帝国データバンクは10月24日、「退職代行サービス」を展開する事業者についての調査・分析を発表した。

主要な退職代行サービス、「弁護士」運営は3割どまり

本人に代わって退職したい意思を会社に伝える「退職代行サービス」を展開する事業者は、全国に少なくとも52法人あることが分かった。このうち、約6割が株式会社など「民間経営」によるもので、法律を専門とする「弁護士法人」による運営は3割強あった。人手不足で転職がしやすくなったことに加え、職場でのトラブル回避や退職までの期間短縮などで退職代行ニーズが高まっていることを背景に、退職代行サービス市場への参入が近年増加している実態が判明した。

  • 退職代行サービス事業者の運営形態

    退職代行サービス事業者の運営形態

保有する企業データベースのほか、開示情報などから主要な退職代行サービスの運営事業者を分析した。法人が特定できた退職代行サービス事業者の設立年をみると、52法人のうち75.0%にあたる39法人が10年以内に設立された企業だった。5年以内では17法人・32.7%を占めるなど、業歴の浅い事業者が多かった。なお、最も設立数が多かった年は2018年・19年・21年(各6法人)。

最低料金の平均は2万9410円

利用料金でみると、各社の最低料金(着手金など含む、正社員、税込)の平均は2万9410円となった。このうち、弁護士法人による料金は約4万4700円、民間経営による料金は約2万2500円だった。料金設定は、退職意向を電話にて伝達するだけの簡素なサービスから、退職代行の使用有無をアドバイスするコンシェルジュサービス、有給休暇の取得交渉や貸与品の返却など付帯サービスをオプションで設定するケースなど様々あるものの、弁護士と民間経営による料金設定は平均で約2倍の開きがみられた。

急成長続くなか、課題も浮上

10月22日、退職代行サービス大手の「モームリ」(運営:アルバトロス)が、無資格で顧客を弁護士に紹介し報酬を得た疑いがあるとして、警視庁の家宅捜索を受ける事態となった。民間経営の代行サービスの多くは弁護士による監修があるものの、従前より東京弁護士会などから弁護士法が禁じる斡旋の非弁行為にあたるとして注意喚起がなされており、近時は事業撤退もみられるようになっていた。

こうしたなか、退職代行業務の「グレーゾーン」に改めて焦点があてられ、民間企業の参入で急成長が続いた同サービスの先行きに黄信号が灯る形となった。ただ、退職代行サービスはトラブルを回避したい労働者から一定のニーズがあり、有用なサービスといえる。帝国データバンクは、「退職代行ビジネスのあり方について再考が必要な時期を迎えている」と指摘している。