
第68回グラミー賞の授賞式が2月2日(日本時間)に開催される。最高の栄誉として知られる主要部門「最優秀アルバム賞」の行方を米ローリングストーン誌が占う。
今年の「最優秀アルバム賞」部門はフロントランナーが不在だ。ノミネートされた8枚のアルバムのうち、どれが勝者になっても不思議ではない。しかし、レディー・ガガの『MAYHEM』は、他を圧倒する勢いを見せている。進化を続けるシンガー、ソングライター、そしてパフォーマーである彼女は、これまでにも同賞にノミネートされてきたが、一度も頂点に立ったことはない。その歴史が、2月2日に変わるはずだ。
■The Nominees──ノミネート作品
バッド・バニー『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』
ジャスティン・ビーバー『SWAG』
サブリナ・カーペンター『Mans Best Friend』
クリプス『Let God Sort Em Out』
レディー・ガガ『MAYHEM』
ケンドリック・ラマー『GNX』
レオン・トーマス『MUTT』
タイラー・ザ・クリエイター『CHROMAKOPIA』
■The Lowdown──状況分析
Spotifyの北米編集責任者ジョン・スタインによれば、ガガが勢いに乗っている一方で、番狂わせを起こす存在としてバッド・バニーに注目すべきだという。「彼はこれまでラテン部門以外で受賞したことがなく、本来もっと早く受賞すべきだった」とスタインは語る。さらに、グラミー賞の1週間後に控えるスーパーボウル第60回大会のハーフタイムショーでのヘッドライナーという大役も、彼の追い風となり、投票者の間での知名度を高めている。
タイラー・ザ・クリエイターの『CHROMAKOPIA』も、その「非常に強いメッセージ性と、それに紐付いた美学」ゆえに波乱を起こす可能性がある。このアルバムには、タイラーの豊潤で重層的なプロダクション能力の真髄と、テーマ的な成長が反映されている。「Hey Jane」では子供を持つことへの葛藤を掘り下げ、「Mother」では母親の教えと父親からの洞察の欠如を対比させた。「タイラーは、自分らしくあり続けながらも『クソッタレな大人に成長する』ための見事な設計図を、特にこのアルバムで提示している」と、Geniusの音楽・コンテンツ担当副社長ロブ・マークマンは評する。
サブリナ・カーペンターからも目が離せない。『Mans Best Friend』は、潔いほど自分自身を貫くアーティストとしての姿を示し、今年最もキャッチーなフックをいくつも生み出した。事実、「Manchild」はあまりに抗い難い魅力を放っており、10月にナッシュビルのグランド・オール・オプリで披露された際には、カントリーファンをも虜にした。
レオン・トーマスの『MUTT』も強力な候補だ。わずか10歳でブロードウェイの舞台に立ち、キャリアをスタートさせたニューヨーク出身のこのシンガー、ソングライター兼プロデューサーは、過去への敬意を払いながら、新世代のためにR&Bを再興させている。
そして、ガガの『MAYHEM』にとって最大の刺客となるかもしれないのがケンドリック・ラマーだ。彼のアルバム『GNX』は、ドレイクとの音楽的な抗争で得た勝利の勢いをそのまま形にしたものだ。「Luther」のようなブレイクしたシングルも、その勢いを後押ししている。
スタイン氏によれば、『GNX』は文化的、批評的、そして商業的というほぼすべての指標で優れた成績を収めているという。「ケンドリックにとって絶好のタイミングに思える。彼はかつてないほど国民的な存在になった。それは最優秀アルバム賞にとって素晴らしいことだ」とスタインは言う。
■Who Should Win──誰が勝つべきか
レディー・ガガ『MAYHEM』
ガガは6枚目のスタジオ・アルバムであり、ダンス・ポップのルーツへの回帰と目される『MAYHEM』において、自身の歴史に深く切り込んでいる。無敵の楽曲「Abracadabra」では自身の名前をコーラスに昇華させ、「Disease」ではクラブに不気味な色彩を持ち込んだ。それらすべては、2025年のコーチェラでのキャリアを象徴するパフォーマンスと、それに続く圧倒的なツアーによって鮮烈に具現化された。
ローリングストーン誌のレビューはこう伝えている。「『MAYHEM』は、アーティストを薄めることのないファンサービスだ。このアルバムのガガは、最初から最後まで最もオーセンティックな自分自身を感じさせてくれる。楽曲を覆い隠すようなキャラクターも、コンセプトも、美的衝動も存在しない。代わりに彼女は、これまでのキャリアで最も音響的に挑戦的で、統一感のあるアルバムを作り上げたのだ」。ついに、ステファニー・ジャーマノッタの時代が来た。
■Who Will Win──実際に誰が獲るのか
レディー・ガガ『MAYHEM』
ガガは、2010年の『The Fame』を皮切りに、翌年の『The Fame Monster』、そして2012年の『Born This Way』と3年連続で最優秀アルバム賞にノミネートされたが、一度も受賞したことはない。実際、彼女のアルバムとしての受賞歴はポップ・ボーカル部門とエレクトロニック/ダンス部門のみである。しかし10年以上が経過した今、ガガには経験、勢い、そして好意的な評価が味方している。何より『MAYHEM』という素晴らしいアルバムがある。
ローリングストーン誌が昨年のカバーストーリーで書いた通り、彼女は長年避けてきた「音楽的な『ガガらしさ(Gagatude)』のすべてを、その多様性とともに取り戻した」のだ。また、この作品は彼女が自分自身を見つける助けにもなった。「失ったものすべてを再発見するのに、何カ月も、何カ月も、何カ月もかかった。だからこのアルバムを『MAYHEM(混沌)』と呼ぶのだと思う。それを取り戻すのに必要だったプロセスが、狂気じみていたから」と彼女は同誌に語っている。
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From Rolling Stone US.
「生中継!第68回グラミー賞授賞式(R)」※二カ国語版(同時通訳)
2026年2月2日(月)午前9:00~ WOWOWプライムで生放送/WOWOWオンデマンドで生配信
※放送・配信終了後~5月2日(土)23:59 までアーカイブ配信
「第68回グラミー賞授賞式(R)」※字幕版
2026年2月2日(月)午後10:00~ WOWOWプライムで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~5月2日(土)23:59 までアーカイブ配信
「ライブ配信!第68回グラミー賞授賞式(R)レッドカーペット」
2026年2月2日(月)午前8:00~ WOWOWオンデマンドで生配信 ※アーカイブ配信なし
