受験シーズンは、受験生本人だけでなく家族みんなが感染症を持ち込まない・広げないことに気を遣う時期。とはいえ、どれだけ気をつけていても、兄弟や親が先に体調を崩してしまうことはあります。そんなとき鍵になるのが、家庭内で感染を広げないための対策です。

この記事では、もし家族に発熱や咳、胃腸症状などが出た場合に、受験生を守るために家庭でできる現実的な対策を医師に聞きました

日常的に意識したい感染対策は家族みんなで習慣化を

受験生を家庭内感染から守るには、「家族全員での基本対策の徹底」と「家の中でうつさない工夫」をセットで考えることが大切です。感染対策は、家庭の誰か一人が頑張るのではなく、家族全員で同じ方向を向いて取り組むことが基本となります。

手洗いは「帰宅時・食事前・トイレ後・咳やくしゃみの後」をセットにして習慣化します(石けんで30秒程度+必要に応じてアルコール)。マスクは、人混み・満員電車・塾などの密な環境では受験生だけでなく家族も着用するのが望ましいです。

室内は1時間に1回程度5〜10分の換気と、湿度40〜60%を目安に加湿して、ウイルスが空気中で長く生きにくい環境を保ちます。家族全員で「共有のスマホやリモコンをときどき拭く」「なるべく顔に手をもっていかない」など、小さな接触による感染を減らす習慣も重要です。

睡眠(中高生で7時間前後)と、主食+たんぱく質+野菜・果物を意識した食事は、免疫を維持する意味で優先順位が高いです。

兄弟がいる家庭で特に注意したいこと

兄弟姉妹がいる家庭では、できる範囲で少し距離を取り、リビングではマスクをつけ、帰宅後はすぐに手洗いと着替えを行う習慣を作るとよいでしょう。

兄弟同士が至近距離で会話したり、長時間一緒にゲームや勉強をしたりする場合には、マスクの着用や座席の間隔を少し空けるだけでも予防効果があります。リビングでの団らんやおやつの時間には、受験生を中心に考え、家族全員でマスクをするなど、わかりやすいルールを共有しておくと安心です。

学校や部活動から帰った兄弟には、玄関から洗面所に向かう動線で、手洗いと着替えを行う“帰宅ルーティン”を定着させましょう。

家庭内に感染者が出たらすぐやるべきこと

万が一、家庭内に感染者が出た場合には、迅速な対応が大切です。まず、発熱や咳、下痢などの症状がある家族は、可能な範囲で別の部屋に移り、本人もマスクを着用します。看病や介護を担う人は原則1人に固定し、その人もマスクをつけ、接触後には必ず手洗いやうがいを行い、必要に応じて手袋を使うようにします。

トイレや洗面台、ドアノブといった全員が触る場所は、1日数回アルコールなどで拭き取り、共有のタオルは撤去して、ペーパータオルや個別のタオルに切り替えましょう。あわせて、受験生が使う勉強部屋に家族の出入りをこれまでより減らし、接触の機会を最小限にすることも大切です。

完全隔離が難しい家での「現実的な」隔離方法

マンションなどのワンフロアなどの住居では、「距離」よりも「時間」と「動線」を分ける工夫が現実的と考えます。

例えば感染者が先に食事をする場合、家族は30分以上あけてから同じテーブルを使用し、その都度換気し、テーブルを拭くなど。

できるなら、感染者はリビングではなく自室で過ごし、トイレや洗面所は回数をまとめて使ってもらい、その後に換気と触れた部位のアルコールなどでの拭き取りを行います。受験生は、感染者の部屋には入らない、同じ椅子やソファに座らない、布団・枕など寝具は必ず別にする、といった「線引き」を家族で共有しておくとよいでしょう。

共有物・触れやすい場所の対策は?

タオル・食器は完全に分ける、ドアノブ・リモコン・スマホ等を定期的に消毒を徹底しましょう。

タオル・コップ・食器

洗面所の共用タオルは撤去して、ペーパータオルなどに切り替えます。フェイスタオル・バスタオル・ハンドタオルは、発熱者が出た時点で「全員完全に別」にし、コップ・箸・食器も、感染者のものは家族と分けて使いましょう。

洗浄時は通常の食器用洗剤+十分なすすぎで問題ありません(ノロなど胃腸炎が疑われる場合は、可能なら高温洗浄・十分な乾燥)。

ペットボトル飲料の「回し飲み」、同じスプーンで味見、同じお皿から直箸で食べるなどは、受験期は“原則禁止ルール”にしておくとわかりやすいでしょう。

「触りがちなのに見落としがち」な場所

ドアノブ、スイッチ、リモコン、スマホ・タブレット、キーボード・マウス・ゲーム機のコントローラーなどは接触感染のリスクが高いため、アルコールなどで1日1〜数回拭き取ると安心です。

洗面台の蛇口、冷蔵庫の取手、トイレのレバー・便座の蓋、ダイニングテーブルなども「家族全員が触るポイント」として意識します。スマホは特に顔の近くで使うため、流行期や家族に体調不良が出たときは、帰宅後や就寝前にアルコールシートなどで拭く習慣をつけるとよいでしょう。

看病する人を固定すべきか

看病・介護役は、原則として「1人に固定」した方が、家族全体に広がるリスクを減らせます。複数人が交代で看病すると、その都度濃厚接触者が増えるため、受験生や高齢者・基礎疾患のある家族は看病役から外すのが望ましいです。

看病を担当する人は、マスク着用、接触後の手洗い・うがい、必要に応じて手袋の使用、長時間の同室を避ける(ケアは短時間でまとめる)などを徹底することが重要です。

受験生が塾や学校に行くかどうかの判断は?

本人の症状・家族の診断・流行状況・塾や学校の方針を総合して判断しましょう。

同居家族に発熱や咳、下痢などがある場合、まず「受験生本人に症状がないか」「濃厚接触の程度」「地域の流行状況」を総合的に考えます。本人に発熱・喉の痛み・咳・強い倦怠感などの症状がある場合は、無理をさせず自宅で休養し、必要に応じて医療機関受診を検討するのが基本です。

本人は無症状でも、家族がインフルエンザや新型コロナなどが強く疑われる場合、塾に事前連絡し、オンライン授業への切り替えや振替受講などの選択肢を相談するとよいでしょう。受験直前期は「感染リスクの高い場所(人混み、長時間の密集空間、会食など)」は家族全体で控えることが推奨されており、学校・塾側のガイドライン(出席停止など)があればそれを優先します。

重要なのは、受験生への声かけと家庭内のサポート

そして、もう一つ大切なのは受験生への声かけと心のサポートです。本人や家族の誰かが体調を崩すと、受験生は「自分のせいかもしれない」「勉強が遅れてしまう」と罪悪感や焦りを抱きがちです。そのときには、「あなたのせいではない」「これまでの努力は消えない」と、事実を交えて具体的に伝えることが大切です。

勉強時間よりも睡眠・食事・休憩を優先し、家族全員が健康管理を一緒に取り組む姿勢を見せることで、受験生も“体調管理は家族のプロジェクト”と前向きにとらえられます。

生活面での支援では、食事の準備や家事の分担、静かな環境づくりを意識し、「今日できたこと」を具体的に伝える言葉が安心感を生みます。また、「感染は誰にでも起こりうる」「体調を崩しても追試や別日程が用意されることも多い」と共有することで、“すべてが失われる”という極端な考えに陥らないよう支えていくことが重要です。

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