ブルペンで投球練習するロッテ・八木彬[撮影=岩下雄太]

 ロッテの八木彬が4月30日のオリックス戦で今季初登板を果たした。

 先発・種市篤暉の後を受けてマウンドに上がった八木は、先頭の野口智哉を1ボール2ストライクから143キロのフォークで空振り三振、続く若月健矢をインコースの151キロツーシームで見逃し三振。麦谷祐介にライト前に運ばれたが、廣岡大志をインコースのツーシームで左飛に打ち取り、今季初登板は1回・12球を投げ、1被安打、2奪三振、無失点というピッチングだった。

◆ ストレート

 八木は昨季途中からツーシーム主体の投球にモデルチェンジし、今季初実戦となった2月16日の楽天モンキーズ戦では「しっかり力を抜けて投げられている感じがあったので、これを継続していきたいと思います」と1回・14球を投げ、0被安打、2奪三振、無失点と最高のスタートを切った。

 「引き続きゾーン内でしっかりラインを出してツーシームを投げていけば、ゴロアウトだったりが増えていくと思うので、その確率を上げてアピールしていきたいと思います」と意気込み、2月24日の巨人とのオープン戦は3回無失点に抑えたが、3月2日のソフトバンクとの練習試合は2回3失点、3月8日のソフトバンクとのオープン戦は3回2失点とピリッとしなかった。

 3月16日の広島とのオープン戦で1回を無失点に抑えたが、開幕は二軍スタート。「出力が全然出ていなくて、ゾーン内に投げても外野に良い打球が飛ばされていて、たまたま正面に飛んでいるだけだった。コントロールもあまりできていなかった。点は取られましたけど、たまたま抑えられていたという感じでしたね」と振り返る。

 シーズン開幕してからファームの映像を見ていて、気になったのはストレートを再び投げるようになったこと。3月30日のヤクルトとの二軍戦では、1-0の8回二死一塁で内山壮真を1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた4球目の外角154キロストレートが非常に良かった。

 昨年8月20日の取材で「自分の前の真っ直ぐは怖さがないというか、強さがあるけど怖さがない」という理由でツーシームを覚え、昨年秋の時点で「(ストレートを)投げる予定は今のところないですね」と話していた中、なぜ再びストレートを投げるようになったのかーー。

 開幕直後の4月4日の取材で「ツーシームを投げすぎて、体が開き気味になっていたので、それを戻すのに真っ直ぐを投げている感じです。強い真っ直ぐというところがあってのツーシームというところだと思ったので、まずは真っ直ぐをやっていました」と説明した。

 それはツーシームを磨いてきた弊害により体が開き、ストレートを投げた方がいいなという考えになったのだろうかーー。

 「そうですね。それもありますし、弊害というか、副作用とかあるんやなと自分でも思いましたし、真っ直ぐを強くしていけば。ツーシームも投げられる。練習ではストレートを多めに投げたり、工夫したりしていかないといけないなと思います」。

 3月の練習試合、オープン戦では打たれる試合もあった。「キャッチボールでもそうですし、開いているなというのがずっとあった。ストレートが弱くなっている分、ツーシームを投げている時に変化量を求めて、体が開いてしまった。まずは真っ直ぐが良ければ、ツーシームが良くなるので、そこですね」。

 「まずは強い真っ直ぐを出していくことが今の課題だと思います。ゾーンに強い真っ直ぐを投げてゴロアウト、簡単に抑えられるような投球をしていきたいと思います」と話していた中で、取材直後の4月4日のDeNA二軍戦で失点したが、4月11日の西武二軍戦以降、4試合・7イニングを投げ無失点、防御率0.00で4月30日に一軍昇格を果たした。

 ストレート、ツーシーム、そこに武器であるフォーク、スライダー、カーブを駆使して、一軍の打者を抑えていきたい。

取材・文=岩下雄太