ジム・クラークへの敬意を込めた限定モデル「エミーラ・クラーク エディション」発表

ロータスは、2025年5月2日、伝説的なレーシングドライバーであるジム・クラークを称える「エミーラ・クラーク エディション」を発表した。この特別なモデルは、全世界でわずか60台のみ生産される限定車である。発表の場は、F1マイアミ・グランプリという国際的な舞台であり、モータースポーツの歴史に深く刻まれたロータスの名声を改めて世界に示す機会ともなった。

【画像】ジム・クラークを称えたロータス・エミーラのスペシャルエディション(写真29点)

広く知られるように、ジム・クラークはスコットランド出身のレーシングドライバーであり、1960年代に活躍した伝説的存在。1965年には、F1ワールドチャンピオンのタイトルを獲得するとともに、インディアナポリス500でも優勝するという前人未到の偉業を達成した。この快挙は、現在に至るまで他に類を見ないものであり、モータースポーツ史における重要な一章を築いた。彼の功績は、ロータスの歴史と密接に結びついており、「チーム・ロータス」とともに多くの伝説的な瞬間を生み出した。

特別仕様のデザインと内装

「エミーラ・クラーク エディション」は、「エミーラ V6」をベースとしている。この限定モデルの外装は、1965年のインディアナポリス500でクラークが駆った「ロータス・タイプ38」にインスパイアされたデザインを採用している。ボディカラーは「クラーク・レーシング・グリーン」と呼ばれる特別な色調で、ブラックルーフ、シルバーのドアミラー、そしてフロントを縁取るイエローストライプが特徴的である。また、ブルーアルマイト仕上げのアルミ製フューエルキャップや、鮮やかなイエローのエグゾーストパイプが、視覚的なアクセントとして際立っている。

内装は、モータースポーツへの情熱とクラークの時代を彷彿とさせるデザインが融合している。左右非対称のスポーツシートは、1965年のクラークのレーシングカーをイメージしており、ドライバーズシートには赤のレザーとアルカンターラ®が、パッセンジャーシートにはブラックのレザーとアルカンターラ®が採用されている。また、ウッド製のシフトノブや、スコットランドのロッホキャロン地方のタータンチェックをあしらった特別な「ジム・クラーク記念バッジ」も装備されている。これらのディテールは、単なる装飾品ではなく、クラークへの敬意とロータスのヘリテージを象徴する要素である。

さらに、「1 of 60」と刻印されたカーボンファイバー製の専用スレッドプレートが装着されており、このモデルの希少性を強調している。加えて、購入者には「クラーク エディション」専用のハンドクラフトによる特製レザーホールドオールが付属する。

卓越したパフォーマンス

「エミーラ・クラーク エディション」のベース車両である「エミーラ V6」は、ロータスのエンジニアリングの粋を集めたモデルである。搭載されるエンジンは、400馬力を発揮するスーパーチャージャー付き3.5リッターV6であり、6速マニュアルトランスミッションとリミテッドスリップデフ(LSD)が組み合わされている。このパワートレインは、クラークが活躍した時代のロータス車に通じる「純粋なドライビングプレジャー」を体現している。

また、油圧ステアリングを採用することで、現代の車両では失われがちなダイレクトな操舵感を実現している。さらに、「ロータス・ドライバーズ・パック」には、スポーツサスペンション、トラックモード、チューニングされたエグゾーストサウンドが含まれており、サーキット走行においてもその性能を存分に発揮する。

ロータスは、創業当初から軽量構造と高い運動性能を追求してきた。「エミーラ・クラーク エディション」もその伝統を受け継ぎ、モータースポーツの精神を現代に甦らせた一台である。

歴史へのオマージュと未来への展望

ロータスは、モータースポーツの分野で数多くの成功を収めてきた。その歴史の中で、ジム・クラークの存在は欠かせないものであり、彼の名はロータスのアイデンティティの一部となっている。「エミーラ・クラーク エディション」は、単なる特別仕様車ではない。これは、ロータスの過去の栄光を讃えるとともに、未来へ向かう決意を示すモデルとも言えるだろう。

ロータスは現在、高性能スポーツカーの製造に加え、電動化や技術革新にも力を入れている。「ロータス・テクノロジー」という新たなブランドを通じて、オールエレクトリックのラグジュアリーモビリティの提供を目指している。そうした中で、「エミーラ・クラーク エディション」の発表は、ブランドの伝統と革新を結びつける重要な役割を果たしている。

2025年のF1マイアミ・グランプリでの世界初公開は、この車が持つ特別な意味を象徴している。ジム・クラークという不滅のレーシングレジェンドを讃えることで、ロータスはそのヘリテージを再確認し、未来への新たな一歩を踏み出している。

文:前田陽一郎 写真:ロータス

Words: Yoichiro MAEDA Photography: Lotus