AlbaLinkは1月27日、物価高による地方移住に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2025年12月20日~29日、都市部在住の男女500名を対象にインターネットで行われた。
物価高で負担が増えた支出
都市部に住む500人に「物価高で負担が増えた支出」を聞いたところ、1位は9割近くから票を集めた「食費(88.8%)」だった。2位「水道光熱費(16.2%)」、3位「住居費(13.0%)」、4位「日用品費(8.2%)」が続く。
食費、水道光熱費、日用品費など、生活でどうしても必要になる支出が増えているとわかる。住居費についても、「契約更新時に家賃の値上げを打診された」「マンションの維持費や家賃も上がりました」という声があった。
外食やレジャーなど、贅沢や余暇にお金を使っているわけではなくても、家計の負担が大きくなっている現状が読み取れる。
物価高をきっかけに地方への移住を考えたことがあるか
「物価高をきっかけに地方への移住を考えたことがあるか」という問いには、「ある(54.4%)」と回答した人が5割を超えた。
「地方ならもう少し経済的に余裕をもって暮らせるかも」と感じたことのある人も多いことが伺える。地方にはとくに地価や住居費などで、「物価が安い」というイメージがあるからだと考えられる。
一方「ない」と答えた人の回答を見てみると、「住んだことがないし、不便そうなので考えられない」「転職したくない」「現実的に無理」などの声があった。
住居費が半額なら地方の空き家への移住を検討するか
「住居費が半額なら地方の空き家への移住を検討するか」と聞いたところ、「ぜひ検討したい(10.0%)」「条件次第で検討したい(31.4%)」が合わせて41.4%だった。
「物価高をきっかけに地方への移住を考えたことがある(54.4%)」という人よりも、割合は減っている。「現実的に検討するとなるとハードルが上がる」または「空き家についての不安から空き家への移住を検討する人は少なくなる」とわかる。地方移住は生活費も安くなりそうだしちょっといいかもと思っても、現実の問題として検討すると、さまざまな検討事項が浮かび上がり、難しくなるのかもしれない。「興味はあるが現実的には難しい(47.0%)」という人が多かったことからも、都市部に住んでいる人にとっては地方への移住が難しいとわかる。
地方の空き家移住におけるハードル
「地方の空き家移住で最大のハードル」を聞いたところ、ダントツは「仕事を探すこと(41.4%)」だった。次ぐ2位は「公共交通機関が少ない(27.0%)」、3位「コミュニティに馴染めるか(18.4%)」、4位「買い物が不便(14.8%)」が続く。
地方の空き家移住に関心はあっても、実際の生活を具体的に思い描いたときにはさまざまな不安が浮かび上がるとわかる。とくに、仕事・交通機関・買い物・医療機関など、生活の基盤に関する懸念が目立った。
「移住後の生活がちゃんと成り立つのか」「満足・許容できるレベルで生活できるのか」を慎重に考えている人が多い。また、子どもの教育環境など、自分以外の家族への影響を心配している人も多くなった。
1位「仕事を探すこと」
「地方移住を考える際の最大のハードルは仕事面だと感じます。現在の働き方を維持できるのか、安定した収入を確保できるのかが不安です」(20代 男性)、「仕事がすぐに見つかるかが不安。都市部は求人がたくさんある一方、地方は都市部に比べて求人が少なく、『都市部に住んでいたときより給料が下がってしまうのではないか』という不安もある」(40代 女性)という声が集まった。
移住によって現在の勤務地から離れてしまい、リモートワークもできない場合には転職することになる。しかし、地方では都市部ほど多様な雇用機会がなく、働き方の選択肢が限られるというイメージがある。そのため、仕事探しで苦労することや、仕事に就けても収入が落ちることについて不安を感じている人が多くなった。自身の業種・職種を考え、「専門性が高く、地方では仕事がない」「地方では顧客がつきにくい」という声もあった。
2位「公共交通機関が少ない」
「鉄道など公共交通機関の利便性が非常に悪い場合に、移動手段に困ること」(20代 男性)、「運転免許を持っていないため、買い物や通院の移動手段が確保できるかどうか。公共交通機関が整っていない地域だと移動が難しく、タクシーを頼むにも料金が高いので家計の負担になる」(50代 女性)といった声が寄せられた。
地方では、電車やバスなどの公共交通機関が少なく、交通機関自体はあっても運行本数が少ないことも。そのため、移動が車ありきで成り立っていることも少なくない。車社会への引っ越しは、そもそも運転免許をもっていない人やペーパードライバーの人にとっては、大きな不安を伴う。運転ができる人からも、高齢になって運転が難しくなった場合は生活が困難になりそうという懸念が寄せられた。
3位「コミュニティに馴染めるか」
「地方独特の文化やコミュニティに馴染めるかどうか」(30代 女性)、「元々地方に住んでいて人間関係がうまくいかずに離れたので、不安です」(40代 女性)、「疎外感。"移住YouTuberが、元から住んでいる人に嫌がらせをされた"みたいな話もあったので」(50代 男性)といった不安の声が挙がった。
一部には「地方・田舎のコミュニティは人間関係が濃くて閉鎖的」というイメージがある。すべての地方・田舎が上記のような環境ではもちろんないが、、SNSなどで発信される強烈なエピソードから、ネガティブなイメージをもっている人も。また「実際に田舎に住んだことがあり、コミュニティに馴染めなかった」という人もいた。馴染めれば、人の温かさや距離が近くて助け合いの文化があることを魅力と感じられるが、固定化された人間関係に慎重な姿勢の人もいるとわかる。不安が大きいため、お試し移住で様子を知りたいという声もあった。
4位「買い物が不便」
「買い物が不便なところ。食料品は結構な頻度で買いに行くので、スーパーが近くにないと大変だからです」(20代 女性)、「地方の場合、都市部と違ってコンビニなどが少なく、生活が不便になりそうなこと」(40代 男性)といった意見が見られた。
商業施設が豊富な都市部と違い、地方だと住む場所によっては、徒歩圏内にスーパーやコンビニがないケースも。「地方のローカルスーパーが閉店してしまう」といったニュースも時折聞かれる。そのため、日常的に必要な食料品や日用品を手に入れるだけでも手間や時間がかかるのではないか、という不安が生まれるようだ。商業施設が近くにないと利便性が大きく低下するため、移住するうえで大きなハードルとなる。
5位「子どもへの影響が心配」
「子どもの転校。性格を考えると馴染むまでにかなりの時間が必要になりそう。心のケアが必要そう」(30代 女性)、「子どもがいるので、進学などで選択肢が今よりも狭くなりそうなのがハードルとなると思います」(40代 女性)との声もあった。
人口が減少している地方部の場合には、子どもの数が少ないので学校の数も少なくなる。結果として都市部に比べて進学先の選択肢が少なくなったり、学校が遠くて通学時間が長くなったりするため、子どもへの影響を心配している人も多くなった。また「塾や習い事の選択肢が少なくなりそう」と、学校以外の教育環境を心配する声も寄せられている。「親の希望で子どもを転校させていいものか」「子どもが新しい学校に馴染めるのか」などの親心も見られた。
6位「医療機関が少ない」
「病院が遠かったら困ると思う」(30代 女性)、「持病の治療ができそうな通院先があるか」(50代 男性)、「医療機関が少なく不便にならないか」(60代以上 男性)という不安もあるようだ。
人口減少や医師不足が深刻な地域では、病院の数が少ないことも。都市部では複数の病院から通院先を選べても、地方では選択肢がなかったり通院に時間がかかったりする。とくに持病がある人や高齢者にとっては、すぐに受診できる環境や自分の通いたい診療科が周囲にあるかは、移住における重要な判断ポイントとなる。小さい子どもがいる世帯にとっては、小児科があるかどうかもポイントだ。
7位「生活コストが高い」
「買い物や職場に行くとき車が必須になってくるので、車のガソリン代や維持費がかさむ」(20代 男性)、「住居費以外はあまり生活費を節約できない。水道光熱費が都市部より割高」(40代 女性)、「地方の物価は、安いものもあれば逆に高いものもあるので、もう少しリサーチしたい」(50代 女性)という意見もあった。
地方は生活費が安いというイメージがあるものの、「本当に生活コストが安くなるのか」と懸念をもっている人もいる。とくに懸念を寄せる人が多かったのは、車の維持費だった。また地方だと都市ガスではなくプロパンガス利用になることもあり、「都市ガスよりかなり高くてびっくりした」という声も寄せられている。
住居費が半額でも、住居費以外の生活コストが高ければ、手元に残るお金は少なくなる。「地方の空き家移住=必ずしも生活費全体を節約できるわけではない」という意識をもち、移住後の生活費をシミュレーションすることが大切なのかもしれない。
さらに、「空き家に移住する」というテーマでアンケートを募集したため、空き家の改修費や維持費に不安を感じている人もいた。引っ越しやリフォームといった初期費用についての不安がある場合には、自治体の支援制度を調べてみることもできる。



