
公的年金の制度は複雑で、ご自身の状況に当てはめると「結局どうなるの?」と迷ってしまう方も少なくありません。例えば、遺族年金を受け取っている方が「再婚」を考えたとき、これまでの年金がどうなるのか、その後の生活設計に不安を感じるケースも多いものです。
今回は、再婚や事実婚と遺族年金の関係について、All About編集部が設定したケーススタディーに専門家が分かりやすくお答えします。
◆Q:再婚したら、「遺族年金」はもらえないのでしょうか?
大切な家族を亡くした後に受け取ることができる「遺族年金」ですが、その受給権がどのような場合に失われるのか、その条件は意外と知られていないものです。例えば、再婚する場合、それまで受け取っていた年金はどうなるのでしょうか。
◆A:再婚をすると、配偶者の遺族年金を受け取る権利はなくなります
遺族年金を受け取っている配偶者が再婚した場合、年金を受け取る権利はなくなります(これを「失権」といいます)。役所に婚姻届を出す「法律婚」だけでなく、実質的に夫婦としての共同生活を送っている「事実婚(内縁関係)」になった場合も失権の対象です。
再婚や事実婚関係になった際は、速やかに年金事務所へ「遺族年金失権届」を提出してください。手続きを忘れて受け取り続けると、後から一括返還を求められるため注意が必要です。
◆親が再婚した場合、子どもの遺族年金はどうなる?
親が再婚して失権しても、子ども自身の受給権がなくなるわけではありません。現在の制度では、再婚した親と生計を同じくしている間、子どもの「遺族基礎年金」は支給停止となりますが、「遺族厚生年金」は子どもに支給されます。
ここでいう子どもとは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。
◆令和10年(2028年)4月予定の法改正ポイント
今後の法改正により、以下の見直しが予定されています。
子どもの遺族基礎年金:
親が再婚して生計を同じくする親がいても、子どもに遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されるようになります。
死亡時分割の導入:
配偶者と死別した場合、婚姻期間中の厚生年金記録を自身の老齢厚生年金に上乗せできる制度が始まります。これは期間内に請求すれば再婚後でも請求できる予定です。
ご自身の将来のライフプランを考える上で、今後の動向をしっかり確認しておきましょう。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
文=拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)