近畿内航船員対策協議会、近畿運輸局、近畿海事広報協会、神戸地区内航船員確保対策協議会、神戸運輸監理部、神戸海事広報協会は、兵庫県芦屋市にある海技大学校の協力の下、2025年8月5日に、海技大学校練習船「海技丸(かいぎまる)」体験航海および校内見学会を開催した。
本企画は、工業高校生および工業高校教諭を対象に、機関部船員のリソース拡大を図るため、体験航海を通じて内航船員の仕事を理解してもらうことを目的としたもので、当日は海技大学校の地元・兵庫のほか、大阪、奈良の工業系高校生が参加した。
開講式では、近畿運輸局 海事振興部の三浦次長が、内航海運の現状について紹介。「内航海運が輸送できなくなったら、皆さんの生活はどうなるのか?」といった問い掛けから、燃料や食料品、日用品などを日々輸送する内航海運の重要性を説明し、将来の進路として「船員も視野にい入れてほしい」と期待を寄せ、「今回の体験、知識、情報が後々の武器になるかもしれない」との言葉を贈った。
また、海技大学校の杉田学務部長は、海技大学校など計8つの学校を運営する海技教育機構(JMETS)について解説し、中でも海技大学校は、貨物船やフェリーなどの大きな船を動かすための3級海技資格を取るための学校であることを紹介。当日のスケジュールを説明し、今回の体験を通して、「船の仕事も良いなと思っていただければ」と参加者にアピールした。
●海技大学校 校内見学会
海技大学校の校内見学会は、参加者を2つの班に分けて、「操船シミュレータ」および「配電盤シミュレータ」の体験と「船用大型ディーゼル機関」の見学が行われた。
「操船シミュレータ」は、5000トンクラスのタンカーの船橋を模した施設で、参加者は舵を手に、実際の船の挙動を体験。「大事なのはほかの船にぶつからないように操縦すること」との言葉を受けながら、明石海峡での操船に挑戦した。
シミュレータを使うメリットは、時間や天候を自由に変更することができるところ。そのほか、海図などを参考にしながら、双眼鏡を使ってブイを発見する練習なども行われた。
「配電盤シミュレータ」では、船中に設置された発電機のシステム操作やメンテナンスの方法を体験。参加者は、インターロックの解除やアーシング、2つの発電機の同期などに挑戦した。
船のエンジニアは“マリンエンジニア”と呼ばれるが、業務範囲は広く、ボイラーやタービン、ディーゼル、ポンプ、そして電気系など、広い知識が求められる。さらに鉄道や飛行機のエンジニアはメインテナンスがメインとなるが、船の場合は、メンテナンスだけでなく、オペレーションも行う必要がある点などが紹介された。
そして、「船用大型ディーゼル機関」体験では、船のエンジンの仕組みを紹介。圧縮空気を使った始動などを中心に、実際にエンジンを稼働させる手順を学んだ。
●練習船「海技丸」での体験航海
校内見学会の後は、港まで移動し、海技大学校の練習船「海技丸」に乗船。六甲アイランドを一周する体験航海が行われた。
船橋では、実際に船長の指示のもと、実際に操船する様子を見学。操船シミュレータでは味わえない現場の雰囲気を肌で体感した。
また、エンジンを遠隔から監視・制御する「制御室(エンジンコントロールルーム)」や、実際にエンジンが稼働している「機関室」など、普段はなかなか見ることができない船内の各設備を見学。およそ1時間の航海は、瞬く間に終了となった。
体験航海を終え、「ぜひ興味を持っていただいて、将来の選択肢のひとつとして考えていただけたら」と挨拶する海技丸の船長は、船員としてのやりがいを問われ、「みなさんが食べるもの、着るものを輸送しているのは、大方が船。国内の物流の裏方として非常に大きな使命がある」と回答し、「国民の生活に直に関わっているところにやりがいを感じている」と笑顔を見せた。


















