
毎年、誕生月になると「ねんきん定期便」が送られてきます。50歳以降のねんきん定期便には将来、受け取る年金の見込み額が記載されていることもあり、65歳からのライフプランを考えるときに役に立ちます。
しかし、年金の見込み額が、実際に受け取る金額と同じと思っているのは危険です。なぜなら、年金の見込み額からは、税金や社会保険料が天引きされるからです。今回は、65歳以上の人がもらう年金から天引きされるものを説明していきます。
◆年金から天引きされるものは全部で4つ
年金から天引きされるものには次の4つがあります。
【年金から天引きされるもの】
・所得税
・住民税
・介護保険料
・国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)
それぞれについて解説します。
◇所得税
所得税とは、個人の所得に対してかかる税金です。年金による所得は「雑所得」に分類されますが、受給額の全てに税金がかかるわけではありません。
65歳以上で「収入は公的年金のみ」という方が、所得税がゼロになるボーダーラインは以下の通りです。
・205万円(公的年金控除110万円+基礎控除95万円)未満
これまでは、年金収入が158万円(公的年金等控除110万円+基礎控除48万円)を超えると所得税の課税対象となっていました。しかし、2025年(令和7年)の税制改正があり、2026年分(令和8年分)からは、非課税枠が「205万円未満」までに引き上げられました。
年金額が205万円を超えた場合は、さらにそこから、社会保険料控除などの各種控除を差し引きます。それでも残った金額に対して所得税・復興特別所得税がかかり、年金から天引き(源泉徴収)される仕組みになっています。
なお、受給する年金が、障害年金や遺族年金であれば非課税です。
参照:日本年金機構ホームページ/非課税所得とは、どのようなものですか。
◇住民税
住民税は、前年度の所得を基準に計算します。その際、その年の4月1日現在において65歳以上で、年金の年額が18万円以上であれば年金から住民税が天引きされます。所得税と同じく、受給する年金が、障害年金や遺族年金であれば非課税です。
◇介護保険料
介護保険料は、40歳以上の全ての人が支払う義務のある保険料です。会社員や公務員などは、40歳から64歳までは勤務先と本人が半分ずつ負担しますが、65歳以上になると全額自己負担へと切り替わります。
その際、老齢年金、退職年金、障害年金、または遺族年金を受給しており、年間の受給額が18万円以上の方は、年金からの天引きの対象となります。
◇国民健康保険料(後期高齢者医療保険)
医療に関する保険料として年金から天引きされるものには、年齢に応じて「国民健康保険料(税)」と「後期高齢者医療保険料」の2種類があります。
【国民健康保険料】
65歳以上75歳未満の方(後期高齢者医療制度の該当者を除く)が対象です。国民健康保険料が年金から天引きされるのは、老齢・退職・障害・死亡を事由とする年金を受給しており、年間の受給額が18万円以上の方です。
なお、国民健康保険料と介護保険料の合計額が、年金額の2分の1を超える場合は天引きの対象外となり、納付書などで支払います。
【後期高齢者医療保険料】
75歳以上の方(または65~74歳で一定の障害により認定を受けた方)が対象です。天引きの対象となる年金や受給額は国民健康保険と同じです。
後期高齢者医療保険料と介護保険料の合計額が、年金額の2分の1を超える場合は天引きされず、納付書などで支払うことになります。
なお、65歳以上75歳未満の方が会社などに勤務している場合は、引き続き勤務先の健康保険(健康保険組合や協会けんぽなど)に加入し、保険料も「給与」から天引きされます。
参照:日本年金機構「年金から、介護保険料などを徴収される人とは?」
◆まとめ
65歳以降の家計は、まず、もらえる年金額をもとに考えます。その際、「ねんきん定期便」に記載されている年金の見込み額からは、税金や社会保険料が控除されることを覚えておきましょう。手取り額をしっかりと把握していれば、受け取ったときに「少ない……」となることはないでしょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
文=舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)