第46回将棋日本シリーズJTプロ公式戦は1回戦が進行中。6月28日(土)には丸山忠久九段―山崎隆之九段の一戦が宮城県仙台市の「夢メッセみやぎ」で行われました。対局の結果、得意の相居飛車力戦から抜け出した山崎九段が103手で勝利。難敵を下して2回戦進出を決めています。
山崎ワールドの序盤戦
先手となった山崎九段は初手に左金を、続いて右銀を動かす意表のオープニングを披露。これには解説の島朗九段も「ただならぬ雰囲気」と驚きを口にします。23手目にしてようやく角道を空けた山崎九段は、先に取っておいた中央の位を主張として大模様作戦を明示しました。これに対し後手の丸山九段は7筋から反発して盤面全体を使った戦いが始まります。
双方居玉のままで激しい中盤戦が続くなか、丸山九段は右辺の厚みを生かした桂頭攻めでリードを奪います。とはいえ桂損の危機に立った山崎九段も過激な飛車切りで応戦。盤上4か所で「飛車取り×2、金取り×2」という珍しい状況が発生して、盤上は一気に終盤戦の様相です。「どれを取っていいのか」という丸山九段の局後の感想がその苦労を物語ります。
自然な両取りが敗着
ともに5分の考慮時間を残してテンポよく指し進めますが、やがて丸山九段に後悔の一手が出ます。金銀両取りに放った中段への飛車打ちは一見厳しそうでいて、打ってみると「ぬるかった」(丸山)という緩手。銀を取ったあとに残る飛車が中途半端な駒になり、攻めにも守りにも働きが弱かったのが誤算でした。ここから山崎九段の指し手が冴えわたります。
手番を握った山崎九段は歩の手筋を連発して後手玉攻略に乗り出します。終局時刻は16時48分(15時39分対局開始)最後は自玉の詰みを認めた丸山九段が投了。山崎九段が独自の序盤術で力戦に持ち込み、一瞬訪れた中盤の危機を乗り切っての辛勝となりました。本棋戦2年ぶりとなる勝利を挙げた山崎九段は、2回戦で渡辺明JT杯覇者と対戦します。
水留啓(将棋情報局)
