◆■3ピリオド制の戦略性も見どころ

 3月14日と15日に「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー IN 北信越」が石川県・内灘町サッカー競技場で開催された。

 北信越大会には5県から12チームが出場。県大会を勝ち上がった各県上位2チーム(開催地の石川県のみ上位4チーム)が、優勝チームに与えられる全国大会への出場権をかけて2日間にわたり熱戦が繰り広げられた。

 この大会は小学生年代で採用される8人制で行われ、5年生(新6年生)以下の選手たちが出場資格を持つ。プレー時間は12分間×3ピリオド。原則として1人の選手が出場できるのは最大2ピリオドまでで、登録メンバー全員に出場機会が与えられるルールとなっている。

 試合前に第1ピリオドと第2ピリオドの先発選手とベンチ入り選手を決めて戦い、5分間のインターバルの後の第3ピリオドは第1・第2ピリオドの両方に出場した選手をのぞき、交代要員を含めて誰でも出場できる。

 多くのチームは1ピリオドで主力選手を起用し、第2ピリオドで選手を総入れ替えさせ、第3ピリオドでベストメンバーを組む傾向にある。その中で選手をどう割り当てるのか。第1ピリオドのメンバーがそのまま第3ピリオドでも先発するチームもあれば、第1ピリオドと第2ピリオドの選手を組み合わせて第3ピリオドへ挑むチームも見られた。

 選手を配置するポジションを工夫するチームもある。例えばDFの選手層に不安のあるチームが、高身長で足も速いFWの選手を第2ピリオドで守備を強化するためにDFで起用し、第3ピリオドでは本来のポジションでプレーさせるケースもあった。チームの総合力が問われる中で、戦い方や選手たちの特徴やバランスなどを考えた起用法も、この大会の見どころとなっている。

◆■スコアレスで決着はPK戦へ

 決勝戦は大会連覇を狙う長岡JYFCと、2年ぶりの優勝を目指すツエーゲン金沢U-12が激突した。

 第1ピリオドは長岡JYFCが攻撃を仕掛ける。6分に自陣からパスをつなぎ、敵陣でボールを持ったロージ快成がドリブルからシュートを放ったがGKの正面を突いた。長岡JYFCは前線が3人で、両サイドの高橋陸斗と星野栄太が外へ開き気味にポジションをとり、ロージが少し引いた位置で組み立てに関わりつつ、空いた最前線へのエリアへ選手が飛び出していく。一人ひとりの技術や判断もしっかりしており、縦に早い攻撃を展開した。

 7分には高橋が縦に鋭いドリブルで左サイドを突き進んで、相手を引き付けて中央へ折り返したところへ走りこんだ星野があわせるが、前へ出たGKにシュートコースを狭められて枠をとらえられない。8分にもCKからロージがヘディングシュートを放つが、決められない。ツエーゲン金沢U-12は守備に回ることが多かったが、ゴール前では相手を自由にさせない対応を見せて失点を許さなかった。

 第2ピリオドは、今度はツエーゲン金沢U-12が試合のペースを握る。開始早々に山潟凱成がシュートを放ち、4分にも再び山潟がシュート、そのこぼれ球を山内貫太朗が山なりのシュートでGKの背後を狙ったが、惜しくもクロスバーの上へ飛んだ。

 山潟は6分にもドリブルからポストのわずかに外を通過するシュートを放つなど、攻撃を牽引する。チームとしても最終ラインからパスをつないで攻撃を組み立てるポゼッションスタイルを打ち出しており、第2ピリオドを優勢に進める。

 10分には重田諒太がサイドからカットインで中央へ切れ込んでシュートを放ち、12分には後方から攻めあがった米島晟がミドルシュート、GKが弾いたところを山潟が押し込もうとしたが、相手DFに寸前のところでクリアされた。

 試合はスコアレスのまま第3ピリオドへ。長岡JYFCは第1ピリオドのメンバーに、第2ピリオドのGKとDF1人を加えた編成で、対する金沢は第1・第2ピリオドの混成メンバーとなった。

 まず攻撃を仕掛けたのは長岡JYFC。2分に高橋がスピードを生かして相手DFを抜き去ってシュートを放つが、GKに止められる。セットプレーではキャプテンの小川遥翔が右足から鋭いキックを蹴り、ゴール前で味方にあえば得点を予感させる場面を何度かつくり出す。

 ツエーゲン金沢U-12は再び守備に回る時間が長い展開となったが、7分に米島がGKを強襲するミドルシュートを放つなど虎視眈々と反撃を狙う。白熱の攻防が繰り広げられる中、第3ピリオドでも得点は生まれず、試合は延長戦(前後半5分ずつ)へ突入した。

 延長前半も拮抗した戦いが繰り広げられる。観客席では互いに応援合戦が展開される場面も。

 そんな中でピッチでは長岡JYFCがやや優勢に戦うが、ツエーゲン金沢U-12も自陣ゴール前では時間やスペースを与えず、堅守に綻びを見せない。4分にはカウンターで左サイドを攻めあがった味方からのパスを、右サイドからゴール前へ走りこんだ中島稜太がシュートを放つが、ポストのわずかに外を通過していく。延長後半2分には長岡JYFCの古沢一楓が強烈なシュートを放ったが、GKの好セーブに阻まれた。

 延長後半の残り1分を切ったところで、長岡JYFCはGKを交代、ツエーゲン金沢U-12はキックの上手い選手を投入して、決着はPK戦へ。両チームが3本ずつPKを蹴る中、先行のツエーゲン金沢U-12は全員が成功させ、守ってもGK金山結都が「自分を信じて」(金山)相手が蹴る方向を読んで長岡JYFCの2人目のキックを止め、熱戦の決着をつけた。

 試合は0-0、PK戦を3-1で制したツエーゲン金沢U-12が2年ぶり2度目となる北信越大会での優勝を決めた。準優勝に終わった長岡JYFCも見事なプレーを見せており、両チームとも最後まで足を止めずに球際の戦いを繰り広げ、集中力を切らさない好勝負だった。

 ツエーゲン金沢U-12は、5月3~5日に横浜市で開催される「JA全農杯 全国小学生選抜サッカー大会」に北信越代表として出場する。

◆■試合後コメント

▼大石明日希監督(ツエーゲン金沢U-12)
うちはボールを大事にしながら攻めたいんですが、相手の強度の高い前からの守備に苦しめられました。想定はしていましたし難しい時間が長かったんですが、守備で耐えて、攻撃でシュートチャンスも作りました。去年までは眠っていた選手が一気に活躍したりしたので、チームも底上げされました。

6年生が卒団してから初めての大会だったので、自信になります。この強度を普段のトレーニングから取り組んでいきたいです。全国大会は2年前に初出場しましたが、まだ歴史の浅いクラブにとってすごく貴重な経験でした。あれから積み重ねてきたものを披露できればと思っています。大事にしている技術を、高い強度の中でも正確性を追求したいです。

▼角田成(ツエーゲン金沢U-12)
相手も強いのでこんな試合展開になるかなと予想していたけれど、それ以上にみんなが熱い気持ちで戦ってくれました。とても助かりましたし、攻め込まれたけれど『絶対にゴールを決めさせない!』と、最後のゴール前では隙を与えなかったと思います。

2年前の全国大会には一緒に連れて行ってもらって、応援していました。今度は自分たちがプレーするので、相手が強い中でも落ち着いて戦って、自分たちの特徴を発揮したいです。僕も試合を支配できるような選手になって、全国の舞台でも活躍したいです。

▼金山結都(ツエーゲン金沢U-12)
スピードの速い選手や能力の高い選手が相手にはいた中で、今日はDF陣がすごく守ってくれました。シュートを打たれることはそれほどなかったし、打たれても相手にプレッシャーをかけてくれていました。みんなに感謝しています。PK戦は自分を信じて『こっちに来る!』と思い切って飛びました。

僕は去年からツエーゲン金沢に入ったんだけど、この大会を通じてみんなと仲良くなることができました。大きな舞台に出ても緊張せずにリラックスしてプレーすることが、少しずつわかってきました。これからも強い相手がいっぱいいるけれど、がんばっていきたいです。全国大会では決勝戦でみんなが守ってくれた分、今度は僕が相手を止めて、優勝まで導きたいです。

▼大崎成樹監督(長岡JYFC)
この学年はいいところまでは行くんだけど、つかみ切れない、その勝負弱さが出てしまいました。目の前まできたものをつかめるように、積み上げていきたいです。(大会を通じて)普段は8人プラスアルファで試合をするんですが、この大会はレギュレーションもあって16人から18人のグループとして戦う意識がより強くなります。

この二日間で選手同士がお互いを意識して理解しあったりと、結束力はかなり強まりました。第2ピリオドはいつもは先発しない選手が多いんですが、今回はスタートから出られるので士気が高くて、普段は見られないプレーを見せる選手もいました。去年も出場させてもらったんですが、すごくいい大会だなと感じています。

▼小川遥翔(長岡JYFC)
決勝戦は攻め込んだけれど決め切れなくて、PK戦でやられてしまいました。チャンスを一つでも決められていたら…というのが悔しいです。準優勝だったけれど、大会としてはチームの雰囲気も良くて、みんなに一体感があって、全員が声を出せていました。ピッチでプレーする選手だけじゃなくて、ベンチに回る選手も声をかけていたし、応援席からもすごく応援してくれました。そこは良かったと思います。僕もプロ選手になれるように、しっかり努力していきたいです。

取材・文=雨堤俊祐