8月は夏休みの帰省や旅行など、長期休暇でリフレッシュした人も多いのでは? しかし、その後、喉の痛みや腹痛といった体調不良が続いている……なんて人もいるのではないでしょうか。これらの症状は一時的なものと思われがちですが、放置すると健康に深刻な影響を及ぼすこともあります。

そこで、今回は夏特有の体調不良の原因や効果的な対策について、愛晋会中江病院の中路幸之助先生にお伺いしました。

■夏の体調不良の原因

――夏に起こりやすい体調不良や症状とは?

夏は、エアコンによる「冷房病(クーラー病)」や、冷たい飲食物の取り過ぎ、気温差や暑さによる自律神経の乱れが体調不良の主な原因とされており、以下の症状が起きやすくなります。

1.エアコンの影響

冷房の効いた室内に長時間いると、体の深部が冷やされ、頭痛、肩こり、胃腸の不調(食欲不振、腹痛、下痢、便秘など)、体のだるさやが生じやすくなります。とくに下半身やお腹が冷えることが内臓機能の低下につながります。主な発症メカニズムは次のとおりです。

自律神経の乱れ
エアコンの効いた涼しい室内と暑い屋外の行き来、あるいは長時間冷房で身体が冷やされることで、自律神経の調節機能が乱れ、体温調節がうまくできなくなり、倦怠感や頭痛などが起こります。

血行不良
長時間、冷たい空気が体に当たることで血管が収縮し、血流が悪くなり、手足のむくみやお腹の冷え、筋肉のこわばりが生まれます。

消化機能の低下
内臓の血流が悪化し、胃腸の働きが鈍くなり、食欲不振や下痢、腹痛、便秘を招きます。

乾燥による粘膜ダメージ
エアコンの空気の乾燥で喉や鼻の粘膜がダメージを受けやすく、喉の痛みや咳などにもつながります。

以上のように、冷房による冷え・乾燥・温度差が体の各所に不調を起こす原因となっています。冷房病対策は、冷たい風が直接体に当たらないようにし、適度な室温と加湿を意識し、服装やカーディガン・ひざ掛けなどで体を冷やしすぎない工夫が必要です。

2.冷たい飲食物の取り過ぎ

冷たい飲食物の取り過ぎは、胃腸にさまざまな影響を及ぼすことがあります。特に、冷たい飲み物やアイス、冷たい麺類などを多量に摂取すると、以下のような症状が現れることがあります。

■症状
・胃腸の血流が悪くなることで、消化機能が低下しやすくなる
・食欲不振、胃もたれ、腹痛、下痢、便秘、吐き気などの消化器症状が出やすくなる

これらは、冷たいものが体内に入ることで、胃腸の温度が下がり、その結果として血流が悪化し、消化酵素の分泌や消化機能そのものが落ちてしまうためです。同時に、自律神経のバランスが乱れ、消化管の運動にも影響が及ぶことがあります。

■対策
・冷たい物の摂取はほどほどにし、常温や温かい飲食物も取り入れる
・一度に大量に食べたり飲んだりしない
・症状が現れた場合は、消化に優しいもの(おかゆ、温かいスープなど)を選ぶ

こうした症状は一時的なものが多いですが、長引く場合は医療機関の受診をおすすめします。

3.自律神経の乱れ

室内外の温度差が大きい夏は、自律神経(交感神経と副交感神経)の切り替えがうまくいかなくなり、以下のような不調が生じやすくなります。

■症状
・全身のだるさや疲労感
・頭痛や肩こり
・食欲不振や胃腸の不調
・睡眠の質の低下
・イライラや落ち込みといった精神的な不調

これらは、冷房の効いた室内と暑い屋外を行き来することで、自律神経が温度変化への対応を繰り返し求められ、疲労してしまうためです。

■対策
・冷房の設定温度を外気との差が大きくなりすぎないよう調整(目安は外気との差を5℃以内に)
・外出時は羽織るものを用意し、室内ではひざ掛けを使用したり、体温調整をする
・規則正しい生活リズムを心がける
・ぬるめの湯で入浴し、リラックスする時間を持つ
・水分・栄養をしっかり摂る

これらを意識して、夏の自律神経の乱れを予防しましょう。

■熱中症の症状

――軽度の症状と重度の症状の違いは、ありますか? また、医療機関の受診タイミングなども教えてください。

激しい暑さの中での活動や水分・塩分不足は、熱中症(脱水、発熱、意識障害など)につながりやすく、後から症状が現れることもあります。

軽度の症状と重度の症状・受診のタイミング

軽度(1度):だるさ、頭痛、軽い吐き気、軽い体調不良。現場での応急処置、水分・塩分補給で回復することが多いです。

中等度(2度):激しい倦怠感、持続する頭痛や吐き気、繰り返す下痢・嘔吐、生活に影響が出るほどの不調は医療機関の受診が必要です。

重度(3度):意識障害、けいれん、呼吸困難など命に関わる症状が出た場合は、すぐ救急車を呼びましょう。

風邪やコロナでは気道症状(咳や咽頭痛など)が特徴ですが、熱中症は高温・脱水がきっかけになります。疑わしい場合は、無理をせず医療機関の判断を仰ぐのが賢明です。

症状が軽くても油断せず、悪化や長引く場合には必ず医療機関を受診し、意識障害等がみられる場合はすぐ救急搬送が必要です。放置は重症化や命の危険につながるため、早めの対処・受診が重要です

■日常生活での注意点

――食事や水分補給のポイントや、運動や休息の重要性について、教えてください。

食事や水分補給

・水分は、一度に大量にではなく「こまめに」を意識しましょう。
・汗を多くかく場合は、塩分も一緒に摂るのがポイント。スポーツドリンクや経口補水液も有効です。 ・食事でも1日約1Lの水分を摂れるので、食事を抜かないことが重要です。
・脂っこいものや冷たいものを控え、バランス良く食べることが胃腸の冷え対策になります。

運動・休息

・ 適度な運動は体温調節機能と筋力維持のために大切です。屋外運動は気温や湿度、体調を見て無理せず。
・ 睡眠や十分な休息は自律神経を整える効果があります。

■残りの夏を快適に過ごすために

1.引き続き暑さ対策を徹底する

室内外の温度差を小さくし(5℃以内)、エアコンは適切な温度設定(25〜28℃)で使用すると自律神経への負担が減ります。直接冷風を浴び続けないようにし、冷えから体調を崩さない工夫をする、日陰や涼しい場所で過ごし、外出は涼しい時間帯を選ぶなどが大切です。

2.こまめな水分・塩分補給を心がける

経口補水液やスポーツドリンクも活用し、汗で失われる水分と塩分をしっかり補給しましょう。喉が渇く前に水分を摂る習慣をつけ、脱水を防止することを大切。

3.体調を整える食事・休息

消化に良く栄養バランスの良い食事を摂ることを心がけましょう(夏野菜や果物を含む)。また、朝食を抜かず、早寝早起きなど生活リズムを整え、良質な睡眠を確保する、冷たい飲食物は摂りすぎず、腹巻きやカーディガンで冷えをガードする、疲れを感じたら無理せず休息をとるといったことも重要です。

4.適度な運動で体力維持

朝や夕方の涼しい時間帯に軽い運動を取り入れ、血行促進やストレス発散を心がけましょう。こまめな水分・塩分補給を忘れずに。

5.体調変化に敏感になる

熱中症や夏風邪の初期症状(頭痛、めまい、だるさ、喉の痛みなど)に注意し、無理をしない。体調が悪化した場合は早めに医療機関を受診しましょう。

これらの対策を継続し、免疫力を高めることで、9月~10月にかけても続く暑さの中で、健康的で快適な夏の終わりを過ごしましょう。残暑が厳しい2025年は特に、暑さへの備えが欠かせません。

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