小林製薬は2月17日、鼻うがい洗浄液「ハナノア」の誕生20周年にあわせ、誕生秘話や広告戦略を公開した。

  • 「ハナノア(販売名:ハナノアa)」(希望小売価格 税抜1,130円)

    「ハナノア(販売名:ハナノアa)」(希望小売価格 税抜1,130円)

「痛い・怖い」イメージ払拭への挑戦

同商品が発売された2006年当時、鼻うがいは「痛い」「難しい」といったネガティブなイメージが強く、一般的な衛生習慣としては浸透していなかった。本来、鼻うがいで鼻の奥を洗浄することは健康管理において有用だが、当時のネガティブイメージが最大の普及障壁となっていた。そこで同社は、「鼻うがいは痛いもの」という世の中の常識を変えるべく、製品発売と同時に、直感的に「痛くない」「簡単」であることを伝える広告活動を行った。

電車広告が話題に

  • 電車広告

    電車広告

同商品が世の中に広く認知されるきっかけとなったのは、2017年の山手線における広告だった。当時、まだ一般的でなかった鼻うがいをありのまま見せる電車内広告は、ネット上で大きな話題を呼んだ。この時のインパクトあるビジュアルが、その後の広告戦略の原点になっているという。

今田耕司さんの起用で認知が爆発

  • CMに今田耕司さんを起用

    CMに今田耕司さんを起用

ブランドの認知を決定的にしたのは、今田耕司さんの起用だった。2020年に公開したCMは、実際に商品を使っているリアルな姿をCMに使用し、絶妙な表情で鼻の穴から勢いよく液体を出す様がSNSで爆発的な反響を呼んだ。この演出の狙いは、単なるインパクト重視ではなく、鼻うがいに対する「痛そう」「難しそう」という先入観を払拭するためだった。シュールな面白さで大きな話題を呼んだCMだったが、同時に、それまで馴染みの薄かった鼻うがいの存在を広く知ってもらう契機となった。今田さんが真剣に実演する姿を通じて、「痛くない」というメッセージを生活者に届けられたことで、鼻うがいに対する安心感の醸成に成功した。

ダイアン津田さん起用で爽快感訴求

  • ダイアン津田さんを起用

    ダイアン津田さんを起用

20周年を迎える2026年2月、お笑いコンビ・ダイアンの津田篤宏さんを起用したWEBCMを公開した。これまでも「痛くない」という安心感とともに、鼻うがい後の「スッキリ感」を伝えてきたが、今回のWEBCMではその魅力をさらにストレートに表現。ミントの香りで鼻の奥まで「スーッ」と洗い流されるハナノア独自の爽快感を、津田さんお馴染みのギャグ「ゴイゴイスー」に乗せて届ける。20周年を機に、鼻を洗うことの「格別な気持ちよさ」を、より多くの人々へ習慣として提案する。

一貫して続ける"実演"のスタイル

同ブランドが広告戦略において大切にしているのは、「わかりやすさ」だという。発売当時はネガティブイメージが先行しており、日常生活における選択肢にはなりにくい状況だった。こうした生活者の抱く心理的なハードルを取り除くために、言葉を尽くした説明ではなく、実際に製品を使っているリアルな様子をそのままCMに使用してきた。

  • (左から)2006年「鼻の奥の花粉」篇、2017年「白木さんハナノア実践」篇、2020年「今田さん実演」篇、2026年「スーを差し上げ合う」篇

    (左から)2006年「鼻の奥の花粉」篇、2017年「白木さんハナノア実践」篇、2020年「今田さん実演」篇、2026年「スーを差し上げ合う」篇

「ハナノア」開発秘話

商品の開発は、社内から「鼻うがい=痛い」というイメージから習慣化されていなかった鼻うがいを広めたい!というアイデアが出たことをきっかけに始まった。開発初期の試作品は、容器が固く、両鼻を一度に洗う注ぎ口が2個付いたタイプだったが、両方の鼻から同時に液が入ると「息ができず、溺れたように咳き込んでしまう」ことからこの仕様での開発を断念。現在の片方ずつ鼻を洗浄するスタイルが確立された。

また、鼻うがい初心者の方の恐怖心をなくすため、容器の素材も柔らかいものに一新し、自分の力で容器を押して液量を自在にコントロールできる「スクイズ(加圧)式」を採用。あえて柔らかい素材に変更し、量を加減しやすくしたことで、鼻うがいへの抵抗感を払拭した。こうして、現在のハナノアに近い形が完成した。

  • 透明の窓がついたパッケージ

    透明の窓がついたパッケージ

当時のパッケージは、中身が見えるように透明の窓がついていた。鼻うがい自体があまり浸透していなかったため、どんな商品なのか直観的にわかるようなパッケージにしたいという意図があった。さらに、鼻うがいにはコツがいるので、初めての人にも使い方がわかるように、使い方を箱の側面に記載するなど、新しい衛生習慣として生活に取り入れてもらうための工夫を凝らしていた。

ネーミングの検討は数百案に及んだ。「痛くない」「スッキリする」といった効果をストレートに表現する案も多く出されたが、最終的には鼻の穴(はなのあな)にノズルを入れて使うことから、ハナノアとなった。

「鼻うがい先進国」へと意識をアップデートへ

  • 1年以内に鼻うがいを利用した人の割合

    1年以内に鼻うがいを利用した人の割合

鼻うがいの習慣化が進んでいる諸外国と比較すると、日本における鼻うがい文化は未だ発展の余地を残している。

同社調査では、「鼻に症状・違和感を持つ20~60代男女」のうち、88%が鼻うがいを使用していないという実態が浮き彫りになった。こうした中、手洗い・うがいに並ぶ「第3の衛生習慣」として、鼻うがいの定着が重要であると考えられている。鼻うがいは、鼻腔と喉の間に位置する「上咽頭」と呼ばれる風邪のウイルスや花粉が溜まりやすい箇所を物理的に洗い流すことが可能だ。この物理的洗浄の有用性について、同社は大学とも共同研究を継続しており、学会で発表をするなど、鼻うがいに関する学術的な検証を重ねている。