ØMIが語る、キャリア16年目の再始動「計算ではなく、今だから言えること」

三代目 J SOUL BROTHERSという大きな場所で活動しながら、ソロでは自身の思想を深化・拡張してきたØMI。約3年半ぶりのEP『THE FUSION』は、2024年6月に始動した同名プロジェクトの集大成。SKY-HI、山下智久、三浦大知との共演を通じて”融合”の必然を鳴らす全5曲だ。今週末には幕張メッセで『ØMI LIVE 2026 ~INFINITY MOON~』を控える彼に、オンラインインタビューで取材を実施。その現在地と次章を聞いた。

─EP『THE FUSION』は、2024年6月にスタートした「THE FUSION」プロジェクトの集大成でもあります。

ØMI:音楽活動で言うと、いま気づけば16年目のキャリアに入っているんですけど、いろんな景色を見てきたり、いろんな経験をさせてもらう中で生まれる葛藤を前から感じていて。業界の中で生きていく上で、きらびやかな世界観もあれば寂しさもあります。それをもっと大きく捉えると、自然の摂理というか、時を経て朽ちていくものがたくさんあって、永遠っていうものがない。そういった摂理に対して感じたこと、自分の身の置き方や、自分ってどういう存在なんだろうっていう自問自答と、その答えを『ANSWER…』(2022年)という作品で出したんです。コロナ禍でしたがアリーナツアーも回れたので、アルバムを引っ提げてツアーを回ったことで、ステージで自分なりの答えが出ました。

─ツアー終了後、しばらくソロ活動は休止状態でしたよね。

ØMI:ある意味、自分の中ではソロアーティストとしての活動は一区切りなのかなって、その時はすごく感じていました。そこから「次に制作意欲が湧くとしたら何だろう」と考えながら過ごしていたんですけど、ここ3~4年でアーティストやアイドルが置かれている環境がどんどんボーダーレスになって、少し前とだいぶ時代が変わってきていることを肌で感じるようになって。自分が体験したことのない世界にいる方々、自分と同じ志を持っているけど今まで交わることのなかった方々と音楽を作ったらどうなるのかなと思ったんです。

─なるほど。

ØMI:そこから「THE FUSION」という自分の中でのコンセプトやテーマ、コンテンツが具現化してきて。じゃあ、誰とやろうかとラインナップを挙げていって、今回の作品に入っているメンバーになりました。SKY-HI、山下くん(山下智久)、三浦大知くん。みんな同年代で、第一線で一時代を作ってきた人たちで、SKY-HIは時代を築いていく旗振り役をしている人ですし、山下くんも自分が子どもの頃からテレビスターでしたし、大知くんも子どもの頃から歌って踊ってテレビに出ていた。そういう人たちと会話をすることが自分にとって重要でした。もともと個人的な付き合いもあったので、話してみると意気投合というか、同じ考えや思想を持っていたところが共鳴して。

それよりも前に(ソロを)やろうと思えばもっとできたと思うんですけど、やらなかったのは、自分の中に燃えたぎる「表現したいもの」がない限り、ソロって着手できないからなんです。生み出す大変さも含めてカロリーが高くて。ファンに「ソロやってください」と言ってもらえるんですけど、自分の中では重い出来事というか、すごくエネルギーが必要なことなんです。だから期間が空いたから「よしリリースしよう」じゃなくて、本当にやりたい瞬間が来るまでは着手できないと思っていました。今回「THE FUSION」ができたのは、業界全体を見た時や、この先のキャリアを考えた時に、今こういうことを提示しておく必要性があったり、今だからこの顔ぶれで言えることがあるという制作意欲が出て、形にできたという感じです。

三代目『ECHOES OF DUALITY』が拓いた、新たな回路

─そして2024年6月、「Purple Pill feat. SKY-HI」のリリースとともに「THE FUSION」のプロジェクトはスタートしたわけですが、三代目 J SOUL BROTHERSのアルバム『ECHOES OF DUALITY』も同じ年の11月にリリースされましたよね。ヒップホップ畑のプロデューサーが多数参加して、音楽的にも新境地を切り開いた作品になりました。あのアルバムの制作からも何かしら影響があったのでは?

ØMI:それも少なからずあると思います。あのアルバムでは制作環境をガラッと変えたんです。活動歴が長いと知らない間にスタイルやルーティン、ルールができてしまって、それが破れないことがある。でもあの時は入ってきてくれるプロデューサー陣に自分たちを料理してもらうつもりで、自分が曲を染めるというより、自分が曲に染まる感覚でした。年下のプロデューサーにボーカルディレクションをしてもらって、遠慮なく言ってもらいました。「もうちょっとこう歌ってほしい」と言われて、「そういうやり方もあるんだ」という発見もあった。今回のソロのリード曲「THE FUSION」のトラックのコンポーザーは、そのとき一緒に仕事をしたFouxだったりするんです。

─タイトル曲「THE FUSION」は、このEP全体の”説明書”のような存在です。〈Borderline〉〈Paradigms〉〈孤高のCrown〉など、自己と他者が同時に立ち上がる言葉が並びます。

ØMI:(Fouxに)伝えていたのは、タイトル曲でサウンドも強い曲なので、遠慮なくフレックスする(※見せつける、誇示する、という意味)感じにしてほしいということでした。EPとしては一つの集大成だと思うんですけど、これは自分の中ではまだPHASE Iだと思っていて、PHASE II、PHASE IIIのイメージも頭の中にあります。PHASE I~IIIの構想を考えた時に、タイトル曲のリリックでは思いっきりフレックスして、「なぜ自分がこういうことをできているのか」「築いてきた多くのものがある」というのを力強いサウンドで出したかったんです。

─インダストリアル的な響きもあってカッコよかったです。サウンド面のディレクションは?

ØMI:Fouxにはとにかく重厚感を出してほしいとオーダーしました。デモのやり取りで、もっと重いキックにしてほしい、もっと低音を広げてほしい、乾いた音はいらないから音色を変えてほしい、と細かい音色一つひとつにオーダーをしました。シンセの鳴り方にもこだわって、もっとリッチな音にしてほしいとEQも細かくオーダーして。ずっと言っていたのは、とにかく壮大でリッチ、エレガントな音だけど、いい意味で下品、みたいな。数字で伝えるのも大事ですけど、彼も僕の言葉のニュアンスをよくキャッチしてくれて、やりやすかったです。

SKY-HI、山下智久、三浦大知──それぞれの「融合」

─「Purple Pill feat. SKY-HI」ですが、SKY-HIさんとは音楽性だけでなく、生き方自体が近いように感じます。以前インタビューでも話してくれましたよね。この曲はどういう経緯で生まれたものですか?

ØMI:「THE FUSION」が、トータルでどれくらいの曲数になるかは正確には分からなかったんですけど、ひとつの作品にはなると思っていました。SKY-HIとどんな曲をやるべきか考えた時、ワンパッケージになった時にこの曲がどういう立ち位置になるのか、フィーチャリングでありながら「THE FUSION」の狼煙になればいいと思っていました。そんなイメージも伝えつつ、彼のラップスタイル、フロウの特徴に合うようなビートを聴かせて、そしたら「めっちゃいいね!」と言ってくれて、すぐにリリックを作ってくれました。

「Purple Pill」という楽曲自体、何年も前から自分のデモのリストにあって、ソロでやるか三代目でやるか、やり場に困っていたんです。そして「THE FUSION」をやろうとなって、あらためてそのデモを聴いた瞬間、SKY-HIの声が絶対ハマるだろうと思って、まさにイメージ通りの曲に仕上がりました。

─「Feel Gold feat. 山下智久」ですが、作曲のFAST LANEやRICO GREENEはソロや三代目でも組んでいますね。ØMIさんと山下さんが描く〈ゴールド〉の世界観が、めちゃくちゃ華やかですよね。

ØMI:自分の中で山下くんはエレガントで、国民のアイドルでもあり、パブリックなイメージが強い。上品さも感じていました。曲としてはポップに仕上げたくて、ポップでもありファンクっぽくもある。もしシングルのみで終わりなら、山下くんのキャラじゃないものを提案できたかもしれません。でもEPとしてワンパッケージになった時に、山下くんのキャラクターと自分のイメージから考えると、きらびやかで華やかで、色気があってエレガント、そういうイメージを作品にしたかったんです。

SKY-HIの時は「このビートだ!」となったんですけど、山下くんの場合は細かく選別していきました。ヒップホップのビートではないなとか、K-POPっぽさとも違うなとか、というふうに省いていく感覚で。最終的にFAST LANEたちがハマるデモを上げてきてくれて、山下くんにも提案したらイメージがつきやすいと。じゃあ言葉はどうしよう、となって、自分が叩きを作って。2人が揃うこと自体がスペシャルで、存在感の強さ、2人が揃う奇跡……そういうことを洒落っ気づいた言葉で綴っていきました。

─山下さんの繊細な声のトーンが活かされている曲だなと思いました。

ØMI:それはすごく考えました。「THE FUSION」は僕もそうですけど、参加してもらった人たちにとってもプラスにならなきゃいけないし、プラスにしないと意味がないんです。できる範囲が広い人なら普段やらないこともできるかもしれないですけど、「これで勝負しています」という人に「ロックを歌ってください」「ヒップホップをやってください」はお門違いで、美味しくならないんです。無理強いはしたくなくて、その人の良さが引き立つ、プラスになってほしかった。

山下くんの良さは把握しているので、2人が立っているだけでエレガントになるものは何だろう、後ろで鳴っている音楽は何だろう、という考え方で作っていきました。この曲は、自分一人だったらやらない感じだったかもしれません。

─「To be feat. 三浦大知」は、歌唱の呼吸を含めて"THE ボーカル曲”という印象で素晴らしかったです。三浦さんとの制作で、言葉を超えたような特別な瞬間はありましたか。

ØMI:自分は大知くんをずっと見てきて、日本のマイケル・ジャクソンって言われたりしていますけど、僕もそうだと思っています。自分がデビューしてステージングもわからなかった頃、東京ドームシティホールでの大知くんのライブを観て、歌とダンスとエンタメ性がすごかったんです。

みんなダンスって言いますけど、僕は圧倒的に大知くんの歌声が好きなんです。参加してもらいたいと直接話した時に「大知くんの歌がとにかく好きで、その歌に自分の声を重ねてみたい」と言って、最初に「バラードどうですかね?」と提案しました。2人で踊るようなダンスミュージックやヒップホップより、歌がやりたかった。大知くんの歌の魅力が伝わる曲がよくて、2人とも長く仕事しているプロデューサーのUTAくんに「バラードがいいです」とお願いして。デモを何回も上げてきてくれて、作っていきました。

SKY-HIとの曲、山下くんとの曲はお互いのボーカルが入り組む感じになっていますけど、大知くんの曲は1番と2番で大きくセパレートする形にしました。それも自分からの提案で、「大知くんの1番をとりあえず聴きたい」というのがあって。大知くんが1番を歌って、自分が2番で入ってきて、2番明けの大サビで2人の声が融合していく感じがいいなと。スタジオも一緒に入って、大知くんが歌っているのを現場で聴いて、めちゃくちゃ鳥肌が立ちました。説得力と、大知くんにしかできない歌の表現が出ていると思います。

「LASTING FOREVER」に宿る、晴れ晴れとした心

─EPの最後を飾る「LASTING FOREVER」は、静かで個人的な感情が深く染み出る楽曲です。”融合”をテーマに据えた作品群の終わりに、あえて一人の声で締めた理由を教えてください。

ØMI:今回のリード曲「THE FUSION」で、自分をフレックスして表現したのが表側だとしたら、心の内に静かに思っていることが「LASTING FOREVER」なんです。言いたいことは一緒ですけど、表現の仕方が違う。

タイトル曲とエンディング曲、というふうに自分の中で思っていて。「THE FUSION」というプロジェクトをやったのは、「LASTING FOREVER」の歌詞にあるような想いがあるからなんです。永遠がないのはわかっています。だから『ANSWER…』のような作品を作ったし、過去のソロ作品を見てもそれがわかっているからという意識がある。でも、わかっているけど「永遠」を願ってしまっている自分がいるんですよね。だから「THE FUSION」というプロジェクトを立ち上げたんだろうな、ということを「LASTING FOREVER」では言っている感じです。

─この曲にはプロデューサーのALYSAさんが参加していますが、サウンドの質感含めて温かみがある感じがしますよね。

ØMI:この曲を作りたいと思ったのは、コールドプレイのライブ映像を見ていて、「こんな空気を作りたいな」って思ったんですよ。曲調じゃなくて、雰囲気なんです。制作していくなかで、ALYSAからもらっていたデモが一番、自分の頭に描いた映像を音として表現しているような気がして。

─コールドプレイ的な広がりを持った、ØMIさんらしい優しいバラード曲に仕上がっています。

ØMI:今までのアルバムでも、たとえば『FULL MOON』なら「END of LINE」というバラードを作っていて、『ANSWER…』なら「After the rain」というバラードがあって、その時に感じている心の内を一番表現しています。作り手としてどうしても出ちゃうんです。今回はそれが「LASTING FOREVER」でした。

今までは「END of LINE」も「After the rain」も、心の中でどこか嘆いている部分、悲しみ、悲しいけど前を向いて歩こう、みたいな、ネガティブなだけじゃなく現実を受け止めて歌にしてきました。でも今回「LASTING FOREVER」がああいう曲になったのは、心の内の表れ方が違うんですよね。今までの曲は、その曲調や歌詞になったきっかけが人生の中にあったんですけど、今回ポジティブな曲になったのは、きっと晴れ晴れとした気持ちがどこかにあって、それが素直にああいう曲調と歌詞になったんだなという感じですね。

─幕張メッセで開催される『ØMI LIVE 2026 ~INFINITY MOON~』は、過去・現在・未来の象徴的な3日間(FULL MOON/ANSWER…/THE FUSION)で構成されますが、見どころを教えてください。

ØMI:Day1、Day2は『THE RE:VIVAL』というコンセプト/サブタイトルで、『FULL MOON』と『ANSWER…』のステージを復刻します。過去のライブは一本の映画のような作り方を意識して作ってきたので、そのスケール感を大切にしつつ、現代版にブラッシュアップしました。Day3では、音楽だけじゃなく、ステージにつながる映像も”THE FUSION”している世界観を楽しんでもらえます。単純に「前やったものを1日目、2日目でやります」「新作の『THE FUSION』を3日目でやります」だけじゃなくて、全体を通して大きなストーリーがあって、本当に豪華な内容になっていると思うので、エンタメ性も踏まえて楽しみに待っていてください。

─『THE FUSION』と『INFINITY MOON』を経た ØMI の次のフェーズはどこへ続くと感じていますか。

ØMI:2026年は三代目のグループ活動も15周年イヤーで、すでに発表した内容でもスタジアムライブ(三代目 J SOUL BROTHERS 15TH ANNIVERSARY STADIUM LIVE "JSB FOREVER ~ONE~")があったり、ドームツアー(三代目 J SOUL BROTHERS PRESENTS "JSB LAND" ~FOREVER~)があったり、まだ発表できていないものもありますけど、スケジュールとしてはものすごいことになっています。

ソロ軸の部分でも、単純にファンのみなさんに会いに行く、コミュニケーションが取れる時間も作りたいと思っています。おそらく2027年は、僕のソロが10周年になるんです。そこは一つの集大成という気がしていて、そこに向けて届けられる作品がPHASE IIやPHASE IIIなのかもしれないし、これまでの集大成、ソロとしての集大成を見据えた何かエンタメをお届けできるんじゃないかと、長い視野では考えています。

『THE FUSION』

ØMI

発売中

配信:https://lnk.to/omi-thefusion-EP

CD:https://ldh.lnk.to/THEFUSION_CD

1. THE FUSION

2. Purple Pill feat. SKY-HI

3. Feel Gold feat. 山下智久

4. To be feat. 三浦大知

5. LASTING FOREVER

ØMI LIVE 2026 ~INFINITY MOON~

会場:幕張メッセ 国際展示場 ホール9・10・11

1月30日(金)開場17:00/開演18:30

1月31日(土)開場16:00/開演17:30

2月1日(日)開場15:00/開演16:30

https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/38174/