三井不動産とKDDIスマートドローンは11月13日、日本橋三井タワー屋上で大規模災害時の速やかな情報収集を目的としたドローンポート活用の実証実験を実施した。日本橋エリアの高層ビル屋上にAIドローンを設置し、遠隔飛行を行うのは今回が初の試み。
当日はメディア内覧会も開かれ、三井不動産 日本橋街づくり推進部の吉田信貴氏、KDDIスマートドローン ソリューションビジネス推進部の福井悠貴氏が登壇。今回の実証実験の狙いや展望について語った。
日本橋エリア初! “最新型AIドローン”を活用した実証実験
三井不動産の吉田氏は冒頭、日本橋エリアの街づくりの歴史を振り返りつつ、今回の取り組みの背景を説明した。
日本橋は江戸時代から全国の物流・情報の起点として長く栄えたが、バブル崩壊後は活気を喪失。かつての勢いを取り戻すべく、2000年代から「日本橋再生計画」が始動し、オフィスや商業施設、ホテルなど、さまざまな機能を持つ都市として再開発が進められた。
「私たちはただスクラップ・アンド・ビルドで街づくりをするのではなく、“産業創造”をテーマに、入居する企業や産業が成長できるよう伴走してきました。これまでライフサイエンスや宇宙ビジネス、半導体ビジネスなどの分野に注力してきましたが、日本橋の特徴である“水陸の要所”という立地から、モビリティも非常に重要な要素だと考えてきました」(吉田氏)
同時に、三井不動産は災害に強い街づくりにも取り組んでおり、供給電源の自立分散化や、住民参加型の防災訓練などを実施。今回の実証実験もそうした取り組みの延長線上に位置づけられる。
「高層ビル屋上に自動充電ポート付きのドローンを設置し、遠隔からの自動離発着と広域撮影を行うことで、被災直後でも無人でエリア全体の被害状況を把握できるのではないかと仮説を立てています。衛星通信の『Starlink』を併せて使うことで、地上の通信が途絶しても安定した映像伝送が可能かを検証します」(吉田氏)
続いてスピーカーを務めたKDDIスマートドローンの福井氏は、今回の実証実験の概要をモバイル通信の観点から説明した。
今回の実験に用いられた「Skydio Dock for X10」はAIを搭載した最新型のドローンで、ポートから自動で離陸、帰還し、遠隔での操作も可能となっている。福井氏によると、「ドローンが自ら動画で空間を認識し、自動飛行を行う」のも大きな特徴だという。
この日、日本橋三井タワー屋上に設置されたポートから離陸したドローンは、遠隔操作によって高度208mまで浮上。東京駅前の八重洲交差点、湊橋、そして浜町センタービルの3地点を順に撮影し、会場のスクリーンにはリアルタイムの映像が映し出された。
「例えば八重洲の交差点の映像からは道路の交通渋滞や鉄道の運行状況、湊橋の映像からは川の増水や橋の陥落の有無、浜町センタービルの映像ではビルの倒壊や火災発生などの状況をすぐさま確認できます」(福井氏)
KDDIスマートドローンは、通信大手としてのネットワーク技術を生かし、Starlinkなどの衛星通信を活用したドローン運用を強みとしている。また、アメリカのドローンメーカー「Skydio」と資本業務提携を結び、国内での導入を推進。さらに日本航空との連携により、通信と航空の両面からドローン運用のノウハウを蓄積している。
「我々のドローンを動かすための通信の知見と、日本航空の空に関わる知見を掛け合わせながら、日本国内におけるドローンの活用をさらに広げ、社会インフラとして構築していきたいと考えています」(福井氏)
今回の実験で得たデータはまず、日本橋三井タワーに入居している企業や従業員に向けた活用を考えており、特に大規模災害時の帰宅困難者などに対し、いかに迅速に情報を届けられるかという点に重きを置いている。
ただし、最終的にはその枠を超え、日本橋エリア全体に住む住民や行政などの公的機関とも連携できるような形も視野に入れており、今回の実証実験の結果によってさらなる可能性について検証していく予定だという。










