投資の世界では「株式は成長、債券は安定、不動産は収益」と言われます。家賃収入のように、景気の波に左右されにくい“コツコツ収益”が期待できるのが不動産です。
「失われた30年」と呼ばれた停滞期が続いた日本ですが、実は東京の不動産価格は振り返ると緩やかに上昇してきました。賃料も底堅く、長期で見ると国内不動産は収益源として一定の役割を果たしてきた「かなり堅い」部類の資産といえます。
その国内不動産が2025年に入り、いっそう存在感を高めています。株式市場が乱高下した局面でも下落幅を抑えるなど、分配金(利回り)と安定感の両立が評価されています。
そこで今回は、SBI証券投資情報部のアナリスト・川上雅人さんに、国内リート(REIT)市場の動きを解説していただきながら、NISAで買える、5年で好成績の国内リートファンドをご紹介します。
* * *
2025年は国内不動産がオルカン超え!?
2025年11月11日、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)全銘柄を対象とした時価総額加重平均型の指数である「東証REIT指数」(日本のREIT全体の値動きを示す代表指標)の終値が2,016.37ポイントをつけました。節目の2,000を上回り、2022年9月以来の約3年2ヵ月ぶりの高値となりました(図表1)。
東証REIT指数(国内リート)は2023年、2024年の2年間は国内株式が好調な中で出遅れていましたが、2025年から回復基調が鮮明となっています。国内リートが好調な要因は、オフィス市況の改善やインフレ定着による不動産の賃料上昇に加え、国内リートが保有する不動産の評価額が上昇し、不動産市場が大きく改善していることなどが挙げられます。
東証REIT指数は配当込みで見ると2025年7月下旬に2021年の過去最高値を更新していました(図表1)。REITから得られる分配金(11/11の加重平均分配金利回りは4.5%)の再投資効果が長期で見ると大きかったといえます。
“円資産”として国内リートが存在感を示した
図表2では、eMAXIS Slimシリーズの主なインデックスファンドで2025年のパフォーマンスを比較しました。全世界株式(オール・カントリー)(愛称:オルカン)、米国株式(S&P500)を上回ったトップ3は、国内株式(日経平均)、新興国株式、国内リートとなっています。国内リートは4月のトランプ関税ショックの下落局面で下落幅が限定的となっており、安定感が目立ちます。
-

図表2 2025年 eMAXIS Slimシリーズの主要ファンドのパフォーマンス比較 (2024/12/30~2025/11/11 2024/12/30=100) ※QUICKデータをもとにSBI証券作成(ファンド名は略称)、上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
東証REIT指数が2,000ポイント超まで上昇しましたが、分配金利回り4.5%は米国長期金利よりも低く、利回り比較から、8月から買い越しに転じた外国人投資家の買いが続く可能性も指摘されています。
こうした環境から、今回は国内リートファンドに着目します。国内リートファンドでは、東証REIT指数(配当込み)に連動を目指すインデックスファンドが代表的ですが、ここではそのインデックスファンドを長期(5年)で上回っているアクティブファンド(指数を上回る成績を目指して運用するファンド)を取り上げます。
SBI証券取り扱いでNISAで買える5年好成績 国内リートファンドの一覧が図表3となります。インデックスファンド(市場指標に連動させる運用を行うファンド)では、eMAXIS Slim 国内リートインデックスが5年リターンでトップとなっていましたので、それを上回ったファンド群です。それぞれのファンドについてコメントします。
NISAで買える 5年好成績 国内リートファンド5選
-

図表3 NISAで買える 5年好成績 国内リートファンド ※国内REITカテゴリーのNISA・成長投資枠対象ファンド(SBI証券ネット取り扱い)を5年リターン順に表示(2025年9月末基準)、上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
1位:分配金を出さず成長を狙うアクティブ運用
5年リターンで1位のフィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(資産成長型)は、運用担当者がボトムアップ・リサーチをもとに銘柄を選別し、バリュエーション(株価や不動産価格が割安かどうかを判断する指標)が割安で投資価値の高い銘柄を厳選するファンドです。年1回決算で過去の実績では分配金は支払わずに基準価額の上昇を目指しています。組入上位銘柄は日本プロロジスリート、KDX不動産、大和証券リビング、野村不動産マスターファンド、イオンリートなどとなっており、組入銘柄数は33銘柄、投資しているマザーファンド(複数の投資信託が投資する、元となる大きなファンド)の予想配当利回りは4.96%です(※)。1、3年でも国内リートインデックスファンドを上回る実績で、SBIセレクトのファンドです。
2位・4位:分散投資で着実に積み上げる定番リート
2位のJ-REITオープン(年4回決算型)と4位のJ-REITオープン(資産成長型)は、個別銘柄の流動性、収益性、成長性等を勘案して分散投資を行うファンドで、決算回数が異なります。組入上位銘柄は日本プロロジスリート、日本都市ファンド、KDX不動産、日本ビルファンド、インヴィンシブルなどとなっており、組入銘柄数は57銘柄、マザーファンドの配当利回りは4.7%です(※)。同じマザーファンドに投資しているため、運用成績はほとんど変わりません。それぞれ1年、3年リターンでもインデックスファンドを上回る実績です。
3位:類似戦略で安定した長期リターン
3位の野村Jリートファンドは、個別銘柄の流動性、収益性・成長性等を勘案して選定したJ-REITに分散投資しているファンドです。2位と4位のファンドと同じく野村アセットマネジメントが運用しており、投資しているマザーファンドの名称は異なりますが、運用プロセスが同様のため、組入上位銘柄とその投資比率は類似しています。そのため運用成績もほぼ同水準です。1年、3年リターンでもインデックスファンドを上回る実績となっており、SBIセレクトのファンドです。
5位:指数超えを狙う研究所監修型ファンド
5位のJリートアクティブファンド(1年決算型)は、三井住友トラスト基礎研究所の投資助言を活用し、東証REIT指数(配当込み)を上回る投資成果を目指すファンドです。組入上位銘柄は日本ビルファンド、ジャパンリアルエステイト、日本都市ファンド、GLP、日本プロロジスリートなどとなっており、組入銘柄数は44銘柄、マザーファンドの予想配当利回りは4.49%です(※)。
オルカン中心の投資でも“国内不動産”を組み合わせる選択肢
足元では高市政権の財政拡張政策への思惑から円安ドル高が進行し、ドル円レートは154円台となっています。ドル円の155円超えは介入警戒水準と思われ、為替水準から見た米ドル建て資産の相対的な割高感も意識されているといえます。
こうした環境下では米国株中心のオルカン投資家は値動きの異なる円資産への分散投資として国内リートの活用が有効といえます。国内リートへの投資においては、インデックスファンドだけでなく好成績の国内リートファンドへの投資も選択肢と考えます。
なお、国内リートについては、上場銘柄が58銘柄で時価総額合計が17.4兆円(11/11時点)という小さい市場のため、流動性に乏しく、価格変動が一方通行になりやすい点に留意が必要です。
(※)ポートフォリオの情報は2025年9月末基準(1位のファンドのみ8月末基準)。個別銘柄の取引を推奨するものではありません。分配金利回りはファンドの運用利回りを示すものではありません。
掲載されたファンドの情報はこちら
『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。

