パーソル総合研究所は10月28日、「副業の実態・意識に関する定量調査」の結果を発表した。調査は8月1日~7日、20~60代の経営層・人事従事者1,500名、および20~60代の有業者6万2,320名(うち20~50代の正社員3万8,766名)を対象にインターネットで行われた。
企業の副業容認率を調べたところ、新たに副業・兼業に関する規定が新設された2018年以降上昇の一途をたどり、2018年の50.9%から64.3%にまで上昇している。また、本業先の企業(副業容認企業)が副業社員に対して行うサポート率も、2023年調査(27.4%)から2年間で9.0pt上昇するなど、副業推進が、一般的な取り組みとして企業間に広がりつつあることが明らかに。
さらに、2023年調査までは微減傾向であった正社員の副業実施率も今回4.0pt上昇し、過去最高の11.0%に。特に若年層で上昇傾向にあり、20代男性の実施率は20.2%と平均を大きく上回っている。
副業を行う理由については、「副収入を得たい」「本業の収入だけでは不十分」「将来的な収入に不安がある」といった収入補填の理由が上位ではあるものの、そのスコアは2023年調査よりも減少。一方、「副業で好きなことをやりたい」「趣味を仕事にしたい」「自分のスキルが他の場所でも通用するか試したい」といった理由が上昇傾向に。
また、副業の時給も上昇傾向にあり、2018年は平均値2,477円/中央値1,250円だったが、2025年では平均値が3,617円、中央値は2,083円にまで上昇。調査開始以来最も高い水準を記録した。
次に、副業転職の実態について調査を行った。その結果、「副業先の企業へ転職した経験がある」という副業経験者は6.7%。「(他社の)副業人材が自社に転職してきたことがある」という副業先(副業受入企業)は55.6%と、2023(48.6%)年よりも7.0pt上昇。また、副業転職者に「現在、はたらくことを通じて幸せを感じているか」と尋ねたところ、通常転職者と比べて高い割合を示し、「ワーク・エンゲイジメント」についても通常転職者を上回った。
続いて、1カ月当たりの副業活動時間を教えてもらったところ、平均で23.0時間という結果に。「副業を行うことで過重労働となり、仕事に支障をきたした」または「過重労働となり、体調を崩した」人の割合は、2021年(20.7%)から9ポイント近く上昇し、26.9%に。また、「副業を認めることで、従業員の過重労働につながった」「従業員が疲労によって用務効率が低下した」と感じている企業の割合も上昇し、2021年(13.5%)から5ポイント上昇の18.5%を記録した。
また、雇用契約を結ぶ副業の場合、健康保護等の観点から本業と副業の労働時間を通算して、法定労働時間の順守状況を確認するルールが課されるが、合計が45時間以上の割合は34.1%と3割を超えており、うち半数以上が「本業先に副業を行っていることを報告していない」(50.9%)ことがわかった。
業務委託の副業を行う個人の中には、実態として労働基準法上の「労働者」に該当する働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者として扱われ、 労働基準法等に基づく保護が受けられていないといった、「労働者性」の問題がしばしば指摘されている。本調査では、厚生労働省が公表しているチェックリストの内容を基に、「労働者性」の実態について調査した。
その結果、「自律型ワーカー」タイプは労働者性スコアが低く、業務委託の働き方の実態に即した安全層と解釈できる。その他の「名ばかり事業主」「組織専属型」「業務プロセス従属型」の3タイプは、「労働者」と判断されるリスクの高い層であり、全体の55.2%を占めることが明らかに。
また、副業実施者に対して、副業の雇用形態に関する理解度を問うたところ、主観的に「理解している」人は71.5%。しかし、本調査で提示した2問のケーススタディをすべて正解した割合は2割に満たず、正答率は42%と低い結果に。正答者は、不正答者よりも「労働者性」が低く、「業務委託契約時の交渉率」が高いことから、副業を行う個人のリテラシーを向上させることが、「労働者性」の問題に対して有効であるよう。
さらに、業務委託契約時の交渉の実態について確認したところ、契約時に内容の修正・変更を求めなかった割合は約7割(69.9%)。その理由を見ると、何らかの疑問・不満があった層が5割を超えていることがわかった。




