【小田原 観光スポットレポ】小田原 酒匂川の渡し場跡 - 往時の人々…

江戸時代の酒匂川には橋が無く、渡しを生業とする人々がいました。ここはその痕跡となる場所です。ツーリング&サイクリングなどの休憩場所にも適しており、隠れたスポットといえるでしょう。

小田原最大の水供給源「酒匂川」

画像出典:湘南人

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酒匂川は、小田原最大の水供給源として、古来より重要な役割を果たしてきた川です。また文化的にも愛され、古くは歌川広重による浮世絵に残り、昨今ではアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの原作者である富野由悠季氏(小田原出身)も心に残る場所として挙げるなど、まさに小田原を象徴するものといえます。

江戸時代には橋がなく人力の「渡し」が行われていた

画像出典:湘南人

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酒匂川は多摩川にも相当する大河川ですが、江戸時代には橋がかかっていませんでした。今でこそいくつもの橋がかかり、新幹線も通り過ぎる姿からは考えづらい事ですが、それもそのはず、じつは「わざと」だったのです。

技術的な問題がなかった訳ではありません。しかし、それよりも徳川幕府が諸国を安定して支配するためという目的の方がずっと大きかった(橋がない事で軍隊は江戸へ攻め込みづらく、江戸からは必要以上に流出が起こらない)といえます。これは酒匂川に限った話ではなく、江戸時代は交通の要衝となる河川に限って橋がかかっていないのが常でした。

増水したら足留めだった

画像出典:湘南人

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江戸時代、橋のかかっていない川には川越し人足を生業とする人々が存在していました。旅人や行商人は、渡し場にいる彼らにお金を払って川を渡してもらっていたのです。小田原は箱根の関所を目前にした立地という事もあり、特に雨で増水すると渡る事ができなくなるため、関所と合わせて最大の難所が2箇所も出現すると旅人の悩みでありました。

痕跡をわずかに残す碑

画像出典:湘南人

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現代の酒匂川で、かつての渡し場があった往時を彷彿とさせるものはほとんど残っていません。なにしろ多くの橋がかかっており、太平洋沿いの主要な橋だけでも国道1号線の西湘大橋・西湘バイパス・酒匂橋、国道720号線の小田原大橋、国道255号線の飯泉橋、さらに東海道線および東海道新幹線と、物流を担っています。ですが、わずかに江戸時代の痕跡を留めるとして、酒匂川左岸サイクリング場の側に碑が立っています。ここから川を眺めれば「酒匂川を人力で渡るのは相当な苦労だったろうな」という感想が湧き出てくるでしょう。

川岸で休憩するもよし

画像出典:湘南人

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位置的に国道から外れた場所となるので、お店などに入って休憩するには国道沿いに戻る必要がありますが、オートバイや自転車であれば静かな環境で小休憩を取る事もできます。隠れツーリング&サイクリングスポットといえましょう。

車の場合は道幅が狭く路駐には適しません。日中は地元のトラックがそこそこの頻度で行き交いますので、その邪魔にはならないようにしたいものです。

まとめ

派手さはないが古い時代を思い起こしつつ、ちょっと休憩を取る事もできる隠れツーリング&サイクリングスポットです。温かい時期にはサイクリング場で遊ぶ親子連れの姿などに癒されもするでしょう。目的地にする場所ではありませんが、旅の道中で記憶に残っていたならば、ひょいと訪れてみるのも悪くありません。

酒匂川の渡し場跡

営業時間:

24時間

休業日:

なし

アクセス

公共交通機関:箱根登山バス・酒匂中学バス停にて下車後、徒歩約6分バイク・自転車:

住所:〒256-0817 神奈川県小田原市西酒匂1丁目3駐車場:なし問い合わせ先:0465-33-1300(小田原市役所による総合案内)