「年収178万の壁」2026年の税制どう変わる? 年収600万円世帯は「3.7万円」の減税へ…専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。今回の放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「2026年の税制…主な内容と課題は?」。情報社会学が専門の学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんに解説していただきました。(※放送当時の内容です)


※写真はイメージです



◆2026年は税制どう変わる?

吉田:塚越さん、まずは政府が2025年12月、決定した「2026年度税制改正大綱」について、改めて教えてください。

塚越:政府は2025年12月26日の閣議で税制改正大綱を決定しまして、1月の通常国会に関連法案を提出することになります。全体としてはやはり減税に関するものが注目されました。

まずは年収の壁問題ですね。現在は160万円になっているのですが、これを国民民主党などが求めた178万円に引き上げます。ただし、単に引き上げても、現在の基準では基礎控除を最大限受けられる人は年収200万円以下となっており、対象となる人が少ないんですね。そこで、2026年と2027年の時限措置として、この対象を年収665万円以下に広げることで、納税者のおよそ8割が壁の引き上げの恩恵を受けることになるということです。

特に中間層に恩恵がいく内容になっていまして、大和総研によりますと、単身世帯、または配偶者控除を受けていない共働き世帯ですと、年収600万円の層で減税額は年3万7,000円になると試算しています。ただ、時限的な措置なので、今後どうなるかはわからないところですね。

もうひとつは企業向けで、工場などの設備投資に対して、最大で7%の法人税の減税をする制度が導入されます。

ほかにも、住宅ローン減税を2030年末まで5年間延長。また中古住宅を購入した人の控除期間も、新築と同じ最大13年に延ばして、減税対象となる借入額も最大で4,500万円に引き上げるということです。

また、自動車を購入した際に、自動車の環境性能に応じて最大で価格の3%を課税する環境性能割を2025年度末で廃止することなども盛り込まれています。これは課税の少ないEVなど、環境性能の高い自動車をユーザーに促す法律ですが、世界的な流れも受けてこれを一旦白紙にするものです。またこれによって国内の自動車の買い替えを促進して、トランプ関税で傷ついた国内の自動車業界を活性化させる意図もあると思います。

他にもいろいろとありますが、全体としては減税が目立つ内容だと思います。また、現状はあくまで閣議決定であって、今後は国会で議論があります。全部がひっくり返るようなことは考えづらいですが、細かな修正はあると思います。

◆減税が目立つ一方、防衛増税も本格スタート

吉田:今回の税制改正、塚越さんは、どのようなことに注目しましたか?

塚越:先ほどは減税の話が多くありましたが、同時に増税についても決定がありました。ここも注目しなければなりません。

増税で大きいのは防衛増税で、これは2027年から、所得税が1%引き上げになります。すでに2023年度の税制改正大綱で防衛増税は決定しており、今年2026年の4月からは法人税とたばこ税が引き上げられますが、加えて時期が未決定だった所得税が来年2027年から引き上げということです。ただ、所得税の1%分については、現在の東日本大震災の復興特別所得税を1%下げるということなので、実質的な負担は変わりません。ただし、復興税もいずれは徴収されますので、負担が増えることには変わらないと思います。

また、直接の制度ではないですけれども、物価が上がることで実質的に負担が増えるインフレ税、つまり事実上の増税が起きている側面もあると思います。

◆「実質賃金」が上昇するかに注目を

ユージ:今回の税制改正、塚越さんは、どのようにご覧になっていますか?

塚越:やっぱり財源が重要になってくるということで、高市政権の「責任ある積極財政」で重要なのがバランスですよね。積極すぎると、長期金利が上がってしまうなど、いろいろな部分で舵取りが難しいところも出てくるかと思います。

減収でいうと、2025年の年末のガソリン減税(暫定税率)の廃止で、年間およそ1.5兆円の減収になります。さらに、年収の壁の引き上げで6,500億円の減収。他にも、設備投資の促進税制で4,000億円、環境性能割の課税廃止で1,900億円程度の減収になるということで、いろいろなところで収入が少なくなります。

一方で、税収自体は2025年度も過去最高額になると言われていますし、年収の壁を引き上げて減税をしても、その分消費が促進されて景気が刺激されれば、その分良くなるかなというところもあります。また政府としても、超富裕層に対する課税の見直しなど、財源の捻出については実はいろいろと工夫をしているんですね。こうしたバランスをいかに取れるかということが議論されています。

そして、個人的に一番重要だと思っているのは、実質賃金が上げられるかどうかです。どんなに賃金が上がっても、物価の上昇を計算した上で、実質的な賃金が上がっているかどうかが問題です。この実質賃金がずっと下がってしまっていることが問題になっていますよね。

元日から下請法が改正されて取適法(取引適正化法)になりましたが、中小企業が適正な価格転嫁をちゃんと進められるようにしたり、金融課税を進めて現場で働く人に利益を還元したりと、やり方はいろいろあると思います。世界情勢など不安定な要素もありますが、2026年は実質賃金がちゃんと上がるかどうか、ここに注目していくことが重要と、私は強く思います。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
番組公式X: @ONEMORNING_1