パーソルキャリアは5月22日、「副業・フリーランス人材白書2025」を公開した。調査は1月14日~21日、企業調査では人材獲得業務に関わるハイクラス層・メンバークラス層4,400名、個人調査では副業経験のある20〜64歳の会社役員・会社員2,400名を対象にインターネットで行われた。

  • 副業・フリーランス人材の活用率と依頼業務内容

    副業・フリーランス人材の活用率と依頼業務内容

本白書は、副業・フリーランス人材の活用実態や課題、満足度、今後の展望などを、企業と個人それぞれの視点からまとめたもの。高度な事業課題を解決できる経験・スキルを有するハイクラス層と、日常的に発生する業務に従事するメンバークラス層に分けて分析している。

企業調査によると、副業・フリーランス人材を「活用したことがある」企業は3割弱。限定的な活用ではあるものの、一方で、活用中の企業のうち約8割が「満足」と回答しており、一定の成果を上げているよう。

特に、「業務プロセスの改善・効率化」(23.5ポイント)や「新規事業創出・推進」(22.1ポイント)、「経営・経営企画」(21.3ポイント)などの企業運営の根幹を担う業務において、ハイクラス層の副業・フリーランス人材の活用が多く見られた。

  • 副業・フリーランス人材を活用しない理由

    副業・フリーランス人材を活用しない理由

続いて、副業・フリーランス人材を「活用していない」と回答した企業にその理由を聞いたところ、「費用が高い(高そう)」「現場での活用イメージがわかない・どのようなケースに適しているのかわからない」「副業・フリーランス人材に業務委託するメリットがわからない」が上位に。副業・フリーランス人材活用についての理解が不足しており、具体的な活用イメージができていないことが主な障壁となっているよう。

また、副業・フリーランス人材を活用するときの課題を聞くと、活用中の企業でも「求める人材要件が現場とすり合わない」などの人材要件定義や「社内の協力が得にくい、連携がうまくいかない」などの社内調整といった、副業・フリーランス人材の受け入れに付随する業務に課題を感じる回答が多数を占めた。

実際に、現在活用中の企業の7割以上が「サポートが必要」と回答し、自社だけでは推進が困難な様子も見受けられ、今後は受け入れ体制構築や運用支援のニーズがますます高まることが予想される結果となった。

  • 副業・フリーランス活動の主な目的

    副業・フリーランス活動の主な目的

個人調査では、副業経験のある会社員は2割に満たず、関心を示す「検討者+興味者計」を含めても約5割にとどまっていることが明らかに。そこで、副業しない理由を聞いたところ、「社内規定で禁止されているから」がトップのほか、「時間的に余裕がない」「体力的な余裕がない」といった要因が上位にあがった。

また、副業・フリーランス活動の主な目的について聞くと、「生活費を稼ぐ」や「自由に使えるお金を稼ぐ」といった収入面が高いものの、ハイクラス層ではキャリアアップや希望する条件ではたらくといった目的も目立つ結果に。また、担当業務はハイクラス層・メンバークラス層ともに「営業」が上位となっているが、それ以外は副業・フリーランス、ハイクラス層・メンバークラス層でそれぞれ異なる業務を担う傾向にあるよう。副業のハイクラス層は「経営・経営企画」「業務プロセスの改善・効率化」など、企業運営の根幹を担う業務も多く見られた。

  • 副業・フリーランス活動をする時の課題

    副業・フリーランス活動をする時の課題

続いて、副業・フリーランス活動の満足度を聞いたところ、6割以上が「満足」と回答。中でもハイクラス層では約8割にのぼり、「業務の内容」や「はたらき方、就業環境」に対するポジティブな評価が目立ち、継続意向も6割以上と、現在の活動に一定のやりがいや価値を感じている人が多いことがわかった。

一方で、活動時の課題について聞くと、共通して「確定申告が面倒・難しい」「新規案件の獲得が難しい」など、事務的な手続きの負担感や案件獲得に関する難しさが上位に挙げられた。副業者の半数以上が、活動における何らかのサポートを必要としており、「困りごとを相談できる窓口」や「第三者による伴走サポート」などが望まれていることがうかがえる結果となった。