⽇本最⻑級のモーグルバーンを併設するアジア初の会員制ゲレンデがオープン!|⼾狩温泉スキー場

魅力あふれるゲレンデを再生させる

⼾狩温泉スキー場は長野県飯山市、関田山脈のふもとに広がる名ゲレンデであり、65周年という節目を迎える2025年の12月に大規模改修を行い「TOGARI SKI RESORT」としてリニューアルオープンを果たした。総面積約140ヘクタールの広大なゲレンデに、16もの多彩なコースを展開。上信越自動車道 豊田飯山ICから約25分、北陸新幹線JR飯山駅からはシャトルバスで約20分というアクセスの良さが人気の理由だ。

【画像】2025年12月に大規模改修を行いリニューアルした「TOGARI SKI RESORT」(写真11点)

戸狩温泉スキー場は降雪量の多さでも有名である。白銀の斜面は100パーセント天然のパウダースノーが静かに降り積もり、朝には雲海が山あいを満たす。人工雪に頼らない軽く柔らかな”本物の雪質”が最大の魅力である。戸狩温泉スキー場の魅力の根底にあるのがこの”Japow”である。JapowとはJapanとPowderを組み合わせた造語で、日本特有の乾燥した軽い新雪を指す。シベリアからの寒気が日本海を渡る際に大量の水分を含み、山岳地帯に大量に降り注ぐことで生まれる極上の粉雪は、世界のスキーヤー、スノーボーダーから熱狂的な支持を受けている。単なる観光資源ではなく、自然条件が生み出す希少な体験価値。それがJapowなのである。

さて、戸狩温泉スキー場のリニューアルは単なる設備更新ではない。ファミリィからコアなスキーヤー、さらには国内外のハイエンド層までを射程に入れた、多層的なスノーリゾートへの転換である。一般ゲレンデとの二層構造による持続可能なスキー場運営を目指している。その目的に沿って始動させたのが、アジア初となる完全会員制ゲレンデ「The CLUB TOGARI」である。ゲレンデは以前閉鎖されていた深雪ゲレンデを再稼働させ、分譲コテージの開発も始まる。国内外の富裕層を対象とした限定的な滑走環境とラグジュアリィなクラブハウスにより圧倒的に質の高い滞在体験を提供していくものだ。22棟の分譲コテージとゲレンデ間には常時雪上車を回送させる予定で、ドアからリフトまでの移動に不自由はまったくない。メンバーシップ制は最終400口となり、パウダースノーを楽しめる環境は保証されていると言っても過言ではない。初年度募集の40口は既に完売。メンバーシップ制スキーリゾートへの期待の高さが伺える。

ホンモノを知るリーダーによる舵取り

日本のスノーリゾートマーケットはいま大きな転換点にある。国内のスキー・スノーボード人口は長期的に減少傾向にある一方、海外からの来訪者は急増している。しかし活況の裏側では、地価や物価の急騰、利益の地域外流出といった歪みも顕在化するケースも見受けられる。戸狩温泉周辺もまた民宿の減少や施設の老朽化という課題に直面してきた。雪は豊富でも、経済が循環しなければ地域は痩せていく。そこで打ち出されたのが「地域共生モデル」である。スキー場を単なる観光装置とせず、雇用を生み、来訪者を地域全体へ回遊させ、利益を地元へ還流させるハブとして再設計する。その具体像が、今回のリニューアルに集約されているのだ。

昨年2025年冬、まず一般ゲレンデを本格的に進化させることからスタートした。1日2回の圧雪車稼働により日中も整備されるバーンは国内では稀有な存在であり、カービングを存分に楽しみたいスキーヤーやスノーボーダーにとって、安定した雪面は最高の舞台となる。さらに全長320メートルにおよぶ本格モーグルバーンが新設された。これは国内最長クラスの規模を誇り、SAJ公認大会が開催されるテクニカルな斜面だ。これは国内最長クラスの規模を誇り、SAJ公認大会の開催も視野に入るテクニカルな斜面だ。上級者にとっては挑戦の場であり、観る者にとっては迫力ある舞台装置ともなる。加えて、ジャンプ、ジブ、ハーフパイプを備えたフリースタイルパークも整備され、レベルに応じて自由に技を磨ける環境が整う。

滑走後の時間の使い方も刷新された。温泉施設「暁の湯」は信州の山並みを望む絶景を活かしながら機能を強化。雪と温泉を一日で味わうという日本的な贅沢をより快適に体験できる。ゲレンデ内は完全キャッシュレス化され、レストラン、レンタル、温泉の利用までスマートに完結する。食の面では、長野県初上陸となる「焼肉ドラゴンproduced by ジャンボ」がオープンした。都内の名店「焼肉ジャンボ」がプロデュースし、名物「野原焼き」や和牛にぎりを提供。ディナーでは東京店の味を忠実に再現し、ランチでは飯山市産の信州プレミアム和牛や地元野菜、飯山米を使用した特別メニューを展開する。滑走者だけでなく、食を目的に訪れる人々も呼び込み、地域内の周遊を促す狙いだ。

この構想すべてを率いるのが、オーナーの濱口弘氏である。実業家でありアスリートで、正真正銘の正真正銘のカーガイ。元ランボルギーニのワークスチームオーナーかつル・マン24時間では自らハンドルを握るジェントルマンドライバー。日本カー・オブ・イヤーでは選考委員を務める自動車ジャーナリストとしても知られる。国内外の自動車文化をリアルに探求し続けてきた人物であり、会員制施設であるTHE MAGARIGAWA CLUBの常任理事として、限定メンバーシップ制と体験価値を両立させる設計思想にも通じている。

濱口氏の視点は明快だ。単に海外富裕層を呼び込むのではなく、地域の資源を尊重しながら、質の高い顧客層を迎え入れる。そのための空間設計、サービス設計、価格設計を一体で考える。ラグジュアリーとは過剰な装飾ではなく、体験の純度を高めることだという思想が、The CLUB TOGARIの構想にも通底している。

取材当日は、2022年北京オリンピックのフリースタイルモーグル日本代表である杉本幸祐選手も同行し、実際に新設予定コースを滑走した。世界基準の視点と、経営者としての戦略的視野、その両輪が交差する刹那であった。

これだけの環境が揃い、2028年に戸狩温泉スキー場で開催される予定の第82回国民スポーツ大会(信州やまなみ国体)スキー競技の準備も着々と進んでいる。

65年の歴史は、積み重ねられた雪の層のようなものだ。その上にどのような未来を築くのか。戸狩温泉スキー場のリニューアルは単なるリゾート再生ではなく、地域とともに呼吸する新しい再生モデルを提示しようとしているのだ。

文:オクタン日本版編集部 写真:尾形和美

Words: Octane Japan Photography: Kazumi OGATA