してて、みんなそこで議論しまくってた。ちなみにこれは自慢だけど、自分はそのグループ内でサッカー・ゲームの最高得点保持者だったんだ(笑)。Facebookのメッセンジャー上でサッカーボールの絵文字を送信してスコアを競うゲームがあるんだけど、自分は300ポイントを記録してた(笑)。

―今も曲はオンラインで作っているんですか?

Milkfish:でも最近では対面でも結構作ってるよ、特に2ndアルバム(2019年作『RUBBER ALT』)以降は。だから全部が全部オンラインってわけじゃないんだけど、とはいえみんなバラバラの国に住んでるから、まだ一度も全員が同じ場所に集まったことがないんだ(笑)。

K//////ATT:最近の曲のひとつに 「AS IT ALL FALLS DOWN」 っていうのがあるんだけど、それは Milkfishが自分の家に来て、一緒にギターを弾いて歌って楽しく作った曲だしね。もう一つ「ULTRA INSTINCT」っていうふざけまくった曲があるんだけど、あの時は……2人とも相当酔っ払ってたよね?

Milkfish:そうだね(笑)。

K//////ATT:酔っ払ってテンション高いまま4時間くらいで作った曲。ほんとそんな感じで、最初から今に至るまでずーっとただ一緒にやってて楽しい! っていう、それが自分たちの原動力になってる。

Milkfish:ほんと、そこに尽きるよ。

NEUTRAが広げた創作の可能性

―メンバーで活動していく中で、様々な判断の最終決定権は誰にありますか?

K//////ATT:そこは自分が仕切ってて。グループ内で、自分のソロよりもsix impalaのほうを優先してるのは自分一人だけだから。NEUTRAも自分が作り出したものだし、彼女のエンジニアも僕が担当してる。

―以前インタビューで、メンバー間の衝突を創作のエンジンとして肯定していると話していましたね。最近あった、創作でのポジティヴな衝突は?

K//////ATT:人が何人か集まって一緒に何か作ってたら、衝突することは避けられない。そこにこそ、グループとしての本当の力量が問われる。さっきPAS TASTAと(共演のために)リハーサルしたときにもすごく感じたんだけど、衝突する場面があったとしても、その対処法にお互いに対するリスペクトがものすごく感じられたんだよね。どんなコラボレーションでもそうだけど、自分が妥協してもいいって思えるような関係性を築いてることが大事というか。と同時に、お互いを信じる勇気も必要。みんなそれぞれ影響を受けたサウンドが違うから、初期の曲なんか特にそうだったけど、他のメンバーが作ったものに対して自分が「好きじゃないな」って思うこともあったし、逆もまた然りで。でもそこで、「今のところ自分の趣味じゃないけど、そっちがそんなにワクワクしてるんだったら、自分はそれを信じて乗っかるよ」って相手に飛び込む瞬間が必要なんだと思う。実際、自分にとってのお気に入りの曲って、そういうところから生まれてたりもしてさ。Milkfishがマイクを手にする前は、まさか自分が歌うようになるなんて思ってもみなかったし! 歌うにしろ叫ぶにしろ「そこらへん自分には無理なんで」って一点張りだったんだよ。でも、Milkfishの姿に刺激を受けることで自分もビジョンを信じるようになっていった。

Milkfish:というか、NEUTRAのあの声とK//////ATTのスクリームとが、すでにsix impalaの音に必要不可欠なものとして定着してると思う。

K//////ATT:あとコラボレーションってことに関してもう一点補足として、NEUTRAについて紹介させて。というか、今って本当に面白い時代に生きてると思うんだよね。つまり、キャラクターが僕らの日常の中で普通に重要なポジションを占めるようになってる。

あ、ちなみによく言われてるAIについての議論をここでしたいわけじゃないから(笑)、というか、ああいうのは全部クソだと思ってるんで。今この場で宣言させてもらうけど、NEUTRAはAIなんかじゃない! そこだけはっきりさせて!(笑)ただ、自分自身を投影するものとしてキャラクターはものすごく有効な媒体で、普段の自分ではあまり表現できないことでもキャラクターを通すことで表現できたりする。自分はNEUTRAっていうキャラクターによってもたらされた表現の自由に心から感謝してるんだ。というか、まさかこんなふざけたキャラクターがこんなにも自分に希望をくれることになるなんて思ってもみなかった。でも実際、本当にそうなんだよね。

NEUTRAが新メンバーとして加入した際の紹介動画

―NEUTRAがメンバーの一員になったのは2020年でしたね。当時、メンバーにした理由は?

K//////ATT:最初は6人でスタートしてて、ただ様々な理由から途中でメンバーが一人欠けてしまったんだ。でもその時点で、6人であるってことが自分たちのアイデンティティの一部になってたから、誰かメンバーを入れなくちゃって思ったんだよね。そんな時期に、ゴリラズの話になって。子どもの頃から聴いてたし、あのバーチャルなキャラクターがものすごく好きだったから、ああいう路線で何かできないか?と可能性を模索するようになった。

そこで色々考えた結果、自分で作ることに決めたんだけど、NEUTRAの制作プロセスっておそらく世間のイメージとだいぶ違ってるんだ。確かにボーカロイドにインスパイアされてはいるものの、彼女はソフトウェアでもボーカロイドみたいなVST(Virtual Studio Technology)でもない。NEUTRAは4000個の単一のサンプルからなるサウンドバンクから構成されていて、彼女から発せられる言葉はすべて手作業で組み立てられてるんだ。例えば彼女に「fuck you」って言わせたいときには、「f」「u」「ck」「you」みたいに全部バラバラの音を取り出して手動で繋いでいく。それが彼女にしかない個性の一部となってる。よく「オートメーション化すればいいじゃん」とか、「プログラム化すればいいじゃん」って言われるし、たしかに話し言葉の部分なら時間短縮のためにいつかそういう形にする可能性もあるけど、手作業でやることによって彼女のユニークな個性が引き出されてると思うから、そこは大事にしてる。

K//////ATT、腕にはNEUTRAのタトゥー(Photo by 寺﨑知喜)

―NEUTRAの加入によって、six impalaの人間関係に何か変化が生まれましたか?

Milkfish:NEUTRAが入ったことで、ボーカルに焦点を当てるという新たな軸が持てるようになった。自分たちは他のところに意識を向けていられるんだよね。特に、K//////ATTがエンジニア技術を極めていったことで、ピッチの細かい調整や破裂音みたいな細部までを突き詰めてコントロールできるようになった。ジャンルやスタイルの幅が一気に広がったよ。

K//////ATT:しかも、NEUTRAのボーカルはシンセ代わりにも使える。元の素材になるサウンドは全部自分たちで持ってるし、それを自由に加工して利用しちゃえるから。例えば「STARSHINE (GOODNIGHT)」って曲があるんだけど、あのビッグなシンセのパートは実は全部NEUTRAの声で、彼女のボーカルをシンセに変換した音なんだ。それができるのも彼女のボーカルの元になる音源ファイルを細かいところも含めてすべて持っているからであって。それとちょっと余談なんだけど、英語文化圏の”YouTube Poop” っていうミーム動画にも影響を受けていて。既存の音声を切り刻んで、オリジナルの音声とはまったく別のセリフを言っているように作り変えるっていうものなんだけど、あれとまったく同じ手法を取ってるというわけ(笑)。

―創作の可能性が広がったということですね。

K//////ATT:究極的にNEUTRAって、ほぼフィルターなしの僕自身の心の声なんだけど。自分はすごく繊細なタイプで、人から言われたことをめちゃくちゃ気にしちゃうタイプだからこそ、そこにNEUTRAを介すことで反論として返すことができる。だから、あんなに失礼なんだよ(笑)。ただ、それがめちゃくちゃ刺激的で楽しい。NEUTRAってキャラクターを使って半分おふざけみたいなノリでリスナーをおちょくって挑発してるみたいな感じだから。

ハイパーポップ前夜のオンラインが生み出した奇跡

―six impalaはハイパーポップの文脈で語られることが多いと思います。ただ、結成当時はまだハイパーポップという言葉がなかった時代でした。その頃自分たちの音楽をどのように定義づけていましたか?

Milkfish::six impalaに関しては、そもそも何かしらシーンに属してるかどうかすら曖昧なまま今までずっときちゃってて……たしかにオンラインで仲良くなった友達もいるんだけど、自分たちの音楽ってもはやいろんな方向に取っ散らかりすぎてるせいで、一つのジャンルに分類するのが不可能っていうのもある。それにハイパーポップって、ジャンル名っていうよりも、いろんな影響やサウンドを音楽に流し込むための導管みたいなものだと思ってて。正直、「これぞハイパーポップ」っていう明確なサウンドがあるのかどうかもわからないよね。そりゃまあ、エレクトロニックな音を使ってるとか、そういう特徴はあるのかもしれないけど、実際はもっと自由で、まるで違う種類の音楽がハイパーポップに振り分けられてる感じなんじゃないかな。ジャンルとか特定のサウンドっていうよりも、ハイパーポップっていう大きな傘の元で色んな実験が行われているみたいなイメージ。

K//////ATT:自分でも今まで何百回この問いを自らに問いかけてきたかわかんないけど、今のところ一番しっくり来る答えとしては「自分が何をやってるのかまるで分かっちゃいない」ということで(笑)。ただエネルギーをいっぱいに詰め込んで閉じ込めてるみたいな感じなんだよね。自分はあくまでもエレクトロニック・ミュージックの作り手であるっていう認識なんだけどさ。でも、たとえば日本のおとぼけビ〜バ〜とか大好きで、少しでもあの感覚に近づけるように目標にしてる。マジでリスペクトしかないよ。

―この間、PAS TASTAのメンバーにインタビューしたら「six impalaがいなかったらPAS TASTAはいなかった」と言ってたんですけど、six impalaにはそういうロールモデルみたいなバンドやアーティストはいますか?

K//////ATT:そんなこと言ってもらえるなんて、ありがたすぎて言葉にならないね。しかもメンバー全員ともすごく魅力的な人達でさ。自分たちがただ楽しくてsix impalaをやってきたのが、こんなふうに海を越えて日本にまで届いてるなんて、それだけで感動で胸がいっぱいになる。そもそも大半が自分のアパートのリビングとか、窓もない地下の小さな部屋みたいな、お金のない環境の中から作ってきた音楽なわけで、自分がたった一人の状態で向こう側のオンラインの友達とネットで繋がりながら作っていたものなんだから。そんな孤独な場所から生まれた音楽が、地球の反対側にいる6人の仲間が集まってバンドを作るきっかけになって、そのバンドがこうして日本のライブに呼んでくれて今日こうして会えたっていう、まさに奇跡みたいだよね!

Milkfish:私たちのほうもすごく刺激を受けてるよ。PAS TASTAのバンドとしての形態なんてとくに。ほら、だってsix impalaは世界中に散らばってて、まだ一度もメンバー全員が揃ったことないし、いわゆるバンドらしい活動をするのが難しいんだけど……ライブをするにしろインタビューを受けるにしろ、なかなか全員で集まるのが難しくて。だから、PAS TASTAみたいにローカルな拠点があって、ベッドルームのプロデューサー集団から楽器も演奏する本物のバンドへと進化していくなんて凄いことだなあって本当に思う。SoundCloud出身のバンドがライブ・バンドへと進化していく可能性を示してくれたというか、しかもめちゃくちゃクールで、インスピレーショナルな形でね。

2026.02.28 @新宿Zepp Shinjuku

『VICTERA EXA』 @victera_info

 VJ: tsuchifumazu @tsuchifumazu412

PAS TASTA with underscores

  Spoiled little brat

PAS TASTA with KATT

  peanut phenomenon ft.ピーナッツくん

   six impala remix

WE LOVE SIX IMPALA @siximpalasix pic.twitter.com/CUdPWV1YET — PAS TASTA (@pas_tasta) February 28, 2026 『VICTERA EXA』で実現した、PAS TASTAとsix impala/Milkfishことunderscoresの共演

K//////ATT:自分にとってのロールモデルは?という問いに答えるとしたら、一択でスクリレックスだね。自分は音楽にはものすごく強い力があると思ってて……それと同時にsix impalaとして活動していくために自分がこれまでどれほどの犠牲を払ってきたか思わずにはいられない……。この件についてはあんまり触れたくないけど、でもそれについて少し触れるのなら、うちのバンドの元メンバーとの間にあった出来事で心に負ってしまった傷のせいで、スクリレックス的な音をやろうとすると胸が痛い……それは本当に残念なことだと思う。とはいえ、何が自分にとってのインスピレーションになってるかってそんなに単純化できるものではないから……常にそう感じてる。それでもみんなで集まったときに色んなアイディアや刺激を受けるたびに「やっぱり自分はこれが好きだなあ」って実感するし、「ああ、ここが自分の居場所なんだ」って思える。あるいは、全部を自分のせいにして抱え込む必要ないんだって。とはいえ、そこは今でも日々葛藤してるとこだし、まだ完璧に傷が癒えたわけではないんだけど。ただ、僕たち全員とも色んなバラバラの趣味を持ってるけど、スクリレックスだけは全員が共通して影響を受けている存在だよ。

Milkfish:初期の頃は、デス・グリップスの影響もかなり大きかったよね。

K//////ATT:あー、そうだね!

Milkfish:特に自分以外のメンバーに関しては。実はこのバンドを始めた頃、私はデス・グリップスの曲を聴いたことがなかったし、正直、最初は微妙って思ってたの(笑)。でも、一緒に活動していくうちに、パフォーマンスとか、ステージでの存在感って部分ですごく共感できるようになっていった。だから、スクリレックスとデス・グリップスが初期の頃の自分たちにとっての2大バンドになるだろうね。

six impalaによるスクリレックス「Ease My Mind (feat. Niki and the Dove)」のカバー

―six impalaはDiscordを活用するなど、かなり早い段階からリスナーとの関係を構築してきましたよね。

K//////ATT:初期のうちからDiscordを使ってきた理由は、自分が昔からオンライン・コミュニティが好きで、運営に携わってたから。もちろん、そこには大変な苦労が伴うし、正直、めちゃくちゃストレスにもなる。オンラインでコミュニティを管理したことがある人ならわかると思うけど、長く続ければ続けるほどいろんな人やドラマが次々と起きて、本当に大変なんだよ。と同時に、その苦労が報われる瞬間もたくさんある。実際、今日のライブにもDiscordのコミュニティのファンが、はるばるスウェーデン、ドイツ、アメリカからわざわざ日本まで来てくれてて、もう本当に信じられないっていうか、まさに苦労が報われたと思えるようなありがたいことで。とはいえ、本当に複雑で、決して一筋縄ではいかない。もしコミュニティ運営を始めようと思ってる人がいるなら、信頼できてすぐキレたりしない友達を見つけることを強く勧めるよ。そういう人を味方につけると、本当に力になってくれるから。

ここで少し感謝を捧げたい……Babick, Crisp, JellyTruck, Ivy, Nek0baby, Stingray……みんな僕たちDiscordのサーバーにいるユーザーで、インクルーシブな姿勢でお互いのことに思いやりを持ちながら共感と理解のある土壌を作るのに尽力してくれているメンバーなんだよね。今言ったどれも、オンライン空間を運営するうえでも絶対に欠かせないものだから。

Milkfish:本当に、オンラインのDiscordで繋がった人たちが今こうしてリアルな場に終結してることが奇跡みたいだよね。今回でまだ3回目のライブで、まだまだステージ上で自分たちをどう見せていくのか模索している最中ではあるんだけど。

「弱さ」をさらけ出すからこそ救われる

―さっきPAS TASTAの名前が出ましたが、長谷川白紙、Peterparker69など、今回出演する他のアーティストについての印象を教えてください。

Milkfish:長谷川白紙は、実際にパフォーマンスを見たことがないからすごく楽しみ。Peterparker69は言うまでもなく最高! というか、今回の3組とかその周辺のシーンって、北米で起きていたムーヴメントのもっとあっけらかんとしたバージョン、っていう印象なんだよね。

K//////ATT:普通に素直っていうかね。

Milkfish:そう、まさにそんな感じ。色んなことがもっとシンプルで、もっと前向きだった時代を思わせるというか。そういう意味でもすごくインスピレーションをもらってる。

―日本のカルチャーがすごく好きだって言ってましたけど、他にも日本について何か興味があることがあれば教えてください。

K//////ATT:とりあえず、会う人会う人みんな優しいよね(笑)。僕の日本語はひどいけど、頑張って話しかけるとみんなすごく親切に対応してくれてさ。子どもの頃から、日本のアニメを観て、ゲームもさんざんしてきたし、Nintendoからもエヴァンゲリオンも……そうだ、エヴァンゲリオンとデス・グリップスには一つの共通点があるよ。つまり、受け手に対して挑発的であるってことで、僕はそこにすごく重きを置いてるんだ。自分たちの曲の中に、6分間何も入っていない曲があるんだけど、それは自分たちの曲の間の使い方を批判してきた人達に対して中指を突き立てるポーズでもあって。そういう挑発的なスピリットは、まさにエヴァンゲリオンでありデス・グリップスから直に影響を受けたもので……あるいはおとぼけビ~バ~にしろさ。トロントでライブを2回観てるんだけど、マジで凄まじかった。あっこりんりんの、観客を完全に掌握する力。僕はまだあの域には達していない。今日のライブで少しでもあそこまでの域に近づくことができたらいいんだけど……でもまあ、とりあえず目標としては、いつか自分もあのレベルに到達したいと思ってる。あっこりんりんの観客を支配する力はマジで凄まじいんだ。片膝をついて中指一本で観客を黙らせるあの凄みというか。しかも、あの怒号の音楽と一緒に……マジで圧倒されまくった。

six impala(Photo by 寺﨑知喜)

―ちなみに、今日のイベント『VICTERA EXA』主催者の篠塚佑輝さんが、six impalaの大ファンなんです。(six impalaの)Helveticanが来日していたときに直接声をかけてオファーしたくらい。

K//////ATT:うわ、本当に光栄だな。ありがとう、すごく嬉しいよ。えーっと、僕から質問してもいい? サウンドチェックのときの音聴いて、どうだった?

篠塚:最高でした(笑)。僕からも質問なのですが、six impalaは、これからどういう人に向けて曲を書いて、どういう人に向けて曲を歌っていきたいですか?

K//////ATT:うーん、それは難しいね。自分は誰かのために曲を書き始めるタイプではない気がする。それよりももっと自分の気持ちに正直になることに意識を向けるようにしてるかな。少なくとも今取り組んでいる作品に関しては、自分の弱さとか脆さをもっとさらけ出す方向のものにはなっていて。で、自分のそのさらけ出した弱さみたいなものが、同じ弱さを抱えている人たちにとって、少しでも背中を押してくれるものであってくれたらいいなって思う。

篠塚:まさに、僕が音楽を聴く理由でもあるので、それが聞けて嬉しいです。日本にもそういう人がたくさんいるし、今の言葉できっと救われると思います。

『VICTERA』

公式サイト:https://victera.jp/

『VICTERA EXA』フライヤー画像